ケネディクスの決算を考える

ケネディクスの決算感想の前に…重要な事なので軽く触れておきます。一時的な現象でしたが、ドイツ国債が大きくぶれています。此方の資料は驚きでしたね。でも実際の金利上昇はこんなイメージです。上下のグラフを見比べてくださいね。金利水準より、現場の対応が問題なのですね。一番怖いのは、人間の見えない恐怖心ですね。所謂、パニックです。通常なら、なんでもない現象なのですが、予期せぬ事が起こると、人間は理屈に合わない行動を取ります。その行動が引き金になり連鎖するのが金融の世界です。この一時的な混乱が大きな結果に変化しますね。

変動率が異常に増加するドイツ国債
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変動率が異常に増加するドイツ国債

 

独逸10年国債の利回り推移
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独逸10年国債の利回り推移

「taper tantrum」と言う造語が生まれました。テーパリング(量的緩和の出口戦略)に対し、癇癪を起こす市場と言うイメージなのでしょう。幸い、一部、懸念されたECBによる量的緩和打ち切り観測が、ドラギ総裁から否定され、来年まで継続すると確認が取れ、難を逃れました。2年前の5月に、バーナンキ議長は出口戦略を口にしました。市場予測と大きく違ったために、材料が市場で未消化だったのですね。故に株価は低迷を余儀なくされましたね。

この出口戦略(テーパリング)に対し、市場は、この2年間、準備をしてきました。ようやく、先頭を走っているゴールドマンサックスが昨年末に準備を終え、今年春になりJPモルガンや、出遅れのシティーも準備を完了しつつあります。世界の金融で一番遅れているのは、欧州のドイツ銀行などです。しかし邦銀の三菱UFJは、初めて利益が1兆円を超えたとか…。カタルが昨日、予想していたように三菱商事に続き、三菱UFJも10%である1000億円の自社株買いを発表しましたね。これは国策なのです。これでトヨタの3000億円など含め、かなりの規模になります。ただ三菱UFJの配当性向は、依然として低いですね。配当を、もっと増やすべきです。この辺りは…先頭を走っている邦銀でも、オバマの清貧思想からの自己資本比率問題が、当然、背後にあるのですね。

これらROE経営を今決算の見所と…前から解説してきましたね。明確に流れは見えませんでしたが、大手建設などのコメントから、国内回帰が窺え、設備投資も始まったようです。政府のロボット戦略に電子カルテの問題など…重要ですからね。カタルは今期予想の決算数字など…、どうせ、当たらないし、どうでも良いと前から言ってきました。だから、富士通の続落などはないのです。上がるとは、現時点で言っていませんからね。ボックスの可能性は残ります。ここで重要なことは、ROE経営の浸透と、設備投資に対する経営者の意欲を、どう解釈するか?…だと述べて来たわけです。

長くなると困るので…「taper tantrum」に絡む一連の話を、頭の中に入れておいてください。さてケネディクスの決算数字ですね。1Qの利益だけで、既に通期の予想を上回っている訳です。63億円だそうで、単純に4倍すると252億円ですね。一株利益が100円近くになります。しかし今決算には、特別利益が含まれていますね。37億円ほど計上しています。これは、おそらく商業リート上場に絡み、ブリッジにある物件を振り替え、利益が発生したのでしょう。つまり商業ビルなど…を、私募債とか、子会社のスペースXとか、いろんなところに隠してある…と言う表現は、適切でないかな? 儲かっている物件を、様々な形で既に保有している訳です。あとは、その利益を最終的なプール先であるリートに移管し、現金を手にするのですね。AUMが1兆5千億円もあるのですから、含み利益が眠っている先は、たくさんあります。その儲けをケネディクスが全て管理しており、かすめ取るのです。言葉は悪いですが…そういう事ですからね。

証券会社も同じです。投資信託に株式をプールするのです。受け皿が必要なのですね。株を上げることは、実は簡単です。需給バランスで、株を買えば、株価は自然に上がります。ある程度の浮動株を、市場から吸い上げると…株価の動きが、早くなりますね。昨日、掲げた双日の動きを参考にして下さいね。

最近、ようやく三菱UFJの株価の値動きが、良くなってきたでしょう。上がるのは前から分かっているのです。論理的に観て、今の状態だと、最大では1800円ほどが…妥当株価の上限でしょう。浮動玉を、どうやって沈めるか…。投資信託や指数商品は、打ってつけの器ですね。ケネディクスも、同じことです。リートなどが、証券会社の投資信託のようなものです。市場が予測以上に拡大すれば、リートも再び利益を得て、保有物件を入れ替えることが出来ます。そうやって、目先的に利益を計上して、更なる資金を呼び込むわけですね。

不動産は、株なんかより、作為的に利益の操作が出来ます。なにしろ、公の市場がありませんからね。そこに来て、20%程度の価格操作は、容易です。100億の物件なら、20億円の操作が出来ますね。だからAUMの残高が、ものを言うのです。証券会社の預かり資産に似ていますね。どんなに営業努力しても、10億円の営業資産しかない人間が、100億円の営業資産のある人間に、成績で勝ることはできませんね。相手が1年に1回の売り買いで成績を上げているのに…、自分は毎月、1割以上儲かる商品を、同じ土壌でお客様に提供は出来ません。つまり営業資産が、利益の素なのです。ケネディクスも同じですよ。だからAUMがものを言います。

カタルは、今期予想を前から60円程度としています。場合によれば、100円台も可能でしょう。でも予測など…意味はありませんね。経営者の判断一つで、利益操作が可能だからです。これだけ既存のリートが存在すれば、途中で増資も可能になります。さらに、今度は介護リートですね。カタルが期待するコンセッション絡みのリートも、これから上場するかもしれません。例えば、話題になっている関空にしましょうか…、関空は大きいので、二つか、三つに分けて上場しても良いですね。商業ビルから上がる売り上げで、賃料が決まります。成績の悪いテナントは追い出され、常に入れ替えが可能ですね。でも賃料ですから、5%程度しか見込めませんね。手数料を引き、大衆(民間)のお金を、国の国債償還資金に充てます。

コンセッションは、大きく伸びる分野ですね。何しろ、国の借金は1000兆円ですからね。高速道路も、その内に民営化されるでしょうね。パーキングエリアなどは、充分に商売が成り立っています。上下水道も可能でしょう。1000兆円の資産ですから、ほぼ無限の広がりがあります。だからケネディクスは、PER100倍の評価まで、可能性がある企業だと述べている訳です。あとは経営者の器次第ですね。最近、カタルが評価を下げているのは、どうもセコイですね。BBT信託の75万株程度は、どうでも良いのです。本物の経営者なら、オプションにしますね。時価総額目標を据え、株高の戦略を描きます。事実、ソフトバンクの孫さんは、そうですね。時価総額勝負ですね。相手は国の借金である1000兆円だもの…でかい夢です。

前にカタルは、「リートはPFIだ」と述べました。民間資金が社会基盤の支えるのですね。だからケネディクスを買う事は、社会貢献に繋がります。でも肝心の経営者に、その視点がないと、折角の宝物を…物に出来ませんね。ソニーがそうでしたね。カタルは、携帯はアップルとグーグルに覇権を握られましたが、テレビで覇権を握れる可能性のある企業はソニーしかないと思っていました。理由は映画にゲーム、金融と…何れも傘下を抱えており基盤があります。故に、あとはソフト資産をどうやって、提供するかなのですね。KDDIやNTTなどと組み、NHKを従え、BBCもFOXも、全てのソフト資産を活用する場を構築すれば…無限の利益が可能です。ソニー株の10万円ですね。ところが…チマチマと…画像処理程度ですからね。

経営者は、投資家を引き付けるビジョンが必要です。法螺と言われても…、その夢に邁進するから、評価を与えられるのです。雪山をラッセルすべきですね。孫氏や柳井さんのように…、世界に羽ばたいてほしいのです。さてデッサンは、分かりましたね。肝心の数字ですが、2Qも介護リートの上場が予定されています。おそらくボーナス期に合わせた6月でしょうが、既にブリッジや私募債などに物件が存在し、それをリートに付け替えますから、1Qと同様の利益が得られると思います。そうすると、流石に通期は評価損の計上があり、一株利益が20円台などと…寝言を言えなくなりますね。BBT信託の組み入れも終えていますから、自分達の利益に繋がるので、おそらく通期も増額するでしょう。幾ら含み損があっても、既に前期で、粗方の処理を終えています。

NTT都市開発の商業ビル化も、これから収益化しますから、下期から来期も業績に不安はありません。問題は、日銀がリートの購入を止め、冒頭のテーパリングを模索する時に、市場全体が横ばいになる可能性が出てきますね。でもオリンピックを控え、日本の国際化が進むと、日本独自の村論理が、今回のROE経営と同じように薄れます。そうなると、海外企業は、アジアの拠点として、アップルのように、続々と東京に拠点を設けますから、空室率は下がり、賃料は上がるので、背景はしばらく悪くありません。

目先でなくても、10年後も、おそらく大きくなっていますね。何しろ「デフレ脱却」のシナリオが進行中なのです。既存の1兆5千億の資産は、労せずに、持っているだけで2兆円に、やがて3兆円に膨らみますね。ケネディクスの時価総額は、直ぐに1兆円台になるでしょう。現状の時価総額は、1354億円でしかありません。まぁ、AUMからのあがりを3%とすれば…、資産が3兆円に拡大して、3%のあがりは900億円ですから、実効税率を30%としても、630億ですから、PER10倍で時価総額は6300億円ですね。だから株価2371円ですから、2000円台の株価は、既に常識なのです。昨年はAUM残高を2743億円、伸ばしています。今期の1Qでは、既に858億円の増加ですね。今年は、4000億円近く伸ばせるのでしょうか?

細かな数字より、企業収益の素に、注目してくださいね。AUM残高の推移を掲げておきます。

ケネディクスのAUM残高推移
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ケネディクスのAUM残高推移



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