PERと成長力の話し

本日は「決算書の見方」を書こうと思って、今までスクリーニングの作業をしていました。でも最近会員のなったため、このスクリーニングの作業に戸惑い、途中であまりの時間に根をあげて中断しました。一つの資料を創るのも「完璧さ」を求めると…やったことがない作業は時間を浪費します。故に宿題にさせて頂き、素人が「間違いやすい盲点」を書こうと思っています。

通常は「収益性」の指標から、株価は「PER」が一つの基準になっています。PERは一株利益の何倍で、株価を評価していると言う指標で、PERが10倍なら…その企業が今の収益を上げ続けて「10年分の利益」で株価が評価されていると言うものです。ここで重要なのが「総還元性向」や「配当性向」などの考え方が重要になります。

基本的に日本のような成熟した国は、大きな成長は見込めませんから、本来なら株主から資本を預かって成長が望めなくなったら、稼いだ資金は100%、株主に返すのが道理です。内部留保を蓄積できるのは、成長度合いが高い企業だけなのです。

鉄鋼業などは、既に規模を追う段階ではないのです。それを「鉄は国家なり」…と言う戦後の社会資本の整備時代の概念を持ち出して、堂々と…正論のように述べた歴代の新日鉄の社長が居ました。もう狂った経営者です。だから、いつまでも非効率な高炉が残っていたのです。故に橋本さんは、苦労をして…整理をしています。なかなか…人を切れませんからね。前進は出来ますが、「撤退の決断」は難しいものです。

株式投資もそうですね。買うのは簡単ですが、損切りは難しいのです。

カタルが毎年、年末に大納会の価格で「損出し」をしているのは、来年に向け維持して良いかどうか…を、判断をしている面もあります。良くカタルは、レポートで「エーザイ」(4523)の話をしています。年末の大納会間際でクロスをした株価は9010円なのです。だから8000円割れは、何処でも買い場でしょう。

時々、カタルは推奨株でも、売る切ることが在ります。今は買っていますが、「ロコンド」(3558)も時間が掛かるとして…あの時はかなり買っていたのでしょうが、損切りができずに…2000株だけ現物株にして、残しただけで…他は全部、売りました。

最近では「Jトラスト」(8508)かな? 10万か…20万株程度だったか忘れましたが、一時は馬鹿になって買ったのでしょうが、全部売った後、あまりに下がるから…今は1万株だけを保持しているだけかな? 

船株もかなり熱を入れましたが、謎を残したまま撤退しました。今、スクリーニングの作業をしていたら、その「Jトラスト」がリストアップされ、何故、こんなの安い評価なのか…やはり謎です。「KPPG」(9274)なども…その口です。いくら買収でも…このPERの評価はないと、今でも思っています。お船と一緒です。

このように、イチイチ…「謎」を抱えて歩んでいます。

「三菱UFJ」(8306)の純資産価格を割っている現象の謎なんか…もう10年以上です。通常、黒字で配当をして毎年、内部留保を蓄積し続けているのに…一株あたりの純資産価値を割れ込むことは「あり得ない」筈です。だって全部を買って、解散すれば良いのです。だからカタルは「最高裁の判決」に噛みつきました。日本には、色んな柵(しがらみ)が存在して…論理的な行動がとれないから「村社会」と揶揄しています。だから海外投資家は日本を素通りするのです。

日本が、米国の資本主義と同じ経済の仕組みだと思ったら大間違いです。

決して自由な社会ではありません。楽天の三木谷さんは、経団連の村組織に噛みつきました。仲間を募るのです。徒党を組むと言うか…。そうして、みんなに組織の論理を強要します。色んな「縛り」がどの組織にもあります。合理的なルールなら分かりますが…既得権力者を守るための「寺銭」のようなものなのでしょう。

「日本では常に互いの心をわずらわせまいと気にしています。とてもバランスのとれた関係を作っています。日本人が『YES』と言うとき、必ずしも『YES』を意味しません。実は『NO』かもしれません。なぜなら他の人の気持ちを傷つけたくないからです。とにかく人の気持ちを害するようなことをしたくないのです。アメリカでは他の人の気持ちを気にする必要がありません。私は他の人のことを気にすることが得意ではないのです。アメリカで暮らすってすばらしいことですよ。私はまわりと協調して生きることができないのです。それが日本に帰りたくない理由の一つです」

この談話は、ノーベル賞学者の真鍋さんの発言です。

日本人は「協調意識」を大切にします。「和を以て貴しとなす」と言う聖徳太子の言葉と、周りを海に囲まれた島国ゆえ、鎖国制度が基本的に根付いているのでしょう。だから…村論理が育まれます。

でも長い「失われた時代」で、実質経済だけを重視して生きてきましたが、弊害が至る所で…出現して、名目時代へ転換をするために安倍首相は努力をされましたが、凶弾に倒れ…道半ばです。黒田日銀総裁も「流動性の罠」に悩まされて…道半ばで退任です。

しかし2020年のコロナからの一連の世界の風は、まさに「神風」です。このチャンスを活かさないと駄目です。ロシア制裁から、米中対立は、新しい世界経済の価値観の創設です。故に安全保障問題から、日本の産業は「国内回帰」になっています。今度は日本国内でお金が落ちてグルグル回ります。ようやく…苦節34年です。

基本的にカタルの実力では、市場が活性化しないと儲けることは出来ません。市場要因が劣化している環境では、カタル程度の能力では儲けられないのです。

だっておかしいですね。何故、PERが5倍以下なのでしょう。それなら買収をして、投下資本を回収すれば…あっという間に儲かります。最近…ようやく「ものを言う株主」の正論が認められ始めています。

ユニデン(上場廃止)の藤本さん、「フジテック」(6406)の内山さんを始め…会社を私物化した経営者は苦境になっています。今は「セブン&アイ」(3382)もそうです。真剣な経営をしてないと狙われます。「東洋建設」(1890)もそうですが、たぶん…狙われるのは経営側に「落ち度」があるのでしょう。

内部留保を貯め込んで、危なくなると高額配当をしたり…対策をする企業が殆どです。

此処まで劣化したのは、日本が岐路に立たされているのでしょう。正しい株価評価が必要です。その為の流れが加速しています。東証の「PBR改革」は、そういう事です。ようやく…時代が動くのです。

三菱UFJの指標数字(四季報より)

しかし、まぁ、「謎は謎」として…切り離さないと、なかなか…「精神状態」が正常に保てません。意地を張っても、現実を受け入れるしかありません。このPERの理屈で、カタルの基本は一株あたりの純資産価値に、プラス10年分の一株利益、PER10倍の株価をプラスしたものを基準として考えています。三菱UFJなら、このような指標なので…1376円に+87*10=2246円です。これが基準値です。

このような最低限の理屈上の株価が成り立たない市場は、何処かが狂っています。

アップルの指標数字(四季報より)

この一株利益の10年分は少ない基準です。昔は企業の寿命は良く30年と言われていました。故に株価はPER30倍でも良いんじゃないかとも思っていますが…アップルのような大型株が、あれだけ成長を続けて…PERが30倍の評価が世界基準です。

でも米国は良いですね。名目成長時代を続けています。日本は実質経済時代から今は名目時代に移行する過渡期です。昔のような日本の時代に戻ると思っています。だから徐々にこの市場要因は改善に向かうのでしょう。

なかなか…株価が伸びずに割安圏のまま不発になるのは、ほんの一部の参加者しか…市場に残ってないのでしょう。今は、ようやく若者が株式市場に参加し…日本の市場を「再構築する黎明期」です。だから、この連休でカタルは簡単な株式教室を開催してGDPの「付加価値」の話し、そうして「景気循環」の話し、本日はPERの価値観を話しています。

そうして株価は、この「収益のタガ」(大きさ、量?)と「成長力」で決まります。

新しい市場(未知の創造産業)はドンドン…大きくなります。だからカタルはEVに嫌悪感を持つトヨタの章夫社長を批判しました。「繋がる車」で、大切なのは「ルネサスエレク」(6723)です。「車の概念」が大きく変わるのでしょう。5G網の整備は、ここからは6Gに移行しますが…「みちびき」などの準天頂衛星の社会資本整備は、国家の責任です。

中国の指導者は優秀ですね。何故、日経新聞などが、このような現実を報道しないのでしょう。最近、風力発電の話はメディアに時々、出ていますが…もう日本のメディアは視聴率だけを観る狂った産業です。政治家が間違った判断をするわけです。

新しい産業を開拓する成長分野のPERは、最大100倍以上に評価されます。だから新しい分野の覇者のキラリと光る「成長企業」を見つけたらカタルにも教えてください。一緒にやりましょう。時代を「開拓する企業」の株価は、素晴らしい価値を有します。マイクロソフトが買収したオープンAIは、すごい価値を有するのでしょう。

仕方がないから…米国のマイクロソフト株を買う事になります。今は305ドルです。この成長度合いは、基本的に売り上げの成長力で評価されます。規模の拡大度合いです。

通常は売り上げの伸びと共に…「時価総額」も増えて行くのが理屈です。だからカタルは「ロコンド」の田中君に、高い評価を与えています。通常、あんな小さな会社が、伊藤忠と契約などを結べません。相当…有能なのでしょう。会ったことはありませんが、リーボックのブランド価値が「落ちた」とは言え…「腐っても鯛」の表現があります。カタルのような流行に疎い人間でも、名前ぐらいは知っているのです。故に、この数字が本当に実現できるならPERは30倍の評価でしょう。

でも…ね、今の市場は、みんな「目先の鞘抜き」が株式投資だと勘違いをしています。それは…国の方針が間違っていた為に、34年間もの空白を生みましたから、失われた時代となって市場要因が、極端に劣化しています。その為に、優良な会社も放置されたままです。カタルは皆さんに注意したのは低PBRや低PERでも、財務内容が劣っている会社があります。

例えば「ユニチカ」(3103)なんか…昔は、よくリストアップされていました。一株利益が高かったからです。でも借金が多く…歴代の経営者は、資産がある為に「ゾンビ」の選択です。改革を先延ばししました。自動車部品の企業も、低PERですが、「借金過多」の企業が多くあります。気を付けましょう。

低金利なら、生き延びることは可能でしたが、実質成長から名目経済に移行するという事は此処から…金利がドンドン上がります。故にこれから、気を付けないとなりません。

スクリーニングの条件

通常、この目安は自己資本比率が50%以上の企業が健全とされています。この辺りも気を付けないとなりません。意外に、見落としがちなのが「フリーキャッシュフロー」です。株価が大きく上がる企業は、大概、「営業キャッシュフロー」も大きく伸びます。まぁ…当たり前の理屈です。

スクリーニングの結果

そこで…参考銘柄を掲げようと、スクリーニングに取り組み…苦労したのです。未完ですが…一応、この条件でスクリーニングをかけた「株価位置の低い」企業に「Jトラスト」がリストアップされています。皆さんは、諦めているかもしれませんが、時間軸の問題だけの話です。ここからしぶとく…下がったら買って置けば、何れ…チャンスは来ます。ロコンドもチャンスが来たように…基本はブツブツ投資を継続することです。「野村証券」(8604)も然りです。500円割れは、もっと下がれば良いですね。そうすれば…チャンスは広がります。

株価はPER(収益性)や成長度合いで評価され…時代にマッチしたものが、高い評価を受けます。気を付けなくてはならないのは、借金の利用の仕方です。同業で、大手企業を参考にすれば良いのでしょう。比較する対象として…同業他社の動向も解説です。メディアにネガティブな材料ばかりが躍るという事は、清貧思想の現象です。社会には「明るい材料」を提供すべきでしょう。いつも前向きに…なのです。それでは…また明日。



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