下の米国金融大手6社の株価推移は、リーマンショック前夜(9/12)を、1として指数化したものです。シティーバンク(C)のみ、2011年3月に1/10の併合をしています。指数は考慮してありますのでグラフは影響を受けません。このグラフを見ると分かりますが、やはり危機時は、悪戯にスケベ心を発揮せず、王道を行くのが正解だというのが分かりますね。JPモルガン(JPM)の投資やゴールドマンサックス(GS)が良かったのは分かりますが、流石に…バフェットです。良く調べたのでしょう。ウェルファーゴ(WFC)は、なかなかですね。しかし…金融株への投資は、余り良い投資ではなかったようです。6社平均では、ようやくリーマン破たん前の水準に戻っただけなのですね。次のグラフが平均化したものです。
金融と実体経済は、鏡の関係で…相互に影響を与え合っています。一方だけ、別の動きをする事はありません。金融が栄えれば、必ず実体経済(企業業績)は良くなります。逆に企業業績だけが良くて、金融株が下がる事はありません。故に、金融株の水準は非常に重要なのです。カタルがマネタリーベース(マネーの種?)、そうして、そのマネタリーベースにより増減するマネーストック(お金の流通量)などを、よく話すのはその為です。実際の産業活動の電力の使用量のような感覚でしょう。貨物輸送とか…。お金は、その大元締めですね。
何故、こんな話をするかと言えば…米国の経済回復は、偽物の復活だと思っている訳です。その為にFRBは利上げを急ぐべきではないというのが…カタルの意見です。インフレになっている訳ではありません。インフレの影に脅えているだけの話ですね。更にドルと言う通貨価値が下がってはいませんね。逆にドル高になっています。中国は「元」価格を維持するために、ドルを売り、元を買っています。
先ずは金融株の推移を見て貰いましたが、次は、人間の一番の買い物、住宅動向について…米国の指標を見てみましょう。なかなか苦労しました。最近のデータは転がっていますが…歴史的な検証と言う意味での期間の長いものを探すのに苦労しました。英語は得意でないカタル君、この作業は、意外に大変なのです。
住宅統計にも建設許可件数のものや、実際の着工件数のものなど…色んな種類があるのです。此処では一般的な住宅着工件数を見てみましょう。データは「米国商務省」のものです。サイトは此方です。1959年からデータがありますから…実際の米国の住宅事情が分かると思います。さらに中古住宅の販売状況は此方のサイトがデータの出所です。
別に、雇用統計だけが経済状況を表している訳ではありません。イエレン女史の得意分野は、労働問題なのです。彼女は確か…大学でその事を専門にしていた筈です。ヘッジファンドの儲けの種は、政策当局の矛盾を突くのです。間違った選択をすれば…必ず、彼らの餌食にされます。彼らは退職した政策担当者を雇い入れ、情報収集に余念がありません。世の中で、最も優秀な連中の集団と言っても良いですね。それに度胸もあります。米国の仕組みがそうなのですね。失敗しても、又やり直しが出来る社会環境なのです。だから思い切った「賭け」に、出ることもあります。
ただカタルは、自分の意見に沿った恣意的な「情報の選択」をしている訳です。メディア機関としては、あまりフェアではありません。別の見方もあるからです。アリババがバロンズに批評で、「株価が50%安になる」という記事を掲載され、ジャック・マー氏は、反論の書簡をバロンズに送ったとか…。実に、米国らしいですね。堂々と意見を述べ、公平に扱えば良いですね。未来のことなど…所詮、どれが正しいか、常に状況は変化しますから、誰にも分からない訳です。こんな事は常識ですが…、日本人はロボット教育を受けてきたために、疑問を感じませんね。困った民族です。画一化教育の弊害です。カタルは失われた時代の本質は、教育問題だと思っています。しかし教育は世代を超えますから、是正するには、更に時間が掛かります。
今回の安保問題もそうです。幼稚な野党の民主党の岡田さんは、リーダーの器ではありませんね。意見は完全に二分され、全国で草の根のデモ活動をすれば、安倍政権も危うかったと思っています。でも能力のない野党だから、助かったのでしょう。日本は本当に…なかなか人物がいませんね。長い失われた時代も、リーダー不足のために生じたようなものです。株式投資を真剣にやっていて、自分でデータ分析などをすれば…、何処に欠陥があるか? 分かりそうなものです。統計数字は総体額ではなく、常に変化率が大切なのですね。人間の気持ちを左右させるからでしょう。人間は常に昨日の自分と比較し気持ちが動くからでしょう。
そこでデータは短いですが…2000年からの着工件数と中古住戸住宅販売の動向の変化率を追いました。この資料のデータ元はFREDです。民間のものは有料らしく…探しました。でも少し短いですね。
こう見ると…先ほど、カタルが述べたように恣意的な「情報選択」の意味が、分かると思います。FRBの利上げに動きたいという判断も、それほど間違いには見えません。でもそんなに強くはありませんね。まぁ、難しい選択なのです。このような選択の積み重ねが、国力の上昇や低下に繋がります。失われた時代を通じて、我々は一体、何を得たのでしょう。
今週は木曜日と金曜日の二日間の立ち合いですが…、一部で10月利上げ説に怯える人も居ます。今の所、12月引上げ説が最も多いようですが…、カタルは利上げ自体も、危ういと思っています。更に、ひょっとすると…このまま混沌として推移し、再度の量的緩和再開に、追い込まれる可能性まで考えています。市場経済に於いて…政策を決めるのは、市場なのですね。つまり株価が、全ての政策を要求するのです。
9月6日の「行き過ぎる株価」と言うコラムの原稿には、米国の消費者物価の推移が載っています。もう一度登場させましょうか…。サマーズ元財務長官が、FRBの行動が間違っていると言っている根拠の一つに、掲げている消費者物価推移も、原油安の影響もありますが、この状態での利上げは、やはり危険なのでしょうね。だから9月利上げ説の前(2年物国債金利が0.7%~0.8%)の時に、市場が反乱を起こしたのです。株安の切っ掛けは、中国の「元」の為替相場の引き下げですが…、根底に存在する問題は、米国のマネタリーベース推移の問題であり、中央銀行の量的緩和機能を補完できていない民間金融の自己資本規制比率問題や制裁金などの影響なのだろうと…カタルは推測している訳です。