昨日はお休みを頂きました。ごめんなさい。
いくつかの疑問が生じ…「相場のシナリオ」が見通せません。これまで信じてきた仮説が正しいのかどうか…。疑問が生まれているからです。市場は米国の「利下げ」の是非やその回数などを巡り…攻防を繰り広げています。
最初の基準は今年6月からの利下げが一般的だったのですが…市場は利下げを迫り、この前倒しで「3月説」の利下げ説が浮上する程、「利下げ期待」が市場にありました。この3月説の期待により、早めに…米国株は上昇してきたのです。
しかし経済データを観察すると…この3月説は消えて、当初の6月利下げ説に戻っています。株高は資産効果から、消費行動を支えますからね。6月説に傾く過程で…利下げの回数は6回から3回に減って来ました。それ程…経済統計のデータは強いのです。
米国経済の強さはインフレを超える「賃上げ」の実現です。消費者物価より、人件費の上昇率は高く…実質的な成長力が高いのです。理想的な展開なのですが…この高い成長率は「仮需」の影響を受けている可能性が高く、仮に仮需の影響なら、後で…その「咎め」を受けます。まぁ株価で言う「乖離」問題と同じだと思って良いのです。
だから「コロナ禍」で大量に発行された「ドルの回収」が必要なのです。この余剰資金の残高を見ていれば「利下げのタイミング」が分かると思っていました。カタルはFRBがコロナ禍においてQE(量的緩和)による…余った余剰資金を「公開市場操作」により、FRBが売却した米国債の推移を示す金額である…「リバースレポ」の取引額に注目してきました。その様子が此方のグラフです。故に、そろそろ…QT(量的な引き締め)を止めて、「利下げも近い」のだろうと思っています。
当初は、FRBが「物価高」の認識を誤って読み…緩和姿勢を長く続けたので、その反省から、「一気」に…金利を引き上げたのです。カタルは、その「速さ」を懸念していました。金利水準ではなく「利上げのスピード」を懸念していたのです。必ず…この利上げスピードに付いて来れない「闇」が、表面化する可能性を危惧していたのです。
実際に…昨年の3月に米地銀の「シリコンバレーバンク」(SVB)が経営破綻しました。しかしこの程度で…大きな「広がり」はなく、この問題は沈静化してきました。これは一気に預金が引き出された現象で、たぶん…SVBの実態は、健全だったのです。
そこに今年初めに「New York Community Bancorp, Inc.」 (NYCB)の商業不動産問題が表面化しました。日本では「あおぞら銀行」(8304)の減損会計です。
ただ商業不動産の問題は、依然、片付いていません。今の金利水準で「低金利時代」を元に計算した債権の「更新作業」は来年も続きます。カタルは利下げがあるなら、一気にこの「更新作業」が進むと思っています。しかし未だに…実際の利下げはありませんから…「我慢比べ」が続いています。その「延滞率」も高い状態です。このままでは…悪化する商業不動産の更なる「減損処理」が必要になります。
商業不動産問題に加え…最近は個人消費も高い金利負担により、どんどんクレジットカードの「延滞率」も上がっています。確実に…経済活動は「沈静化」すると思っているのに…なかなか実際の経済統計値は悪化しないのです。だから…「不思議な疑問」が生じています。
この高い成長を続けられるなら…たいしたものです。しかし実際には政府補助による…「仮需要」なのでしょう。米国の「財政問題」は深刻度を高めています。この仮説が、今の考え方ですが…「違う見方」があるのかもしれません。
同時に考えられるのは、「AI革命」が進展して…「業務が効率化」している可能性もあります。AI革命による「効率化の加速」です。それなら…雇用統計や失業率は悪化します。だから少子化高齢化の日本は、本来なら少子化はマイナスなのですが、溢れる失業問題が軽減されますから、他国に比較して優位なのです。
カタルは、当初は「金利推移」だけ見て判断をしたから、米国の好調さを疑っていたのですが…今は、バイデン政権になってからの「財政出動」のインフラ整備を始め…半導体への補助がインフレの鎮静化を遅らせていると思っています。あるいは…AI革命による技術革新の効率化ですが、この説は前者に比べ…劣ると思っています。
基本的に…米国の「潜在成長率」(中立金利=R*)の話しなのです。このような観点を考えながら…いくつかのリンクを掲げますから、その関連するサイトを読んでください。先ずは…サマーズ元財務長官は、一貫して同じような指摘をしており…米国の「潜在成長率」は高いんじゃ…ないかと述べています。これはAI革命による効率化を指摘している可能性もあります。
基本的に「仮需による成長」はカンフル剤程度で、実際の成長とは違います。米国は中国との「覇権争い」を抱えており、半導体のCHIPS法を中心にインフラ整備も加速しています。だから日本の民間企業の業績は、米国中心に堅調なのです。よって中国経済の落ち込みを補っています。
このような経済環境と株価の関係を観て、高い「利下げ期待」により上がって来た株価も実際はAI関係を除き…M7も評価が割れ始めています。代表事例は「テスラ」です。グローバル化の推進はありますが、何かの「切っ掛け」で「負の側面」の再評価を疑っています。その切っ掛けが、イスラエルの「ラファ」への強行姿勢です。
もともと…歴史を観るとイスラエルはパレスチナ人を迫害してきました。基本的に、どんどんパレスチナ人を、武力により…イスラエルは追い出しています。彼らの意思は無視をされ…強引にユダヤ人を移民させた歴史があります。だから中東情勢は不安を抱えたままです。
ここにシリアのイラン大使館の空爆です。イランが、いつまでも黙っているとは思えません。折角、沈静化している「インフレ」を原油価格の上昇が、悪化させる可能性もあります。つまり「商業不動産問題」も先送りされるのです。更に米国の財政問題も表面化する可能性があります。
でも最も…懸念される問題は、市場の高い「乖離」なのです。利食いのマグマは溜まっている状態ですから…何かの切っ掛けで、そのマグマを解消させる作業が必要なのです。
過去の歴史では、必ず、高い乖離は、なにかの事件が「切っ掛け」で解消されます。金曜日の米国株は高いのですが…カタルは「下値は買うけれど」、株価を追ってまで、高値を買う事は、「当面」は様子を見ようかな?と思っている現状です。
勿論、このまま「株高」が更に続く可能性もあるのです。それはAI革命による効率化がドンドン推進され…実際は本当に「技術革新の進化」をしている可能性でしょう。政府のよる補助なんか…なくても「産業革命」を凌駕する「AI革命」による人類の進化です。
あるいは…両方の可能性もあります。どっちにしても…カタルは市場原理主義者ですから今の高い乖離状態が解消されるならカタルの疑問も解消されます。
今のカタルの心情が良く表れているのは…昨日の日経新聞の夕刊の十字路で馬渕 治好さんの意見に、近いのかもしれません。
基本的にカタルは市場が「高い乖離状態」を解消するなら…また強気に転じます。しかし…今年は「大統領選」の本番ですから「大きな下げ」は考えていません。ちょっとした「ガス抜き」程度の調整でしょう。