本格的な外人買いがやって来る

日本株の考え方は、難しい局面かも知れません。今のところ意見が割れているようです。この9月、10月の日本株の上昇は、基本的に先物を売って現物株を買う裁定売り残の清算が基本的な流れだったのでしょう。

裁定残高と日経平均株価の推移

裁定の売り残は9月6日現在で2兆666億円ほどありましたが、11月29日には8654億円に減っています。未だに8654億円もありますから、この水準も、高水準なのです。しかし相場を見ていると…やはり先物価格が現物価格を上回る状況はなかなか生まれません。基本的に…日本株の先高期待が高まるなら、ヘッジファンドは先物を利用し、先物価格が上昇してから現物株の買いが誘発されるのが通常のパターンでしょう。

日本の「経済対策」が決定されました。ドイツはマイナス圏に陥っても財政出動を拒んだのです。一方、日本はマイナス圏にはなっていませんが…足元も景気状況は思わしくはありません。

しかし今回は批判がある中で、早めの…景気刺激策を決定しました。非常に期間の長い対策なので、その分、インパクトは薄れますが…カタルは既に日本人の心理が変化していると思っています。今回は、40歳代の就職氷河期世代にも支援が実施されます。賃金が上昇しますから、労働生産性が向上します。

非常勤職員の学校教育問題が話題になっていますが、野党は「桜を見る会」ばかりを責め…肝心の政策対話を、挑んでいません。学校教育は人手不足で大変な状況だと…何度も報道されています。

内田洋行(8057)の日足推移

今回の一人一台のパソコン対応で、内田洋行(8057)の株価は大きく上昇したそうです。この動きなど…を見ると市場心理は「ポジティブ変化」にマインドが変化してきたように感じています。これまでは…なかなか指数の上昇が個人投資家のマインドを変化させるに至りませんでした。

三桜工業は筋が悪いと指摘していましたが…木村化工機なども同様です。市場にはなかなか「相場心」を理解している…力ある仕掛け筋が存在しないように感じています。一日限りのマネーゲームに参加する種族も、これではなかなか利益を計上するのは難しいでしょう。でも少しずつですが…指数の上昇は、一般個人投資家にもその恩恵が波及し始めています。

カタル銘柄を見ても分かります。MLCCの太陽誘電や村田製作所から、東邦チタンなども恩恵を受け始め…あの業績悪の最初の寄り値938円をクリアして4桁奪回をしました。ただ…現状は、残念ながらここまでで調整波動に入りましたが、何ら問題はないでしょう。更に方向性はプラス方向の時代性ですから、時間の問題でまた高値を更新します。

基本的にこの株価動向を見ても分かりますが、今はまだ日経平均株価が今年の高値を更新したと言っても、指数だけの上昇に留まっているのです。

通常、株が下がる為には…仮需の盛り上がりがないと、株は下がりません。今は先に売った裁定売り残の「買戻し」で株価が上がっただけなのです。この意味を誰も正確に理解してないようです。

事前に日本株は、消費税の引き上げや、オリンピック景気のピークアウトを見越し…日本株を大量に売り続けてきた外人が、今は先ず…裁定売り残の買戻しをしたところです。

カタルの観測では…この後に、積みあがる463兆円の内部留保の溶解…と言うか、お金の動き出しが、これから起こります。スチュワードシップコードからコーポレートガバナンスの浸透が生まれ…「社会変革」が実際に見られます。ソニー株が、何故、高値追いをしているか?

ソニー株の週足推移

この背景はCMOSイメージセンサーなどの好業績はもちろんですが…、ソニーは「ものを言う株主」の諫言を受け入れ、オリンパス株を放出しました。この事が大きいのでしょう。これはROEの改善につながり、村論理より効率性を選択した経営判断です。

時代性と経営方針がマッチしています。このような事例は、幾らでも紹介できます。富士通などは赤字でもないのに…効率性を重視して希望退職者を募集したのです。だから市場はその動きを評価して株価は上昇を続けています。

富士通の日足推移

このように…既に先駆する日本企業は動き始めています。事実、調べると分かりますが…内部留保額(利益余剰金)と時価総額を上回る企業が非常に多くあります。四季報で調べると711社がランクインしました。TOBを掛ければいいのです。使わないお金を貯め込んで、一体何をするのでしょう。

地銀株などは多いですね。いったい誰の為に、企業経営をしているのでしょう。このような企業経営者は、変えなければなりません。村論理だから…463兆円の内部留保がなかなか動かずに、お金を貯め続けますが、近年は流石に…やり過ぎだと考えて「効率化経営」(ROE)に舵を切り始めています。

この動きを…外人投資家は、これから評価するでしょう。「流動性の罠」から脱却する姿を、株価は既に評価し始めています。

ソニー株や富士通株が上昇している背景に流れているROE経営への転換の動きを市場は評価しているのでしょう。だからここ1年から2年ほど…日本株を売り続けた外人投資家は、日本株の再評価に動き、来年は一気に日経平均株価は3万円台が視野に入るのでしょう。その背景には…自社株買いの活発化や、持ち合い株の解消の売りです。

何故、野村証券株が大きく上昇したか? その原点を考えましょう。グループ企業の野村総研株を売却して、本体の野村証券株の自社株買いをしたのです。だから市場はその動向を評価しています。盛んに持ち合い株式を売却している邦銀株もこれからの動きが注目されます。自己資本比率規制をクリアし…いよいよ自社株買いが本格化するでしょう。

更にRPAなどのスマートコミュニティーの導入から希望退職者を募集し店舗を閉鎖して効率化を図ります。三菱UFJとリクルートの提携の真の狙いは、たぶん…その背景には、銀行の持つビックデータの活用があるんじゃないかと思っています。リクルートは、ご存知のように…リクナビが就職情報を活用して、そのデータを外部販売して問題を起こしています。

邦銀株の切り口は、これから豊富になりますよ。心ある…外人投資家が、この企業変身を評価しないとは思えません。必ず、大きな華が咲くことでしょう。

株式投資とは…時代性を考えたアイディア勝負なのです。この辺りの感覚が分からないと株式投資で儲けることは出来ません。

本日の原稿を書きながら…またアイディアが浮かびました。この株も上がりそうですね。まぁ、有料会員向けには、既に原稿をアップしたので再来週の紹介になるかもしれません。そんな訳で、新しい原稿をアップしたので…会員の方はお読みください。

新しい本格的な「日本株買い」が見られるかもしれません。経済対策の効果は伊達ではありません。市場は分かりやすい内田洋行を評価しましたが、いろんな切り口が市場には存在します。それでは…また明日。



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