ブレークイーブン・インフレ率

NY市のテロは、被害が少ないとはいえ、気になるニュースでした。基本構造は金融規制とスマートコミュニティーを前にして、戸惑う人間心理により、なかなか新しい世界が確定しない為です。混沌としながら、新しい世界に向かっていると言う印象です。リーマンショックの打撃は大きく、基本的に日本のバブル崩壊と同じ、泥沼状態なのでしょう。

世界の中央銀行の量的緩和政策により、どうにか大恐慌と言う大きな景気後退は回避されています。リスクを政府や中央銀行が引き受けた為です。しかし…このシステム崩壊は、未だに様々な傷跡を残しています。2010年12月にチェニジアで起きた「ジャスミン革命」が、切っ掛けになり、「アラブの春」と言う社会現象が…中東諸国に広がりました。

ジャスミン革命は、若者の失業率が髙い所に、生活の糧を得る為に失業中だった26歳の男性が、街頭で果物や野菜を販売していたところ、販売許可がないと…警察が商品を没収した行動に対し、抗議の意思でモハメド・ブアジジが焼身自殺を図り、一気に社会の潜在的な不満が、「アラブの春」となり…波及しました。基本は食えないから、社会体制に不満が生まれ、革命の火種になります。

カタルは長くIRNETを綴っていますが…アラブの春と同じです。希望に燃え、上京して一所懸命に働きましたが、政策の失敗が重なり、株は徐々に下げ続けるばかりです。この体制はおかしいと社会変革をめざし、株式市場を通じて日本を考えて欲しかったのです。故に、最初のホームページが「株式市場 日本を考える」と言うサイトを立ち上げたのです。歩合外務員では、どんなに努力をしても食えないのです。年収が120万円の世界です。

その為にネットの世界へ転職しようと思い、その技術を磨くために、最初に、独学でホームページを開設したのが、現在のIRNETの切っ掛けです。どこも一緒なのです。政策が間違っていれば、国民は疲弊します。最後は革命です。未だに世界中を見渡すと…至る所で暴動の火種が尽きません。現在、イタリアの若者の失業率は高いままです。どうにか…EU体制なので、ドイツやイギリスに行き、なんとは不満が抑えられています。努力をするものは、なんとか食えるからですね。しかしイタリアに居る若者は、大変な状況です。優秀な奴は海外に出て生活の糧を得ています。

日本も2000年初め、多くの志を持っている若者が、名目の世界に向かいました。実質の日本に見切りをつけ、中国などに行った若者も多かったですね。一流銀行は毎日、不良債権処理です。「貸し剥がし」ですからね。道徳観に苛まれ…先の見えない日本から脱出した若者は優秀な人が多かったのです。丁度、みずほが、倒産すると…騒がれる時期(2002年~2003年)です。それから10年を経て…ようやく政策は転換され、緩やかな名目成長の世界に移行しています。しかし、もっとアクセルを踏むべきだろうとカタルは考えています。なかなか「流動性に罠」から抜け出せず、麻生財務大臣は、内部留保を積み上げる企業に対し噛みついています。政策は実質重視なので…企業は現預金残を積み上げ、内部留保に走るのです。誰もインフレの名目になるとは思ってないのです。だからケネディクスの株価は、3年も横ばい圏なのです。

実は全ての根幹は、金融規制にあるのですが…この考え方は、あまり一般化していません。天文学的に積み上がったCDSの残高を正常な…なのかどうかは分かりませんが、金融デリバティブと言う影の銀行システムに頼らずに、この潜在リスクを、表に出しているのです。この金融規制が強い為に、世界中の中央銀行が量的緩和を実施しているのに、なかなか物価が上昇しません。本来なら…活動が活発化する筈ですが、この金融規制の影響とスマートコミュニティーと言う新しい世界を前にして、人類は竦んでいるのです。人間と言うのは過去に経験したことに対する対応は、比較的容易ですが、未知の新しいことに対しては、警戒感が先立ちます。

この新しい扉が、開くか、どうか? 「金融規制克服論」はIoT時代のスマートコミュニティーの扉が、開くことを指します。ここで、その扉の指標の一つを紹介します。WSJのサイトに「上がらないインフレ期待の新たな解決策」が掲載されています。この記事の趣旨はFRBが目標としている「物価目標の2%を、更に引き揚げろ!」と言うものですね。バーナンキ前議長らが、主張しているようです。例えば、この目標値を3%にするとか…5%にするとか…にすれば、人々に期待感が生まれると言う趣旨のようです。

ブレークイーブン・インフレ率の推移

ブレークイーブン・インフレ率の推移

このレポートの中で、名目国債と物価連動債の利回り格差の推移が載っています。10年物の「ブレークイーブン・インフレ率」と言うものですね。此方です。この差が3%以上に広がれば…インフレの世界になります。此処で、先ほどの麻生さんの話に戻りますが、日本だけが、単独で名目の世界(インフレ)を目指しても…なかなか軌道に乗りません。ただ…これから一気に「金融規制克服論」と言う名目の世界が、加速する可能性が存在します。

IoT時代の幕開けですね。半導体価格の上昇、中国、インドの好調な自動車販売、海運市況も改善、原油価格も含めCRB指数の推移など底打ちはしましたが…明確な上昇過程には、今の所は、至っていません。今の時期は、此処が相場の焦点なのです。金融規制を克服して、実態経済が新しいスマートコミュニティーへの世界に向け、加速しているかどうか?半導体のDXI指数を観ていると…新しい世界は、既に幕開けのような気もしています。

逆にまだまだ実質の「流動性に罠」に嵌ったまま…だという意見もあるでしょう。ダリオ時間は、焦ってFRBが利上げを実施すると、折角、暖まってきた景気に、水を差すというものですね。2013年5月のバーナンキ元議長のテーパリング発言から、今年は既に4年以上が経過しています。本来なら…とっくにインフレが過熱しており、利上げをどんどん実施している筈です。しかしリーマンショックの打撃が大きく、金融は沈んだままです。未だにイタリアは不良債権が懸念され、ドイツ銀行など自己資本比率問題を抱えています。この辺りの綱引きが、続いているのです。9月のFRBの利上げ予想は12%で、12月の利上げ予想も45%程度なのです。

この辺りの時代背景を、確り把握してないと…相場の銘柄選択も間違います。銘柄を当てることなど、そんなに難しい事ではありません。タイミングが読めないだけです。仕掛け人たちが、どの段階で入るか? どのくらいの力を持っているのか? 相場と言うのは様々な要素で、創られていきます。だから目標株価など…意味がありません。時間軸の問題がありますから…。

少なくとも、IRNETの読者は、質が高い投資家になって欲しいと願っています。賢い投資家が増えれば…やがて日本も変わります。国民の知的水準が引き上がれば…良い国が形成されると思っています。株価が、どうとか…。そんな事は、小さく見える筈です。それでは…また明日。



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