アーカイブ:2023年4月30日

切っ掛け待ち

ようやく…米国株も一定の安定期間に入るかもしれません。ただ、この期間は本格的な株価上昇には至らず…やはり弱いながらも景気後退は避けられない可能性も考えています。しかし米国は、もともと…金融政策はネガティブな対策で連続利上げを実施しましたが、同時に財政面では半導体のCHIPS法を始めとして…社会資本整備のインフラ法案が2021年11月に可決され昨年から稼働しています。

つまり…金融政策と財政政策がチグハグな面が否めないから、たぶん…インフレ圧力が根強いのでしょう。故に景気動向も何処まで景気後退になるか? 金融市場の謎です。

米国の逆イールドの様子

メディアは金融面にスポットを充て解説して「逆イールド」を強調しています。基本的にやってみないと分かりません。SVBを始めとする金融問題の原因は流動性の問題ですから…根底問題ではありません。気になるのは「ノンバンク」や「商業用不動産」です。しかし…それも減速は、否めませんがデフォルトリスクが拡大する程か、どうか…微妙です。

リーマンショックの前に、実は「サブプライムローン」問題が存在しました。返済能力が劣る人への住宅投資の融資ですが、問題は此処ではなく…嘘によって、成り立ったAAAなどの債権を元にした金融デリバティブ商品(CDS=Credit default swap)などに絡む金融取引が天文学的な数字になっていたのです。

その仕組みを支えていたAAAだった「AIG」(American International Group, Inc.=多国籍の保険会社)が信用供与していたCDSの市場が崩壊したのがリーマンショックです。兎に角、そのスケールは62兆ドルとも言われていていました。つまり…1ドルが135円で8370兆円ですから…京(けい)に届く数字です。一つの商品を元にした「ねずみ講」のようなものです。

カタルなんか…当時は不動産が担保なら、サブプライムローン問題は心配ないと考えていました。当時もネットはありましたが、今ほど…情報が一般的ではありません。日経新聞が、唯一の「情報源」だったのです。その日経新聞に「CDS」の文字が躍るのは、問題が表面化した後の話です。この失敗を元に現在では、大手銀行は厳格過ぎる自己資本比率規制下に置かれ、毎年FRBのストレステストを受けています。冒険のしようがないから…金融システム問題は大きな問題になりません。人間は過去の失敗から学びます。

資源をもとにする「ロシア制裁」からのインフレは、やはりパウエルFRB議長の指摘するような「一過性の現象」とも言えるのです。米国の消費は、今回のGDPを観ても分かりますが、賃上げ対応になっていますから基本的に消費は大きく落ち込みません。今回のSVB(シリコンバレー銀行)に起因する融資の厳格化は、弱小金融の世界の話です。それは大手行でも多少…審査は厳しくなりますが、融資活動が大きく落ち込むかどうか…。

米国は中国と覇権争いをしていますから、今の「拡大政策」を続けるでしょう。基本的に今回のインフレ問題、ロシア制裁から発生するインフレは、米国の戦略の可能性が高いのでしょう。

事実…中国国内は「中所得国の罠」の状態にあると思われます。中国の「恒大集団」の事例が示すように…固定資本投資に依存し過ぎた弊害が出ています。

ただ流石、中国は優秀な指導者で、宮澤喜一のような間違った政策を実行せず、地価を支えようと躍起になっています。地方政府の財源ですからね。この問題は簡単に片付きませんが…トヨタの章夫社長とは違い、中国のBYDは大躍進を続けており、電池のCATLも僅かな期間に世界トップに躍り出ました。流石、中国の政策指導部は優れています。しかし簡単にこの「中所得国の罠」は抜け出せません。

既に安全保障問題から…世界のお金は中国逃避を始めています。ソフトバンクのアリババ売却は、この一環でしょう。急速な老齢化と一人っ子政策の影響は、此処から重荷になります。米国は、ドルが基軸通貨ですから…世界の経済スピードをコントロールできます。グローバルサウスの台頭も脅威ではありません。参加国は何れも「成り上がりもの」で基盤が軟弱です。でも…米国の我儘には、程々…嫌になっていることも事実です。中国が言うように…米国は「我儘」ですよね。

少し難しい話のレベルを綴りましたから、皆さんは読むのが大変かな? 

基本的に「言葉の意味」を理解してないとチンプン・カンプンになります。株式投資と言うのは多額のお金が絡みますから…確りした背景の理解が欠かせません。カタルだって、分からない部分が多くあります。でも20年以上も…もう25年ほどかな? 毎日レポートをしていれば…その辺の学者様より、経済の知識は上かも知れません。

更に市場と結びつける「市場の整合性」の考え方は、株価動向を確り観てないと繋がりませんからね。それでも…まだこちら側を「ウロウロ」しています。なかなか…あちら側に辿り着けませんね。やはり「本物の壁」は高いのです。

なんとか…このリストに入るような世界に行きたいと願っていますが、元銭も創れないようでは…話になりません。債券投資の基本は、最低で1億円なのです。株の世界で100株の世界です。良く…外貨預金などが有利だとか、安全を考えて分散投資などと言いますが…100億円以下は「ごみ」の世界観です。このレベルには、なかなか辿り着けません。フロックで…20億円程度は良くあるのです。でも…本物世界は「格」が違います。

素人が板上の「鞘抜き」をしようと藻掻きますが…アルゴリズムを利用した高速売買には勝てません。そんな機械相手のスピード勝負を挑むより、投資のスパンをもっと長く観て、「本物投資」を心掛けた方が良いのでしょう。経済の基本はシンプルです。

ようやく日本は変化を見せています。黒田さんは退任をされました。相変わらず、成果が出なかった黒田のバズーカ砲と…言葉は派手ですが、常識的な対応でした。カタルなら、もっとドラスティック?(アグレッシブな対応)で、株を買い上げたり、地価を上げる政策を採用したでしょう。

方策は正しいのです。しかし…彼も現場の経験がなく、あの程度で物価目標の「2%の達成」が出来ると思っていたのでしょう。34年もの「清貧思想」は、異常だったのです。現場は金融マンの引き出しに1円玉が一つあっただけで、係官にもよりますが、その「くじ」に外れれば…毎日、大宮の関東財務局に呼び出しです。仲間は根をあげて「でっち上げ」の罪を認める始末書にサインです。

「現場の疲弊」を理解していなかったのでしょう。ようやく上がり始めた日本製鉄の「金利裁定」概念も1年半近く…カタルの感覚とずれています。今、思うのは…やはり日本人は「お上の采配」に従う…輩ばかりなのでしょう。

「東証改革」魂を入れるには PBR1倍割れに改善要請…この記事が躍るのが、2023年4月3日です。日本政府は、米国のCHIPS法を観て…同様の政策を実行しています。TSMCからラピダスです。最近ではホンダのEV電池工場にも1587億円の補助だそうです。

ようやく黒田さんが描いた世界、つまり岩田副総裁が主導したリフレ政策の方向性は正しく…直ぐに成果が得られなかったことが問題なのです。本来なら日経新聞が正しく日本を誘導すべきですが…その日経新聞は村社会論理に染まっており、総資産経営の推進派です。だから…なかなか市場にその現象が現れませんでした。

しかし東証のPBR改革を始め、最近の日本政府の岸田さんの会見に、ようやく…世界は反応を始めました。日産自動車のゴーン逮捕や最高裁のブルドック、東京機械の判決を始め…村論理の選択なのです。東芝問題という事は、そういう事です。何故、市場原理がなかなか働かないか? 

マネタリーベースを大幅に増やせば…マネーストックも大幅に増えるはずですが…この「貨幣乗数」は、なかなか上がりませんでした。でもようやく…安全保障問題が「切っ掛け」になり、「国内回帰」なのです。

外人売買動向の推移

此処に…賢い外人投資家が反応を示しました。故に、主体者別売買動向に先物を加えた外人買いが増えています。この動向が続くかどうか…岸田さんの先ごろ紹介した談話は重要なのです。日本人は「金魚の糞」で、主体性はなく、自主的な行動が苦手です。やはり「お上頼み」なのです。

外人売買動向の推移 の数字

金利裁定、市場原理の導入…貨幣乗数など全ての条件が整ってきました。ワクワク感が増すでしょう。本日の原稿は少し…難しかったかな? 

M2の残高

でも、馬鹿なカタルでも内容を理解しているからこのようなレポートを書けます。広義流動性では2089兆円のお金が市場に溢れていますが…継続性を観るM2では1213兆円ですが、人間と言うのは、変化率に反応をします。前年比では此方です。

M2の変化率推移

黒田さんのお陰で、「絶対量」は足りていると思っていますが、問題は動くスピードなのです。このインパクトが必要です。何か、「切っ掛け」があれば…簡単に走り出します。カタルが「野村証券」に拘りを持って、何回も「空振り」をしている意味が分かりますかね。このような解説で…。オオカミ少年のようですが…年後半には、立ち上がると思っています。東証のPBR改革に続き…岸田さんも「国内回帰の促進」です。

外部条件は揃っています。また…明日。「難しい」と思った人は、イメージを持っていれば、全部を理解しなくても良いのでしょう。漠然と感じることが…「市場の整合性」を理解する第一歩です。



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