今日は米国の「雇用統計値」についての探求をします。
そのデータを探すのは、米国の労働省のデータでこちらのサイトから…この数字を元にして様々データを作成します。日本と違い米国は歴史的な検証が可能なような作りになっています。日本のデータを元に過去の検証をしようとすると、途中でデータの改正があります。別に時代に合わせた改正は構いませんが、そのデータが「過去の物との繋がり」が消えるのです。故に、なかなか…過去からの変化を、長い時間を掛けての検証が出来ません。
日本の建物を観ても…そう感じます。今は昔の形を残そうとしますが…その多くは象徴的な部分だけで、みんな壊すのです。でも欧州は「歴史的な外観」を残そうと法律で縛っています。内装は変わりますが、外観は昔のまま…です。文化の違いと言うか…、何と言うか…。
今回発表された雇用統計の人件費の問題の理解を深めようと…様々な角度から検証するために、わざわざ…米国労働統計局のサイトに行ってデータを拾っています。
データと言うのは「時間軸の取り上げ方」により…数字が変わって見えるものです。出来るだけ…長い期間の検証をしてから…細部を観るのが正しいデータの把握の仕方でしょう。その為に現在の米国の平均時給のデータは「全従業員の平均時給(個人、季節調整済み)」の「CES0500000003」と言うIDが用いられていますが、このデータは2006年からのものしかないのです。
故に、もっと古いデータから探そうとするために「生産・非管理職の平均時給、民間企業合計、季節調整済のデータ「CES0500000008」なら、その推移が1964年から観ることが出来ますから、カタルは1985年を基準にデータを拾って…その後のグラフを作成しました。
要するに過去から、今の人件費の上昇具合がどんなものか…歴史的な検証をしようと言う試みです。日本の場合、改正が行われると過去のデータを直ぐに消すのです。何処かに在るのでしょうが、探すのが容易ではないのです。データを重視する国と…おざなりの目先主義の日本との違いです。
自分の頭で物事を考えない国民性が…どの土壌にも根付いているのでしょう。こんなデータ一つ見ても、日本の「偽物」国家と言うか…。「ごまかし」の手法が分かります。このデータを観ると…コロナ禍における「ドタバタ劇」が、よく理解できます。
一方、雇用統計ですが…先ずは期間の長いものです。しかしそれでは細部が分かりませんから、期間の短いデータを作成します。
コロナの影響は…2020年2月から3月でした。一気に2020年3月は142万人の雇用が失われ…4月は、なんと…桁が違う2051万人も消えるのです。その後…5月から雇用は262万人、456万人、144万人、173万人、96万、71万と戻って来ますが…その際に起きた混乱が続いている様子がこの期間の短いデータから分かります。
2020年の4月だけ異常値です、グラフの基準を外れていますから…オレンジ表記にして注意を促しました。実際は2051万4千人の雇用が失われました。通常はこんな数字になりません。100万を超える上下が異常値なのです。
最近の人件費を詳細に観るために「労働時間」にも注目してみました。そのデータが此方です。此方は全従業員の週平均の労働時間の推移です。今の34.3時間と言う数字は、コロナ前の低い位置です。リーマンショック時のように…不況で消費が失われた不況期とは違いますが、コロナ禍で失われた雇用の補填は、落ち着いて来たのでしょう。この辺りを観てもこれからの賃金の上昇が大きく続くとは思えません。
消費が落ちて…雇用が失われる段階ではありませんが、一連のコロナ禍からのドタバタ劇は終わったと解釈するのが、妥当なデータの裏付けだろうと思います。
カタルは「Bloomberg」や「ロイター」などのニュースを良く皆さんに紹介していますが…その報道には、「色んな見方」があります。昨日は、同じ米国金利の動向を観る上でも…様々な見方があると言う訳で、いろんなサイトを紹介しました。
自分が、どれが正しい観方なのか? それを判断する基準に、このような公開データの分析が役立ちます。そうして…自分で「未来の相場」を、自分の頭で独自に予想するわけです。
カタルの場合は、早くから…米国の金利動向を伝えています。この理由は金利水準により株式の付加価値の基準値が変わるのです。
金利は、全ての産業に影響を与えます。「調達金利」が上がるという事は、運用する側のハードルが上がることになります。「金利分」以上の効果を出さないと競争に勝てません。今は債券で運用した方が有利な高金利時代を迎えています。
このハードルは色んなものに影響を受けます。基本は「物価」ですが…、それだけではありませんよ。安全保障面から、世界のパワーバランスを変えるために「ドルが買われている」面があります。全通貨に対して…ドルの価値は相対的に上がっています。
通常、借り入れ過多で…経済力に弱い国は、この調達金利の高さで経済が混乱します。今のトルコやアルゼンチンなどがそうですが…中国だって苦労しています。
経済成長が落ちて…「恒大集団」を始め…「碧桂園」もデフォルトです。通常は、あり得ない筈ですが…中国は「固定資産投資」に、過度に依存した成長を遂げたのです。その咎めを受けているのです。
ITバブルからリーマンショック、そうしてコロナ禍の混乱ですが、様々な社会現象を通じて…米国は、世界の「パワーバランス」をうまく調整しています。今回は「BRICs」の台頭…つまりG7で話題になった「グローバルサウス」の力が、先進国にも強く影響を与え始めたから、安全保障面の意識が高まり…ドルの調達金利が上がった側面もあります。
簡単に、物価高からの金利上昇なんて…馬鹿メディアの解説を鵜呑みにしないことです。
自分の頭で、色んなことを考えて…様々な角度から、その社会現象を検証するのです。これが株式投資の面白さです。何故、自分の想像通りの…現象が市場で現れないのか?
その原因を探ると…大阪チタンが、たとえ好業績を続けても本家のボーイングが低迷しているのに…子分の株価が親分を超えて、騰がる不合理さが指摘できます。故にカタルは大阪チタンの失敗から、米国株の動向を観るために米国経済の指標を丹念に分析して、米国株の動きを観ることに務めているここ1~2年ほどなのです。今回は、かなり…事前予想も精度が上がったと自負しています。
問題は、最後に残った「時間軸の壁」の問題です。
時代の推移によって「進化の時間軸」が変わります。その分析まで精密に予測できるなら「鬼に金棒」になります。時間軸に拘らなければ…株式投資などは簡単なんです。基本は安い株価位置になってから買い始め、徐々に持ち株を増やせばいいのです。
でも、目先に拘り…当てようとするから、人気の場面ばかりに自分の眼が向かいます。野村証券は大和証券の約3倍の器なのですが…現在は大負けしています。これは歴代の経営者が劣っているのです。能力のない奴は、さっさと…引退して、能力のある後進に道を譲るべきでしょう。
株価は正直ですね。客観的な評価を下しています。ただ野村証券は、来年は35年ぶりの政策転換の恩恵を一番受ける企業ですから、本来は市場で一番、ドラスティックな値動きになると考えています。時代投資をするなら、ノンビリ構えて…時間の経過を待てば良いのです。だから配当を貰って、預金の感覚で投資をすれば良いのです。700円で買っても十分に預金利回り以上になっています。
何れ…三菱UFJのような評価を与えられます。あの時にカタルは800円から打診買いを始め…500円台に下がる三菱UFJを観て10万株単位の営業活動をしたのですね。本当は金融庁が馬鹿でなければ…リーマンなんか関係なく、もっと早くに立ち上がったのです。
ケネディクスの株価も大きく上がっていた筈です。それを…ダヴィンチの金子さんに「退場のレッテル」を張ることが、間違った根底要因です。赤字法人への融資禁止は「清貧思想」の蔓延に繋がりました。
故に、黒田さんがいくら笛を吹いても、国民はみんな冷めた目で…政策を観ています。これでは黒田さんが最初に「2年で達成」と言って、マネタリーベースをいくら増やしても…実際にマネーストックは増大しませんでした。
結局10年たって、ようやくコロナ禍で「名目成長の芽」が出た所です。だから奇跡の貨幣を得る「奇貨」なのでしょう。一見すると…「えがたい機会だから、うまくこれを利用しなければならない」と言う言葉に隠された意味は分かりませんが、奥の深い言葉です。
近年はキャッシュレス社会ですから、「貨幣乗数効果」と言う概念も薄れているのでしょうが…それでもお金を動かすことが大切なのです。だから所得減税でお金を「ばら撒く」より、実際に消費を刺激する…お買物券の割引制度の方が優れた対策になるのでしょう。まぁ…色々あります。この原稿は明日の為に4日22:00頃に作成しました。アップは明日の10時にしておきます。それでは…楽しみに6日月曜の相場を迎えましょう。楽しみです。
株式投資の「奥深さ」を感じてもらえれば…それでこのレポートは十分に…その価値を発揮できたと言えます。でも自分で時間が在って調べるなら…「より一層」深い部分が分かると思います。米国の労働省のサイトに行って、最近のデータが手に入る時代です。
1929年の大恐慌時代とは「雲泥の差」です。あの頃は…通信手段も船便の時代です。1903年にライト兄弟が、世界初の飛行機を飛ばしました。そうして…実際は戦争によって、飛行機は発展します。ボーイング社が登場するのは1933年頃の話です。お金は時代の発展のために使って…「なんぼ」なのでしょう。また明後日ですね。