先ずはお詫びです。昨日の本文に誤りがありました。付利金利のマイナス金利への言及を述べたのは、元日銀副総裁の岩田一政氏で、現副総裁の岩田規久男氏ではないのですね。カタルは見出しを読んだだけで、同じ岩田日銀副総裁となっていたので間違いました。読者から教えて頂き有難うございました。当座預金に眠る200兆円規模は、大きな金額です。まぁ、一旦はゼロ金利にして…、それから期間を区切って、3か月ごとに段階的にマイナス金利に移行させることも…出来ますね。リートやETFの買い入れ額を増やす事も有効でしょう。
ただボーナス効果があり、8月の個人消費は前半の猛暑の影響もあり良かったようです。7-9月期のGDPは、依然、混沌としています。2期連続のマイナスになるかどうかは微妙です。でもマネーストックの伸びが、6%台の米国と、4%に乗ったばかりの日本とは条件が違いますからね。やはりデフレ脱却のためには、10%程度の伸び率が、一時的にせよ、必要なのではないか…とも考えています。既に国債買い入れにより、マネタリーベースの供給は充分ですから、貨幣乗数効果が落ちている原因は「眠れる日銀当座預金」ですからね。カンフル剤が必要なのでしょう。何度も述べていますが、景気(マネーの伸び)は、鶏と卵の関係で、実態景気が強くないとマネーストックは伸びません。
しかし強引に誘導する事が刺激になり、銀行融資が活発化する事もあり得ます。昔のように窓口指導をすれば、良いと思っています。銀行にノルマを掛ければいいのです。カタルにお金を貸してくれれば、いくらでも借りるのに…。企業に眠る余分な資金ストックは、間違った考え方ですね。故に日経新聞が、もっとROE思考を宣伝する必要があります。
何故、このように不信になったかと言えば、行き過ぎた金融政策が、原因でしょう。木村リストなど…と云う倒産予備軍のリストが出回り、強引にUFJを潰したためですね。そもそも不良債権の認識は、人により違います。自己資本比率を高く設定すると、自然に貸し出しを減らします。この辺りも問題の根本ですが、なかなか清貧思想のオバマは考えが変わりません。やはり主導者は、育ちが良くないと駄目なのでしょう。
サマーズ前財務長官は『現在でさえ市場が織り込んでいる金利の道筋はFRB当局者が「ドットチャート」で示した予想よりも、はるかに低いと指摘した。市場が織り込む金利の道筋がインフレ急上昇につながる可能性が高いならば、それが市場の期待に反映されるはずだが、そうはなっていない。』と述べたとか…この発言はサマーズらしいですね。
基本的に、政策は市場に沿った形で発動しろと言うものなのでしょう。ダリオ氏なども似たような考え方で、カタルは株屋ですから、当然、市場重視です。だから米国景気は偽りの景気回復と述べたのです。しかし…ドル高が示すように…米国には、ジャブジャブの資金流入が起っている筈で、イエレン女史が、将来に於いて、急激な利上げに追い込まれるリスクも…あり得るかもしれないのです。難しい判断です。サマーズはグリースパンと似たような感覚なのでしょう。現在は良いが…後の世は、変化しているかもしれませんからね。こんな禅問答のような、分からないことを考えても仕方はありません。
米国の8月の自動車販売は好調でした。しかし雇用統計が発表され、最初は米国経済の悪化を重視して、株式相場はマイナスに傾きましたが、結局、最後は利上げ後退が支持され、株価は上がりました。実に面白い現象です。
拡大した金融デリバティブ、CDSなどの減少分を埋める為に、世界の中央銀行は量的緩和と言う方策で、その不足分を埋めました。1989年のベルリンの壁崩壊までの東西冷戦下の世界経済と、東西冷戦が崩れ、BRICsが参加した世界経済は規模が大きく拡大しました。この為に物価の標準化作業が起り、日本化現象が生まれました。日本は鎖国制度に近い感覚の加工貿易で伸びてきたので、至る所で矛盾が噴出し、構造改革を余儀なくされたわけです。
何も…中央銀行が供給したマネタリーベースを減らす事はないですね。民間金融が新基準に適用するまで、かなり時間を要します。カタルが安いと感じた三菱UFJの株価は、未だに純資産水準を回復していません。世界で一番先に、洗礼を受けた国なのに…。今回の中国経済からの混乱なども…、大元は、このお金の流れですね。リーマンショックで失った信用の回復が、どの程度のスピードで進んでいるかの問題です。「転ばぬ先の杖」を使いたい、イエレン女史の気持ちも良く分かりますが、昨晩のNY市場の動きは、明らかに…市場は、「サマーズ時間」を示している訳です。
結局、システマチックリスクの方が、株価にとっては…大切だと言う事なのでしょう。この動向を探る為に、カタルは独自の指標を模索しています。その一つが好転率ですね。その好転率は、いよいよピークアウトするかもしれません。既に市場は新しい段階を示しているのでしょう。