昨日、会員向けのレポートを書きながら考えていたのですが…コロナ禍からの脱出相場で日本は、改めて…「恵まれた環境下」にあると思っています。戦後の荒廃から日本が立ち上がる時に、米国の庇護がありました。ソ連の共産政権からの壁ですね。今のウクライナの状況に似ています。
戦後の日本は共産主義を信仰する若者も、ずいぶん…多く居ました。現在の日本共産党はその名残でしょうが…カタルは、政治は詳しくありませんが…今でも熱心に「赤旗」を読んで居られる年配の方が居られます。この人達はかなりの高学歴です。
戦後、日本は米ソ対立の防波堤の役目を担い、米国に助けてもらい成長を遂げました。そうして1980年代に「日米貿易摩擦」になります。プラザ合意からの日本の選択は非常にまずいものです。この対応を間違ったために「失われた時代」が築かれました。カタルはプラザ合意から…つまり1985年から失政が続いていると考えています。
でも一般的にはバブル崩壊の1989年末から1990年代は一貫して後手、後手の対応になっています。復活したのは「不良債権処理」に区切りをつけた2003年です。しかしリーマンショックの後の選択も間違っていました。だから安倍政権の誕生を待つしかなかったのです。
株屋にとって…安倍首相は救世主です。ただ、カタルは市場原理主義者なので…もっとシビアで安倍さんも黒田さんもよくやって来ましたが、やはり成果としてはイマイチです。何しろ在任期間中にバブル期の最高値38915円(ザラバは38957円)をクリアできなかったからです。今年はチャンスのようにも…見えるのです。何しろ…東西冷戦の米ソ対立と同じ図式の「中国との対立」(米中対立)が激化しています。更にソ連もウクライナ問題です。
ソ連はウクライナに侵攻をしなくても…今の経済状況は、ソ連に有利です。天然ガスが値上がりして、最近は石炭も…売れに、売れまくっています。ソ連は軍備を国境に派兵するだけで、それ以上の恩恵を受けています。
カタルはかねがね…今の日本経済の課題は「貨幣乗数効果」を高めることが、大切だと述べています。この意味は662兆7169億円のマネタリーベースが、日銀から市中の銀行に投入されていますが…実際に市中に出回るお金は、なかなか伸びません。古い基準ですがマネーサプライ(マネーストック)は1178兆円3923億円なのです。だいたい1.78倍です。昔は10倍以上だったのです。日銀がお金を出せば…その10倍のお金が、世の中でグルグル回りました。
ところが…失われた時代の33年も、失政を繰り返したために、日銀がいくら笛を吹いても…民間企業は踊りません。その様子が分かるのが…変化率を示したグラフです。前者のマネタリーベースと後者はマネーストックの伸び率です。後者のマネーストックの伸び率が景気に左右します。
通常は日銀が金利を下げると…「儲かる確率」が増えますから「活発な行動」になります。ところが長い失政を繰り返したために…庶民は、誰も政策を信じなくなり「疑心暗鬼」になります。その結果、「要らないお金」を積み上げたのが…企業の内部留保であり、企業は何と毎年の儲けの8年分も積み上げたのです。
自分を基準に考えましょう。1000万円の所得の人が…生活費に500万円を使って残りの利益500万円の8年分のお金です。4000万円ですよ。非常にリッチです。ここで…個人の現預金残高は現在1072兆円です。一人当たり1072万円です。子供から大人まで一家4人家族なら4000万円のお金が眠っています。だいたいイメージが湧きましたか?
通常なら10倍も動くのに、今は2倍も活動をしないお金です。
この停滞が…問題なのです。景気と言うのは国民の気持ちの変化です。貨幣乗数は、そのバロメーターと思って良いのです、ところがコロナの現金給付などで…マネーストックの活動が活発になって来ました。この「呼び水」効果…と、今度は、米国発のインフレです。経済はドルが基軸通貨になっており、このインフレは世界に波及します。
日本国民の「凍てついた心」が物価高に刺激されて、少しずつ活発化します。その現象が端的に表れているのが…最近のM&Aです。多発するTOBラッシュに…配当性向を高め、自社株買いの嵐です。分かるかな?
株主還元相場の意味が理解できますか? 日本製鉄の配当利回りは、株価が上がったので…9%を割れて8.51%ですが…預金金利と比較すれば分かります。誰でも多少リスクをとっても銀行預金から株式投資にお金を回すでしょう。
更に賢い奴は、野村証券で信用取引をして0.5%の金利を払って、利ザヤを稼ごうとします。表面上は8%も…信用力があるなら、お金がなくても稼げます。1億円の日本製鉄の株を買って800万の稼ぎです。馬鹿らしく…まともに働く人はいなくなります。800万ですよ。
1億の日本製鉄を買うために現金で3000万が最低必要ですが…当然、追証などのリスクがあります。でもやる価値はあるでしょう。
カタルが述べる「株主還元」相場の意味を理解してください。
まもなく…世界中の待機資金が、この事実に気付きます。日本企業は、もうこれ以上、積み上げることが出来ない程…内部留保を積み上げました。だから配当性向はドンドン高くなり50%が「当たり前」の時代になります。更に株主還元で自社株買いは多発します。もう後は、理論株価まで…駆け抜けるだけです。
この日経平均株価のチャートを観れば…もう壁と呼ばれる関門はありません。あとは誰が、猫に鈴を付けるか? その話です。22750円はデフレの関門で、27270円はデフレの出口、更に1987年10月の26646円の高値が、実質的なバブル期の高値で…その後の上昇は、指数のかち上げ相場(38915円)で演出です。実際は既に新高値のようなものです。
米国のインフレが加速し…物価がドンドン上がります。お金を持っているより、早く使った方が賢いです。だから借金をして…行動する奴も出てきますから、だんだん「貨幣乗数」は上がって来ます。お金がグルグル回転して…景気は良くなってきますよ。
因みに…アセアン諸国は、昭和30年代の日本の所得構造です。誰もが可処分所得が膨らみ贅沢をしだすのです。地理的に近いアジア圏の人口を考えれば…日本株は10万円です。このチャートは、その事を示唆しているように…カタルには見えます。
外人買いは続き…大型株も軽々上がるのでしょう。この構想は年末から来春に実際に現れるのでしょう。これがバラ色相場のシナリオです。それでは…また明日。
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