半導体を考える

毎日、レポートを書いていると…いい加減な事を述べるわけにもいかず、様々なデータを探し、自分なりに調べることになります。昔は、苦労して資料を集めたのですが、今は便利な世の中になり、各省庁を始め、様々なデータが無料で、簡単にネット上に転がっています。一部の調査機関は有料サイトなのですが、色んな形で、業界の最新資料が手に入ります。でも指標が注目されると、昔は無料で提供していたのに…有料にするサイトが多いですね。ケース・シラー住宅価格指数などもそうです。とくに最近、関心を持ってみている半導体関連は、有料サイトが多いようです。

カタルは昔、エルピーダにご執心の時があり、半導体市況にも関心を持ったことがあります。故にご紹介しているDXI指数なども…事前に知っていたわけです。もしこのような経験がないと…この指数を探すだけでも大変です。

DXI指数の推移

DXI指数の推移

この指数は台湾の「DRAM eXchange」が、主要DRAM価格動向に基づいて発表している最新の価格動向です。このサイトも詳しいデータは有料ですね。でも…この価格変化はすごいですね。昨年はスマフォも低調で…基本的に半導体価格動向は低迷していました。この時期に、カタルはVテクに注目していたので…凄いですね。自画自賛。まぁ液晶と半導体は、多少は違いますが…似た者同士です。故に製造装置でも、企業がダブるケースが多いのです。

SOX指数の推移

SOX指数の推移

先日、紹介したSOX指数と言うのは、半導体に絡む企業の株価を元にデータ化した指数です。この株安でも高値圏を維持しています。半導体の製造装置も多彩です。一度、勉強されると良いでしょう。カタルは市況産業が、あまり好きではありません。理由は、一般的に市況ものは一時的なブームになり、価格が上がると増産体制になり、市況が緩むと直ぐに赤字に陥ります。とくに製造装置などは…惨めなものです。受注がなくなります。故にVテクも、一過性の利益を考えるのが普通です。ゲームのように、一時的に利益が急増しても直ぐに駄目になるのです。だから利益が上がって来て、割安に感じたら「空売り」なのです。割高の内は買いなのです。

カタルはハイリスク派ですから…今回は、シリコンウェハーのSUMCOに注目しています。本当は…信越化学(信越半導体)なのですよ。この2社はウェハーの双璧ですね。昔はメーカーが乱立していましたが、今は寡占化が進んでいます。先日、世界シェア6位の台湾メーカーの環球晶円(グローバルウェーハズ)が、同4位の米サンエジソン・セミコンダクターを6億8300万ドル(約680億円)で買収すると発表(8月20日)しました。でも合併後も世界シェアは3位だそうです。信越化学とSUMCOで、世界シェアは50%を超えるそうです。

でも不思議なことに…主力の300ミリウェハーの価格は、下げ続けています。フル操業なのですが…これまでの円安やシェア争いの為に、単価は下がっていたと言います。現在の活況を受け、品不足傾向のようで…来年は円高もあり、値上げが視野に入ってきたと言います。

SUMCOの業績動向は、現時点は…熊本地震の為に伊万里工業の操業停止が影響し損失を計上、更にロジック半導体の急回復に伴い、生産効率の良くないエピタキシャルウエハー生産にシフトしたことで、一般的なウェハーでの収益機会を逸したこと、そうして海外売上高比率が70%強と円高による利益の目減りが大きいことなどが…指摘されています。故に、先日のように目先を見れば…レーティングの引き下げもやむ得ない…とも言えます。ただ年末にかけても、現状の動向が続くと…2017年に向けた販売価格の是正が期待されます。

何しろ、この業界の300ミリウェハーは、リーマンショック以降、価格は半値以下まで下落し続けており、もし値上げが実施されれば8年ぶりと言います。注目されるのは、此処ですね。おかしい…ですね。寡占化が進み、台湾メーカーが買収に乗り出したのです。半導体もそうですね。インテルにサムソンや東芝に集約されています。SUMCOの見所は8年ぶりの値上げが、実行されるかどうか…。

株と言うのは「変化率」なのですね。信越化学は優等生ですが、SUMCOは劣等生です。故に好況になると…真価が発揮されます。ハイリスク・ハイリターン好みのカタルらしい選択です。意外にSUMCOは、大企業なのに個人投資家好みの値動きをします。変動率が髙いのです。加えて市況ものですから、業績の変化率は高い筈です。半導体業界は、この4月頃から急速に変化してきました。でも熊本地震は4月でしたね。この時期の数字は8月に出たばかりです。つまりダメダメで…SUMCOは、これまで叩かれました。レーティングの引き下げもありましたね。馬鹿なアナリストです。

300ミリウェハーの生産動態統計の推移

300ミリウェハーの生産動態統計の推移

ここで…経産省の生産動態統計調査を観てみましょう。現在の工場の稼働率は、ほぼフル操業だと言います。現在の世界的な300ミリウェハーの生産能力は、月間で500万枚ほどだそうです。因みに月産10万枚の新規の工場新設には350億円から400億円の資金が必要だそうです。金融規制克服論が相場の背景を支え、果たしてIoT時代の幕開けになるかどうか…。

ここでポイントを一つ紹介しておきます。先日、レポートでも軽く触れましたが、LPWA(Low Power Wide Area)ネットワークの話ですね。一度、此方のソフトバンクの解説を読まれて置かれると良いでしょう。この解説を読むと分かりますが、カタルが「IoTのユビキタス」が、上場来高値を更新する可能性に言及している事の背景を、御理解いただけると思います。

証券マンの人は、カタルのこの原稿を参考にして、自分なりに時代背景を調べないと…顧客に説明できません。休みも、確り勉強しないと自分の成績は、なかなか上がりませんよ。顧客に儲けてもらって、初めて共に成長できるのでしょう。読み違いで…損をするのは仕方ありませんが、顧客も納得できる「損」でなくては駄目なのです。いい加減な…「儲かります」と言う眉唾のセールストークは止めて、自分の考えをしっかり伝え、顧客が、その賭けを、望むかどうかですね。リスクを説明する必要があります。

幸いSUMCOの株価位置は、歴史的に見て…高い位置ではありません。どちらかと言えば…低い位置です。故に、IoT時代到来の思惑が外れ、たとえ失敗しても…損失は限定されます。たぶん…失敗だったとしても、時間の読み違いだけでしょう。この話は良くありますね。ケネディクスは、既に3年も待たされています。それでは…また明日。

SUMCOの株価推移

SUMCOの週足株価の推移



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