失われた時代は、肥沃な大地の肥やし

今日はケネディクスの決算を受け、説明会を見ての感想に、若干、触れたいと思っています。自分達が株を買ったこともあり、若干、増額修正に舵を切り、カタルの主張するコンセッションにも、決算説明会で「さわり」程度でしたが…触れていましたね。しかし、もともと、この金融デリバティブの話しは、一般の人には分かりにくいものですね。カタルが地銀の役員ならケネディクスの株式を5%程度保有し、ケネディクスの投資案件に参加し融資を実行します。地銀は、もともと地元に投資案件が少なく、預貸率が低いのです。故に、上部団体に運用を委託し、仕方なく国債投資をしていました。しかし近年、ROE経営が定着し、投資リターンが、問われるようになっています。ROE経営とは…効率化を競うのですね。

そもそも米国化学メーカーのデュポン社が開発した財務目標が一般化したもので、ROE(自己資本利益率)、ROA(総資産利益率)、ROI(投下資本利益率)などの効率化を調べる指標の一つです。資産投資には効率化の尺度があります。GDPが右肩上がりで成長しているときは、全体が一緒に浮上するので、総資産を拡大すれば、概ね、間違いは少なく成長する事が出来ました。日本経済の国際的な地位は低く、先進国に追い付く過程だったので、日立のように…何でも売り上げ重視で、規模の拡大経営をしていれば、問題がなかったのです。売り上げ重視の姿勢ですね。

しかし、日本の一人あたりのGDPがトップ水準に近づき、規模の拡大では非効率になって来ました。事例を掲げると公共事業投資の効率化が極端に悪化し、無駄な投資が増えましたね。ヤンバダムや諫早湾などの事例を、想定すれば良いですね。昔は鉄道や道路を作れば、全体の経済効率は上がりましたが、規模の拡大だけでは…経済が拡大しなくなって来ました。近年では国の借金が増え、社会インフラ基盤でさえ、更新需要を賄えなくなっています。だから収益性のある案件は、民間資金への移行が必要なのです。関空の運営にオリックスが手を挙げる事例を考えると、分かりやすいですね。国などの公共部門から民間への資産移転です。そうして国などの団体は、借金を減らします。国鉄の民営化やJTもそうですね。そうして、今回は日本郵政です。

2000年初め、金融デリバティブが発展し、リスクが分散される過程で、お金の管理技術が進化しました。不動産の収益還元法と言う考え方は、お金を投下すると、利益率はいくらリターンがあるか?…と言うROI(投下資本利益率)の考え方です。地銀などの金融機関は不動産などを組成し、収益を上げる能力がありません。しかしケネディクスには、そのノウハウがあります。幸い、日銀は量的緩和を実施し、貸し出し促進に動き、流動性の罠からの脱出を図っています。だから冒頭に…カタルが地銀の役員なら、ケネディクス株の主要株主になり、運用先に困っているお金の運用を考えますね。

GEが本業に回帰し、効率化経営を目指して、利益率の低い分野を売却して、その資金をより高いリターンが期待される分野に、投入しているのは当たり前の経営感覚です。その利益率の低い分野を、日本企業は喜んで買っていますね。最近の企業買収にも、ずいぶん、このような事例が多いようです。味ポンのミツカンHDは、ユニリーバからパスタ事業を2170億円余りで買収しましたが、利益率はそれほど高くない物件ですね。まぁ、ミツカンは自社製品の販売拡大を早める為に、相乗効果を期待して買収したのでしょうが…果たして上手く行くのかどうか。

ケネディクスの試みている市場は、今、時代の追い風状態なのです。問題は、この追い風を経営者が、活かせるかどうか…残念ながら、宮島さんにはその趣旨がないようだとしてカタルは評価を落としていましたが、今回の決算説明会で、若干、この社会インフラ事業へのさわりを、次の成長分野の説明で…今回、初めて述べていましたね。7月に上場した介護リートは、このコンセッションの考え方です。国が特養などの受け皿を作らなければなりませんが、需要に追い付いていません。だから…ケネディクスが建物を収益化して、リートとして組成したわけです。

アップルの事例を考えると、分かりやすいですよ。アップルは生産設備を持たないファブレスですね。フォックスコン・グループに生産委託していますね。これと同じ考え方です。今まではトヨタのように開発から生産、そうして販売まで、全て自前でシステムを構築して会社を運営してきましたが、1985年頃から、この仕組みが変化しています。工場も何れ…リート化しますね。既に物流システムはリート化し、効率的な運営が一般化しています。あらゆる基盤作りには、建設コストがかかり、そのリターンが求められるのです。道路も鉄道も全てそうですね。金融デリバティブが発展し、分散化され始めています。

インバウンド需要が急拡大をして、星野リゾートはリートにより資金を集め、一気に規模を拡大しています。ケネディクスは現在、六本木に於いてホテルの事業化を進めているそうですね。ホテルの建設コストは莫大ですが、安定した収益が建物から期待できます。この進化のスピードが、ケネディクスの株価を決めるのでしょうが…現状ではやはり4ケタの水準かな?…との印象ですね。今まで宮島さんの能力を疑っていましたが、今回の決算説明会で、若干、コンセッションの概念に触れており、その方向性を確認した次第です。

この部分は非常に重要なのですね。PERが大きく変化するのです。この後、実績を積み重ねて行き、一株利益の成長が目に見えるようになると…、馬鹿が高値を買いに来ます。既に一株利益の100円台程度は想像できますが…、問題は、その時にプラスαの夢が加わるかどうか…。これで相場が決まります。あとは仕掛け人の存在ですね。現状は未だに信用買い残が4000万ほどあり、あまり大きな期待は掛けない方が良いように思います。しかし相場が成熟化し、大型株から小型株に移行しますからね。まぁ…今回、サプライズはないかと思っていましたが、60億を80億に増額し、3割アップしたので新高値を目指す可能性は、出て来たようにも思います。業績予想通りに株価が動くなら…500円が650円になる計算ですね。でも上値はかなりのヤレヤレの売りが出てくるのでしょう。

カタル銘柄の解説は、この程度にして…。1937年問題と資源価格の動向は、世界のパワーバランスを変える大きな問題ですからね。インドは政権が変わり、順調に成長している様に思っています。しかし中国のように、ばく進するイメージはありませんね。それに世界の金融機関は、縮小環境です。インドネシア、ブラジル…中国と、ドル資金の引上げは続いています。マネタリーベースの増加が鈍化するという事は、世界のマネーの動きが鈍くなります。日本株がNY株などに比べ強いのは、基本的に日本はマネタリーベースの拡大を続け、ようやくマネーストックに反映されて来たからですね。日銀短観では設備投資の拡大が確認されています。TPP交渉の妥結が無理なら、日米間の二国間交渉の妥結でも、大きな影響を与えますね。この辺りの動向も大きな影響を受けます。

しかし基本的に…リーマンショックで米国の車の売れ行きが1700万台から大きく落ち込み…1060万台になり、それが大きく影響し、米国は昨年1684万台の車の販売を実現しました。基本的に大きく落ち込んだから…更新需要が溜まっていたのです。同じことが日本の産業界にも言えます。失われた時代に於いて…日本はどうしても必要な更新需要しか…設備投資をして来ませんでした。しかし時間切れで、管理コストはドンドン増えています。だから大規模な本格的な生産設備の更新需要が溜まっていますね。此処にIoTの概念が、加わるのです。何故、カタルは、「流動性の罠」から「スマートコミュニティー」の進展を主眼にして、相場を捉えているか?

この移行がスムーズに進めば、日経平均株価は10万円なのです。それくらいに失われた時代の時間経過は、大きな相場の肥やしになっているのですね。いよいよ8月のお盆の季節になります。此処からの不安材料の表面化は、絶好の買い場になります。戦後70年談話の評価も、安倍政権の真価を問うものになりますが…、基本は、「失われた時代」の肥やしにより、充分に肥沃な大地が、既に完成されているのです。流動性の罠の脱出=ケネディクス株の上昇の基本ラインは、何ら変わりませんね。一度、自分なりに決算をご覧になると良いでしょう。今回は、具体的な数字まで打ち出しています。余程、先への自信が、みなぎってきたのでしょう。



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