カタルはいつもの事だとの解釈ですが…素人の皆さんにとって、やはりドイツ銀行の動向は気になるのでしょうから、少しカタルが集めた情報を述べておきます。基本的に米国の司法省が、リーマンショック時におけるMBS(住宅担保証券)の不正売買に対する制裁金140億ドルを、どうやって調達するのかと言う問題です。
当然のことながら、自己資本比率規制が強く働いており、世界中の金融機関は資金調達に追われています。尚且つ、自己資本比率を高める為に、リスクウェートの大きな資産を圧縮しているのです。だから原油安が起り、中東も不安定になっています。カタルは、これほど世界中の中央銀行が量的緩和をしているのに…なかなかインフレにならないのは、おかしいと述べていますね。この背景は金融規制の為なのです。
故に米国も、なかなか利上げが出来ず、力強い景気回復にならないのです。日本同様です。ダリオ時間は、このような時に利上げを強行すると、大恐慌後の失敗の「二の舞」になると警告しています。事実、あの時は、一回は立ち直りましたが、もう大丈夫だと金融を引き締めたので、再び経済が悪化し、戦争に突入しました。これをヘッジファンドである「ブリッジウォーター」を率いるレイ・ダリオ氏は、当初、懸念していました。最近は違うようですが…。
カタルが「ダリオ時間」と…引用している言葉の意味は、リーマンショックから立ち上がったのに…金融規制の強化を見逃し、正常な景気回復と間違った解釈をして、金融機関の体力が戻らないうちに、引き締めを強行すると…再び世界経済は、大恐慌から立ち上がり、再び失速し…戦争に突入した状況に、似ていることを指しています。「ダリオ時間」と言う表現は、その懸念を示す言葉です。
一方、最近、述べている「金融規制克服論」は、「イエレン時間」と同意語です。多少、発想は違いますが、非常に厳しい金融規制を、どうやら克服できそうだと思っているのです。此処では日本が先行しています。日本のバブルはプラザ合意から始まり、崩壊して奈落の底を這いずり回っています。失われた時代ですね。その為に銀行は綺麗なものです。ただ、日本は欧米の金融機関と違い、総資産拡大経営だったために、元来、非効率な形態なのです。
その為に三菱UFJしか、未だに自社株買いを金融庁は認めていません。三井住友もみずほも申請はしましたが…却下されていますね。基本的に、日本の企業は、みんなそうなのです。村論理の為に、売り上げが拡大して伸びる「総資産経営」を実施してきました。儲かっていれば…多少、利益率は低くても、雇用を重視して経営を拡大させてきて、資産を増やしてきたのです。銀行も同じですね。欧米とは少し違います。故にROEも欧米と比較して低いのです。島国故に、競争論理から保護されてきたとも言えます。
このような背景があり、邦銀は、不良債権などはなく、綺麗などですが、自己資本比率は、ようやく欧米に追い付いている段階ですね。日立は、総資産経営を自慢していた会社です。故に肥大化しているのです。最近は方向転換して変わり始めていますが、もう一段アップには、なかなか進みませんね。一時は注目された時期もありましたが、効率化の動きは、最近は、また鈍くなっています。東芝は一時、この効率化を一気に進めました。原子力と半導体に特化しようとして評価されましたが、ノルマがきつく…社員が根を上げたのが不正会計に繋がりました。幹部は、質が悪いですね。ある意味で米国型を、社長は強要したのでしょう。
昨日の日経新聞に、ウェルズ・ファーゴが、顧客に無断でカードを発行した事件の顛末が載っています。カタルは米系の企業に働いたことがないので、分からないのですが観測ですよ。米国のように成果主義の社会では、法律スレスレの行動が要求されているのでしょう。それくらいにノルマが、きついという事です。
豊田商事の金商法の詐欺事件が、昔、ありました。フロアレディーの投信目標達成の為に、その販売方法を、紹介したことがあります。カタルが支店勤務の時、若手社員は何人かな? 8人ほどかな? そうしてフロアレディー6名程だったと思いますが、若手の教育担当でした。当然、投信販売のノルマがあります。こんな小さな組織でも、出来ない奴が居ますから、どうやってノルマを消化するか?
豊田商事の販売方法を紹介したのです。女性は、おじいちゃんと親しくなり、お風呂で背中を流すというものです。保険の女性外交員の中には、お客さんと体の関係を持ってまで保険販売した例もあるそうです。ここで言いたいのは…ノルマ達成のためには、あらゆる手段を講じて、全力で取り組めと言う話ですね。決して体を売れとは言っていません。それくらいの精神力がないと、なかなかノルマは消化できないものです。今から思えば…例え話でも、言い過ぎですね。
あの当時は一人500万~2000万円程度のノルマがあったように記憶しています。それも毎月です。締め切りは、次々に到来します。そんなにお金を集められるものではありません。しかも地方ですからね。出来ない奴の分は…誰かが被ります。自分だけなら、なんとかなりますが、出来ない奴が、あっちこっちに発生しますからね。上司は大変です。同行訪問程度ならマシですが…「回るあてもない」と出来ない奴は、泣きを、平然と言いますからね。
何故、こんな話をしたかと言えば…セールスの際は、犯罪行為スレスレを狙ってないと、なかなか…いい成績は、残せないと言う現場を、カタルは知っている為に、ウェルファーゴの事件を観て、成果主義の社会は、きっと、大変なんだろうなぁ~と思うのです。だから顧客に無断でカード発行する、追い込まれた精神状態が分かります。セールスの現場は、精神病と紙一重の世界です。
話しが…それましたね。ドイツ銀行の話です。今回、問題になったのは、ドイツ銀行から資産の引上げをしたマグネター・キャピタル、ミレニアム・マネジメント、AQRキャピタル・マネジメントなどのヘッジファンドが、いくつか存在し、同行の株価が下げたことですね。ヘッジファンドが資金を引き揚げるという事は、ドイツ銀行は、危ないんじゃないか?…と、一般的には思う訳です。そうして、昨晩のNY市場が大幅高したのは、この制裁金が54億ドルに減額されるという観測報道があったようです。
カタルがセールスの話を持ち出したのは…誰だって、「安全・安心」が良いのです。そんな事は、当たり前の事ですね。でも無理をしないと、進歩はなく、記録は作られないのです。オリンピックの選手を見れば分かります。大リーグもそうですね。大相撲もそうです。体が壊れるかどうか…のギリギリの限界まで、鍛え上げ、挑戦するのです。壊れない程度では、なかなか良い成績が残せないのでしょう。
規制と成長の話、環境と成長の話もそうですが、何処で線引きをするのか? 非常に難しいのです。今はリーマンショックの反省として…金融規制が強化されています。その過程ですね。ドイツ銀行の話は…まだ過去の清算が続いているのです。金融を痛めつけると…実体経済は、どんどん悪化します。常に、この狭間の裁量加減で市場は揺れているのです。
今日は「ステルス・テーパリング」事が、日経新聞に書かれています。一面に早くも、「日銀、国債買い入れ減額」との文字が並んでいます。マネタリーベースの伸びが鈍ると肝心のマネーストックの伸び率も鈍ります。ましてや…消費者物価はマイナス転換です。外国人投資家が、アベノミクスに見切りをつける行動も…分かりますね。日銀は空振りばかりです。本当に…能力がありませんね。村論理だからです。本物が上に行けない社会構造なのです。故に、なかなか「流動性の罠」から抜け出せないのです。
しかし…ものには限界があります。FRBも最近、危険資産を買う日本の行動を支持しています。日銀が自ら、日本株を、無限に買えば良いのです。そうすれば、嫌でも最後はインフレになりますね。リートをマイナス金利まで買えば良いのです。そうすれば…ドンドン不動産を買う需要は増えます。裁定買い残の歴史的な低さ、空売り残の歴史的な高水準。先日は、逆日歩銘柄の多さが報道されていましたね。既に物理的に、株価を下げることが難しくなっています。
今日は最後に…WSJでは、英マーシャル・ウェイスや米ディスカバリー・キャピタル・マネジメント、ハイフィールズ・キャピタル・マネジメントなどのヘッジファンドが、ドイツ銀行を空売りしていたそうですね。この背景が、分かりますか? 市場で不安を煽り、同時に儲けている連中が、居ます。資金を引き揚げたヘッジファンドの自作自演もありますね。
今日は本質の見方を、解説したので長くなりましたが…必ず、行動の裏には、何か意図があると思った方が良いのです。140億ドルから54億ドルの減額が、事実かどうか分かりませんが…このような材料でも、耐えられる市場かどうか…が、問題なのですね。最近はNY市場の変動幅が大きく、不安定感が存在します。
この背景の基本は…ゴールドマンサックスとモルガンの対立のようなものですね。国債金利が、年末には2%になるとゴールドマンは主張しているようです。一方、モルガンは1.25%に向かうと述べているという記事を、目にしました。この背景はイエレン時間か、ダリオ時間か…の話ですね。
カタルは両者の見方を紹介しており、最近は金融規制克服論を主張し始め、ドイツ銀行などの揺り戻しはあるが…金融規制は、一つの峠を越えるんじゃないかとも…と思っています。でも先日報道されたように…新たにFRBがストレステストの強化に動くと…話はまた別になるかもしれません。まだ揺れ続けているのです。だからNY市場の株価の変動率が大きくなっています。GSとモルガンの対立もそうですね。でも市場動向は明らかにIoTの幕開けに流れています。半導体株は強いですね。
今日は「有料レポート」を書く日ですね。たぶん、夜、遅くかな? 明日、読んで下さいね。でも今日は相撲がないので…夕方から書き始めるつもりです。それでは…また明日。