WSJによると…金融規制緩和に対し、懐疑的な記事が24日付でアップされており、カタルの構想通りになるか…微妙な展開です。カタルは25日の市況が月末最終日なので、てっきりGPIFなどの利食いだと思っていましたが、WSJの記事を読む限り、更なる自己資本比率の積み上げ観測は消えません。つまりトランプノミクスを支えている株高の根拠が希薄になります。この記事の内容は、非常に重要だと思われます。ひょっとすれば…この記事を受けて、金曜日の市況が形成されたのかも知れません。
記事によれば…現在トランプ氏の元で、この政策に係わる2人の候補のうち一人は、財務長官候補に浮上している会員金融サービス委員会のヘンサーリング委員長だそうで、もう一人、注目される人物は連邦預金保険公社のホーニング副総裁だそうです。この人は次期FRBの監督担当副議長に指名されるとの観測だそうです。
問題は両氏とも、銀行の耐久性を高めるためには自己資本比率の積み増しが、最善だと発言した過去があるそうです。ヘンサーリング氏の考えを基に、WSJが試算すると…米国銀行大手6行の資本不足は総額で1150億ドルとの事です。最も多いのはJPモルガンの440ドル億ドルもの資本不足だと指摘されています。一方のホーニング氏も過去の講演では銀行の自己資本比率の引き下げに反対しているとの事ですね。ただ本家本元の米国市場ではこの記事を受けての25日の銀行株市況は、全く影響を受けておらず、逆に高い状態が続いています。
金曜日の三菱UFJは意外に引けが弱かったので…過剰に心配しているのかも知れません。現在のカタルの相場シナリオを支える根拠が、崩れると…全体の相場観の修正を迫られますからね。でも25日の米国市場は、実際の相場がこれでは…、WSJの記事は、信憑性が薄いのでしょう。あるいは…既に共和党政権が誕生したことで、仮に報道観測のように自己資本の積み増し派が、重要なポストについても、議会で修正を迫られると考えているのでしょう。
読者から…実は、重要な情報提供を受けました。日本の金融行政の現状です。金融庁の検査では資産査定は全くなく、顧客の資金需要に対し、如何に機敏に対応しているか…が、検査の大半を占めていたとの報告です。カタルは清貧思想の高まりを懸念し、ダヴィンチの金子さんの悲劇を再三にわたりレポートで紹介していました。有望な会社の経営者を次々に、理不尽な理由で倒産に追い込んだ清貧思想ですね。
これが今年から180度の転換し…逆に現在は、金融庁が旗振り役に変わっているのです。先日、紹介した「事業性評価融資」の事ですね。今度は、この伸び率にノルマが掛かります。昔は日銀が窓口指導と言うことで、銀行を指導してきました。この効果は絶大なのです。だからカタルは、マネーストックがこれから伸びると述べているのです。
その様子を…先日紹介したマネタリーベースの推移とマネーストックの推移を、もう一度、観ましょう。今度は、日銀が実際に量的緩和に踏み切ったと同時に…金融庁の方針転換が円滑に進んでいたと仮定してのマネーストックの推移を、グラフに加えました。この仮定のグラフは、4月の信用乗数は5.64ですから、マネタリーベースにこの数字を掛けた場合のマネーストックの残高推移が、此処では、紫の線で表されています。
本来、日銀の黒田さんは、このような現状を期待していたわけです。しかし哀しいかな…縦割り行政の弊害で、日銀は量的緩和に踏み切っているのに、金融庁は、今年初めまで…清貧思想のままの検査体制だったのです。故に「流動性に罠」が、更に広がったのですね。この為だけではありませんが…、当座預金に303兆円、企業の現預金に242兆円も、お金が積み上がって動かないのです。
カタルは、基本的に、これからの相場について…楽観視しています。溢れるお金が、一気に市場に流れますからね。大変ですよ。年金改革も実行され、一気にインフレが加速すると…年金生活者は、きっと悲鳴をあげますね。生活防衛をする為に、株式投資は欠かせません。誰も、この重要な点を指摘していません。このシナリオが現実化して、一般化するのは、いつも事でしょう。やはり賢い奴が…世の中は金持ちになり、格差が広がる訳です。こんなデータの意味を知らない株屋は、大勢います。
冒頭に警戒したWSJの記事に注意を払い、金融相場は、馬鹿になった奴が勝つのですね。理屈を捏ねる奴は、「負け組」に転落する相場が始まっていると考えるのが、やはり妥当なのでしょう。何しろ…米国では、上院、下院共に共和党が制覇したのです。来年は、笑える相場になりそうな予感です。