信用乗数

今日はなかなかケネディクスの株価が、頭のイメージ通りに上昇しないので、その理由を探ってみました。論理的にはマネタリーベースを増大させると、市中に出回るお金(マネーサプライ)が増え、経済活動が活発化します。その結果、必ず、株と土地などの資産価格が上昇します。細かい統計上の数字変化は考慮せず、継続性を重視しました。その結果、分かるのは信用乗数(貨幣乗数)効果が低下していることです。日本が適度な成長していた時期の1970年代のマネーサプライは、マネタリーベースの10倍ほどでした。マネーサプライは市中に出回るお金なのですが、カタルが問題にする1985年10月のプラザ合意の頃から信用乗数は上昇し12倍台で推移し、バブル期は13倍まで上昇します。つまり過剰流動性が生まれている訳です。信用創造の拡大が、行き過ぎていたのです。土地神話などを背景にした過剰融資が原因と思われます。信用拡大による資産価格の高騰を日銀は見逃し、過剰なメディアの円高不況報道に反応し、金利平価説に拘るあまり、低金利状態を長く続けるわけです。日銀は実態経済の分析を怠りバブルを発生させました。大蔵省も同罪ですね。

信用乗数とマネサプライ
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信用乗数とマネサプライ

ところが貨幣乗数効果は、2000年に入ると急速に縮小します。これが「流動性に罠」の始まりでした。今度はバブルに懲り、銀行の不良債権処理を、必要以上に咎めるわけです。竹中平蔵(金融庁)のUFJに対する仕打ちを、カタルは当時、批判しました。日本の産業資本を支えた興銀を始め、日債銀、長銀などが役目を終えたと言う事で、消えて行きます。この政策が正しかったかどうか…評価は難しいですね。一旦、2003年頃の6倍を底に、信用乗数は8倍台まで上がり始め、信用創造機能が復権し始めますが、日銀はバブルの反省から、完全に経済が回復してないのに、マネタリーベースを縮小させます。「羹に懲りて膾を吹く」典型的な事例ですね。だって…正常値の10倍台まで信用創造は回復していないのです。(電子マネーの普及で異論はあると思いますが…前年比でマイナスまで資金を絞るのは、どう考えても、やり過ぎでしょう。)此処に、米国の金融危機が重なり、円高が進み過剰な空洞化現象が起こったのが、日産自動車のマーチの移転ですね。

日銀は政策の間違いに気づき、躍起になって、今度は流動性を供給し始めますが…、なかなか貨幣乗数は上がりません。当たり前ですね。流動性に罠にどっぷり嵌っている所に、急激に資金を供給している訳です。最初は効果が出るまで信用乗数は下がり続けます。やがてマネーサプライ(市中に出回るお金)の伸び率が、急激に増え始める筈です。異次元緩和スタート後、M2の伸び率は3%台を維持します。M3は保守的な郵貯の資金(定額預金)などが加わりますから、経済活動はM2で判断する方が良いのでしょう。でもグラフに載せたのは、マイナスになっている点を強調したいが為です。信用乗数は電子マネーの普及や、異次元緩和からハローウィン緩和により、元が大きく増えるので下がるのが当然ですが、問題はマネーサプライの伸びですね。これは非常に重要です。グラフでは赤のラインです。

信用増数とマネーサプライ
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信用増数とマネーサプライ

先ずは、このマネーサプライの伸び率が重要で、カタルは10%近くまで伸びても良いと思います。そうしてから信用乗数効果が徐々に生まれ、8倍台程度まで回復すれば、それから出口戦略を模索すれば良いですね。問題はインフレ率とマネーサプライの伸びですが…。信用乗数は軽視されがちですが、信用創造の浸透度合いを観るのには良い指標だと考えています。近年はコンプライアンス重視で、さらに金融検査が厳しく、なかなか信用創造が拡大しません。自己資本比率規制なども、その一環ですね。量的緩和は効かない…などと馬鹿な論理がありますが、信用増数効果が生まれるまで、色んな手法が存在します。理論的に金利裁定が可能なら…、どんどん経済活動は盛んになる訳です。バブル期は将来の値上がり率を計算し、担保価値の120%融資を実行したのです。

このギャップが「1300兆円の逆襲」ですね。信用拡大を日銀が狙っている訳で、必ず、株と土地は上がり続けるのです。野村証券も4ケタの復帰、金融株が上がるのが道理なのですね。三菱UFJが一株純資産以下に放置される実態は、明らかに異常なのです。幸いGPIF、KKR、日銀と株式投資をしていますし、企業もROE経営に目覚め、自社株買いが時代の流れになっていますね。だからPERは、株価上昇でも下がっているのです。此処が非常に重要ですね。ROE経営の浸透は、非常に重要なのです。38915円の奪回をする為には、論理的な裏付けが必要になります。その為に企業の現預金残が活きるわけです。何故、カタルが、年初に企業の現預金残と当座預金残と個人の金融資産の残高を、日銀の資金循環表を用い説明したか?その意味は、やがて皆さんにもよく理解されるようになります。

更に1300兆円の逆襲に、何故、拘っているかも、何れ、明らかになりますね。調べれば行きつくところは明らかなのです。三菱地所の株価は2794円です。一株利益予想今期は43円、来期は51円です。今期のPERは64倍、来期のPERは54倍ですね。地所の持つ丸の内のオフィスビル群は、Sクラスの不動産価値があります。時価総額はおよそ3兆8847億円です。PBRは2.8倍ですね。配当利回りは0.42%です。

一方、ケネディクスは前期予想が15円で、今期予想が18円で株価は547円です。今期PERは34倍で来期PERは30倍ですね。時価総額は1453億円しかありません。配当利回りは3円ですから0.54%ですね。まぁ、Aクラスと言うよりBクラスのAUM(受託資産残高)でしょうが1兆5000億円もあるのです。PBRは1.8倍ですね。私募債ファンドのマジックは多用できますからね。地所は、そのマジックは自社保有が多く、利用できません。この魔法が、効くかどうかは、政策次第なのですね。この魔法は徐々に解説して行きます。

マネタリーベースの推移から、マネーサプライの現状をみれば、今の日本の状況は良く分かります。「1300兆円の逆襲」と言う経済のギャップの意味を、どの位の人が理解しているか…非常に未来が楽しみですね。まさに巨大なブラックホール級のマジックなのです。



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