アーカイブ:2015年6月20日

持ち合い株式

今日は株の話しより、昔話をしようかと…考えています。あまり時間もないし…。今日は日経新聞の一面に、「持ち合い株式」の話が掲載されていました。この関連の話を…現場からというか…過去の話だけれど、少し触れますね。

僕が現役の頃は、銀行株の売り物が出ると…銀行の窓口担当に電話を入れます。そうすると…銀行から「買い手が○○証券を通じて、これから○○円に買いを入れますから、それにぶつけてください。」…との指示を受け、売り物の銀行株を、指定される相手に売りを出しました。このように支配権(議決権)に対し…常に、銀行は管理していましたね。

銀行側は、株価が崩れると信用問題に関わり、最終的には、今、ギリシャで起っている様に、預金の取り付け騒ぎになりますからね。過剰に株価に対し、警戒感を持っていました。ただ当時でも興銀だけは、その旨を連絡すると…「どうぞ、市場で売ってください」…との解答でした。興銀は大きな会社なので、地銀とは対応が違ったのでしょう。市場に多少の売り物を出しても、大丈夫ですからね。

日本の銀行が危ないと騒がれた頃、奉加帳方式で、企業は銀行の増資に応じました。取引先を回り、割り当てを消化して行ったのです。カタルも大昔の話ですが、あれは…ジャスコだと思いますが、公募増資の時に、ジャスコの担当者と二人で、安定株主作りをしたことがあります。出入りの業者の名簿を元に、ジャスコの社員と一緒に株主になってもらうために、お願いに行きました。新規開拓をするより、ずっと効率よく、お客様作りが出来ます。相手も商売上、仕方がないから…応じるようです。たぶん、これと同じことが、あの当時の「みずほ」などでも、行われたと思っています。役員は、大口先を中心に回る訳です。

新聞にも載っていましたが、新日鉄の三村さんは、ライブドア事件を見て慌てて…持ち合い株式を実施していました。新日鉄と言う会社は、そういう会社です。あの当時、カタルは、社長の三村さんを、ずいぶん批判したものです。あの行動が、「失われた時代」を長引かせた…と思っています。彼は今、日本商工会議所の会頭をしていますね。実に…過去の歴史は「日本村社会」を象徴しています。カタルは法人営業の経験があり、よく取引先の株主総会に行き、「異議なし、議事進行」と叫び、株主総会の運営を促進する役目を演じたものです。株主総会には、社員株主などが参加し、前や後ろに陣取り、議事の円滑な運営を助けていました。つまり出来レースですね。

これに目を付けたやくざの総会屋なる商売が、横行した時期もありました。今では、きっと違法行為で…罰則があるのでしょう。例えば…役員の私的なスキャンダルを元にして、強請る訳ですね。機関雑誌の購読料などの名目で…、みかじめ料を企業から集金するわけです。先輩の話によれば…日経新聞社の前身である中外商業新報などの記者も、昔は、似たような商売をしていたようです。まぁ、彼らは、広告料などを求めるのでしょうが…。今でもトヨタなどの掲載記事は、チェックを受けていると言います。噂ですけれど…。大企業は、テレビや新聞などのスポンサーですからね。

結局、村論理の最後の壁は、こうして国が前面に立たないと、なかなか進まないのが、日本村社会の構図なのでしょう。みんな官僚が…旗を振る訳ですね。この記事は、意外に大きいと思っています。つまりROE経営は、こうして浸透している訳です。だから日本株は10万円に向け上がる訳です。だってカタルが証券界に入った頃の日経平均株価は8000円前後だったかな? その時のNY株価は800ドルだったのです。つまり1/10です。ところが…失われた時代に於いて、この10倍の差がなくなり、逆転される訳です。日本は貧乏したのです。これは…他国は資産効果を市場に活用しました。しかし日本は、その資産効果を否定したのです。

それまでの日本は、この持ち合い株式構図などを活かし、資産効果を他国より重視し、実態経済も成長してきたのです。土地は路線価を基準にして、担保として銀行は、いくらでも利用目的など問わずに、融資していました。土地担保金融の実態ですね。こうして信用創造を実施し、実態経済を補ってきたので、高度成長が可能だったわけです。公共事業投資は、地価を押し上げる効果もありました。まぁ、日本の場合は、少しやり過ぎでした。でも今のように全面否定する事もありませんね。資産効果を活用すればいいのです。株価が騰がると言う事は、それだけ信用が創造されたわけですね。もともと円などは紙くずです。国際ルールが許すなら、それを利用すればいいのです。

この日経新聞の一面記事は、何を物語るか? そうです。先日、みずほ株が、突然、急上昇した株高の背景を後押ししますね。だって、世界の株価でPBR1倍以下なんか…論理的にあり得ない話なのです。M&Aもそうですよ。何故、カタルがダヴィンチの話をよく引き合いに出すか…ダヴィンチの金子さんはテーオーシーがMBOをしようとしたら、その株価は妥当株価ではないと…その指定株価を上回る株価で、逆TOBをかけたのですね。五反田にあるTOCビルの価値は、それより高いと…正論を述べ、買収に動いたのです。日本村論理を破り、行動したわけです。ライブドアと同じですね。フジテレビの買収に動き、地検の捜査対象になりました。

「出る杭は打たれる」、日本村社会の象徴的な事例ですね。ダヴィンチは、金融庁の厳しい厳格な減損会計を強要され、仕方なく不動産を安値で売らされました。時代のアヤと言うか…何と言うか…。惜しい人を排除したものです。堀江くんと同じですね。ソフトバンクの孫さんは、朝日放送の株を手に入れましたが、上手く立ち回りましたね。日本村社会構造を逆に活用したわけです。スチュワードシップコードの話と共に…本日の株式持ち合い解消の話は、非常に大きな意義を持っています。

ニュースって、裏の事情を知らないと…、なかなか理解が進みません。どうして、その株が騰がるか? 多くの場合は、必ず、株価が騰がる背景が存在します。その背景を理解しないと、株式投資はやはり成功しないのでしょう。カタルはそんな風に考えています。今日は原稿が遅れて、ゴメンね。それじゃ、また明日。



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