アーカイブ:2016年2月

ドイツ銀行のココ債

株安の要因は幾つかありますが…複雑に絡み合っており、どれが正しいのか分かりません。例えば、WSJには5つの背景が取り上げられており、此方が本文の記事です。読めない人向けに解説すると…1、動きの速い投資マネー=米国の金利高を前提に銀行株を買ったけれど、直ぐに投げたと言う記事ですね。2、人民元への懸念=レビーの主張やソロスの意見です。3、SWFの売り4、米国景気減速の不安5、需要低迷…などが掲げられています。他の要因は、本日の日経新聞の一面にも出ています。

しかしカタルは、みんな、焦点がボケていると考えています。前から述べている様に、諸悪の根源は「金融規制」です。今週の大幅安の原因は、ドイツ銀行の金融不安説です。ドイツ銀行の債務を保証する保険料(CDS)が、異常に高くなったのです。その理由が偶発転換社債(Coco債)と呼ばれる債券の存在です。最近記憶に新しいのは三井住友銀行が、自己資本比率の拡充に備え、この債券の発行を準備していると報道されています。このココ債は、欧州で盛んに発行されており、2015年は500億ユーロとも言われています。しかも…金利が高いのです。5~8%程度のようですね。

この利払い懸念がドイツ銀行に注がれ…最新のニュースではドイツ銀行は、価格が下落しているココ債を繰り上げ償還(買入れかな?)…30億ユーロ、ドル建ての20億ドルを対象にしていると報道されています。つまり6000億円程度ですね。この報道を受けリーマンショック時の安値を下回っていましたが、週末に株価は、少し戻ったようです。その動きは下記のグラフです。この事は2月10日のレポートで「ダリオ様から欧州危機再来」と述べました。別にドイツ銀行だけでなくクレディスイスなど…他の金融機関へも問題は波及しています。

ドイツ銀行の株価推移

ドイツ銀行の株価推移

この情報を煽ったのが、9日に配信された日経QUICKニュースです。「市場にドイツ銀行ショック、金融派生商品6京兆円の重み」と言う記事ですね。編集委員の永井洋一が書いた記事です。この金額は世界の金融デリバティブ商品の総額で…発信元は…国際決済銀行(BIS)の資料の引用です。BISでは総額が550兆ドルと述べています。ドイツ銀行だけのものではなく、世界中の総額なのです。内訳は金利関係に関する取引が434兆ドル、外国為替関連が75兆ドル、株式は8兆ドルなのです。何故、これほど金額が膨らむかと言えば…再投資されている為ですね。同じ商品を、いくつもの金融機関が分散して消却している為です。

此処で思い出して欲しいのですが…リーマンショック時に、多額の金融デリバティブ商品をAIGが保証しており、米国政府が破たんしそうなので救済に乗り出しましたが、いち早く、利益を上げて民営化されています。つまりオプションなどを利用した金融デリバティブ商品は多くのものが…確実に儲かるように設計されているのです。いきなり…京などと言う途方もない金額を表に出すから…素人は驚き、市場参加者の動揺を誘うのです。日経新聞の記者としての資質を疑われます。3流週刊誌のレポートじゃあるまいし…。素人相手なのですから、分かりやすく的確に報道すべきでしょう。その動きが10日、そうして12日の動きに繋がりました。

ココ債は…邦銀では先日、初めて三井住友が検討したように…多少の類似商品は在るかも知れませんが…基本的に邦銀は、自己資本比率問題に対し確りしています。何しろ金融デリバティブに…疎い(うとい)のです。カタルは前から訴訟問題なので…金融機関を痛め過ぎだと考えていました。米国の訴訟は峠を越え一巡していますが…欧州は、まだこれから…と言う形で、米国に比べ遅れています。だから訴訟を抱えるドイツ銀行が、最初にターゲットにされました。こいつらは…ヒルのようなダニですからね。下がるうちは…次々に狙います。市場経済はある意味で戦争です。論理と論理を、市場を通じて戦わせるわけです。

休み前のNY市場は大幅高しました。…基本的に一服ですが、再び叩くのでしょう。昨年の夏は3回の場面がありました。今回は1月21日、そうしてたぶん、昨日ですね。2回だと思っています。一旦、小康状態を保ち、またあるかも知れないし…ないかも知れません。カタルは、何度も諸悪の根源は「金融規制」だと述べています。自己資本比率を高める為に、ココ債のような永久債を発行したり…強いられている訳です。だっておかしいでしょう。常にリーマンショックのような危機を前提にして、商売をしろ…と述べているのです。危機を日常化させているのです。当然、リスクを避けるために保険料が必要になり、ココ債の利払いに充てられます。このような行き過ぎた規制が必要なのかどうか…。この論点が、今年から、来年にかけての重要なテーマになります。だからカタルは、次期米国大統領の選挙の話をしています。

何故、原油が下がり、新興国が減速したか? 基本的には2000年代に入り、金融デリバティブが加速したのです。中国の発展を見ると分かりますね。その金融デリバティブを完全否定し、金融機関に自己資本比率規制を設け、雁字搦めに縛ったので、世界の流動性が失われて…様々な問題が表面化し始めてきました。ただ、オバマ大統領もイエレン氏もこんな事は…百も承知でしょう。基本的に、量的緩和によるバブルのようなユーフォリア状態の企業を叩き、市場原理を維持させるために仕組んだ政策です。ゾンビ企業の退治ですね。景気の浮き沈みが、様々な企業を淘汰します。栄枯盛衰は世の常です。カタルのような偽物は沈み、バフェットのような本物は生き延びるわけです。

あの記事を、皆さんは読みましたか? 高橋洋一さんが書いたレポートですね。「ぬるま湯の銀行を締め上げるマイナス金利」と言う記事です。カタルは当座預金からリートや外債投資にお金を振り向けるから、故に、本来の形であるリスクをとっての高いリターンが得られるから…銀行には、プラスに働くと解説しました。しかし現実は、マイナス金利の国債に群がる村論理です。今回の下げは…38915円奪回に向けた地固めの一つのステップだと思いますよ。この株安下で、どれだけの企業が…自社株買いを進めるか? ファナックのようなケースが、ドンドン生まれるかどうかも…、一つのバロメーターですね。

昨日のデータを見ると…広範囲の銘柄に信用取引の投げが広がっています。仮需と言うのはこうやって淘汰される訳ですね。カタルも投げました。淘汰された口ですが…どうにか首の皮一枚で繋がっている印象です。急激な下げは追証などの待ったなしの下げです。故に…一時的には、どの株も買い場になります。売る方も高い方が良いのです。

此処からは、資金を用意できる奴だけが、生き延びる世界ですね。確かに、年初から急激な下げですが…、水準事態は、そんなに…心配するようなものではありません。読者の皆さんは、冷静になって…状況を判断して下さい。カタルは…もう投げるのは止めます。むしろ銘柄を入れ替え、チャレンジします。明日は…その辺りの流れを考えてみようかな? それでは…また明日。



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