世界の中央銀行の量的緩和のおかげで…リーマンショックと言う金融秩序の崩壊を免れましたが、なかなか民間金融へバトンタッチできない様子が、この所の株価変動の原因と考えています。ブラジルは、分かりやすい事例でしょう。2000年前半に開花した金融デリバティブ=CDSと言う保険機能のおかげで、本来はお金が流れない筈の信用力の低い所までお金が流れ、BRICsと呼ばれる国々は、大きく躍進する事が出来ました。一党独裁の共産党政権の中国にまで…投資のお金が流れたのです。
これを上手く利用し、最大限に活用したのが中国ですね。インドは、最近、政権が変わり堅調です。しかしここに来て、ロシアやブラジルは、資源に頼り過ぎて、改革を怠っていた為に、ツケが回ってきた印象です。その様子を国債金利の推移からみると…分かると思います。じゃ…資源国のオーストラリアも苦しんでいるじゃないか? と言われるでしょうが…金利面からすれば先進国並みですね。やはり改革進展の違いでしょう。中国は固定為替を維持するために、この所、外貨準備を使い、元を買い支えているようです。故に、中国国内の流動性が失われ、上海株価が大きく下がったのだという指摘も…ある意味で頷けます。これを疑っていたので、中国は市場に資金を供給し、元を安値誘導しました。正しい政策に見えます。
世界から還流するドル資金により、米国景気は、本来なら、もっと力強くなっても良さそうですが…肝心の消費者物価指数は、原油安の影響もあり、インフレ率は一段と低くなっています。雇用統計や失業率ばかりに視点があたる為に、イエレン女史は賃金の上昇率に目を向けました。その為に、この動向ばかりに市場の目が行き、今回の9月の利上げ観測に焦点が当たり過ぎた為に、意見対立から強弱感が起り市場は更に不安定になっていますね。でもこちらの様子も、米国のCPIの動向もグラフ化しましたから、見て下さいね。確かに最近は日本の軽自動車販売と違い、米国では高額のピックアップトラックが中心に売れています。その為にハイブリットなどに軸足を移していた日本車の販売は低調で、逆に米国メーカーは大きく伸びています。でも過熱が見られる程ではありません。週間の賃金推移を見ても明らかですが、伸び率は2000年前半まで届いていません。
ロイターの報道では、既に9月の利上げはなくなり、12月も怪しいとの認識が増えだしていますが、日本のメディアは、9月の雇用統計数字は強いとも…?言われ、意見が分かれています。中央銀行と言うものは…どちらかと言えば、景気動向より貨幣価値、つまりインフレを必要以上に警戒します。通貨の番人であるので、通貨の下落を嫌がるものです。この辺りに、イエレン女史への不安が、市場にあるのでしょう。カタルは前から、マネタリーベースの動きから、マネーストックの動向を、気にしてきました。今の米国は2006年の日銀の立場と一緒です。日銀は、あの時、バブルの反省が過ぎる為に、通貨の供給量を絞り、国内景気が打撃を受けました。リーマンショックと重なったので、失政が分かり辛いですが…。まるで今の米国は、あの時の日銀の再現を見ているようです。2005年から2006年に向かって、対前年比で大きくマネタリーベースの伸びを抑えていますね。
最近の市場の過剰反応は、イエレン女史への「信認」が、大きく揺らいでいるのでしょう。彼女は前から株価水準は高すぎると…警戒を発していました。米国は市場経済の国で、基本的にROE重視ですから、自社株買いが盛んですね。故に株価価値は上がり続ける筈ですが…イエレン女史は、この辺りの認識があるのかどうか…。先進国はスマートコミュニティーへの入り口にいるのですが、異次元の発想の為に、米国もすんなりとシステム転換できないのでしょう。日本と同様ですね。昨日の日経新聞5面に、「フィンティックを後押し」…との記事がありますが、金融デリバティブの重要性は、明らかですね。FinTechとは、Finance(ファイナンス)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語で、近年は特に金融テクノロジー領域のベンチャー企業や、そのイノベーションを指して使われることが多くなっているとの…解説です。カタルは前からキャッシュレス社会の到来を述べています。
時代の移り変わりは、いつも混乱します。幕末から明治維新の改革を見れば明らかで…尊王攘夷から開国へ流れますが、攘夷派が開国派に変化したりします。面白いですね。歴史は本当に…。知れば知るほど…この年になって、初めて接する知識への欲望です。何度も書きますが、最近は、百田尚樹の小説が、お気に入りです。彼の小説の時代背景は昭和の動乱期を描いています。戦争に関連するものが多いようです。全部、読んでないので、まだ何とも言えませんが…「銭の戦争」(波多野聖)と言い、「海賊と呼ばれた男」(百田尚樹)と言い、なかなかですよ。本好きには、お奨めです。
今日は背景を説明するために、グラフを多用していますが…、どうも分からないのが、弱すぎる市場ですね。何か、予期せぬ「お化け」が出る可能性があるから、市場は身構えている様に見えます。おそらく基本は、オバマの清貧思想と、考えています。金融界への自己資本比率規制は…どうかしていると思います。毎年、監査を受け、必要以上に苛める必要はないと思います。スマートコミュニティーへの投資は、冒険です。つまりウハウハ状態の金融環境にならないと…なかなか時代が進みませんね。
ベンチャーへの投資は、博打ですからね。クラウドワークスは成長企業ですが…足元の業績の伸びは鈍いですからね。過剰な期待感が背景にあった為ですが、成長していることに変わりはありません。この辺りは…ケネディクスにも言えますね。ケネディクスの株価が、もたつく背景は…この金融環境でしょう。本当のバブルを、みんな知らないのです。故に影に脅えています。でも時代は明らかに、バブルのような金融環境を求めていますね。
リクルートの評価が低いのは、時代の伸びが鈍いからです。つまり金融が、真に緩んでないのですね。リクルートは、良い会社ですよ。ファストリなんかより、ずっと上でしょう。3500円を割れていますからね。NISAで子供やお孫さんの為に投資をしましょうね。100万が10年後には1千万程度になっているでしょう。
どの程度、カタルの頭の中が、皆さんに伝わるか分かりませんが…、日本は世界で先頭を走っているのです。この事は間違いないので…日本株が、世界で一番強いのですね。ただ中国問題や米国の利上げ以外に、EUの移民問題やロシアの経済状況など…知らない「お化け」が市場に存在するのかも知れません。それほど弱い市場です。2006年、サブプライムの時、カタルは、「CDS」の存在を知りませんでした。日経新聞には、全く登場していません。サブプライムローンだけだったのです。故に混乱したのですね。あの時、カタルはサブプライムローンだけでは、こんなに市場はおかしくならないと…強気を通していましたが、翌年、リーマンは破たんします。金融のシステム崩壊ですね。
でも今は、この反省期にありますからね。だからお化けが出たとしても怖くないと思っています。それとも中国と米国の軍事衝突まで市場が観ているのでしょうか? まさか…ね。日本株が弱いのは、安保法案の影響があるからかもしれません。安倍政権の信認問題ですね。株価が生命線の安倍政権、あと一歩なのですね。全てが進展していますが、完全に移行していません。ROEもそうですし、ピジョン化もそうですね。デフレからの脱却が成功してないから、黒字で配当をしており、尚且つ、PBR1倍以下の会社の株価が市場に溢れています。一方、食品株のように指数運用の重視の歪んだ市場が存在します。ようやく、今回の下げで、この歪みが修正されています。今度は「儲かる市場」になると思っています。その様子を乖離状態から見てくださいね。また…明日。