カタルの一番の「懸念」が緩和されそうです。WSJの報道によると…17日、FRBのレバレッジ比率規制の対象となる大手金融機関への締め付けが1年延期されるそうです。ようやく…利上げに向けての体制作りが2年を要し、市場は準備をしてきましたが…基本的な金融資金への締め付けは強化され続けており、日本国債への金融機関の持ち残高も規制の対象になっています。カタルが量的緩和効果を打ち消す、BIS~バーゼルなどの金融機関への自己資本比率規制などの行動を縛ることは、世界の実業界の行動も縛ることに成ります。
リーマン・ショック以来、過度に金融デリバティブが、暴走した修正過程が続いています。世界経済における本質な問題は、此処にあるのですね。1973年にブラック・ショールズ・モデルが開発され、1997年にロバート・マートンが、この方式の数学的証明でノーベル経済学賞を受賞しました。この辺りから、リスクヘッジに対する理論の応用が活発化され、一気に金融工学が金融界に広がりましたね。
そうしてリーマン・ショックでピークアウトします。BRICsなどの発展は、この成果のおかげなのです。金融工学が発展し、CDSなどが開発され、リスクを分散する事が出来たので、お金が流れ世界を潤わしたのです。その布石がベルリンの壁崩壊と言う東西冷戦の終了です。この辺りの歴史の流れを追わないと、なかなか現状の経済が、理解できませんね。オバマが問題とする金融界の高額報酬問題は、元はオプション論理にあるのですね。
今、急速に規制の強化で膨れ上がった金融機能が、縮小されています。折角、量的緩和により、現実と理想の歪み(乖離)が縮小し、実態経済が落ち着いたのですね。基本的に金融論が先行し、実態経済を引っ張ります。金融の世界が理想を追い、そこにお金を流すわけです。現実の経済が、その理想に追い付くかどうか…。過度に乖離が生まれれば、ショック状態になります。今はリーマン・ショック時に於いて、大きく広がった乖離が修正されたのですね。ようやく実体経済が金融理想論に追い付いてきました。だから本来は過度の規制を緩和すべきタイミングです。ちょっと…抽象的な解説で、分かりにくいでしょうか?
1937年問題は何か?
この本質を考えて行くと、結局は金融機能を利用し、経済に活かすかどうか…なのですね。お金は道具に過ぎませんが、そのお金を利用するかどうか…なのですね。お金の流れが止まると…全ての経済活動が停止します。その調整弁が金利などの手段ですが、絶対的な動向はマネーストック(マネーサプライ)なのですね。その動向を決めるマネタリーベースの動向は、非常に重要なのです。カタルが、何度も米国のマネタリーベースの動向を掲載しているのは、この変化率を心配しているのです。現状から過度の引き締め方向なのか? それとも拡大方向なのか? 金利水準など…どうでも良いのです。
マネーの伸び率が、名目成長に繋がります。人間の働く意欲、やる気は、デフレ下では生まれません。インフレだから、人々がやる気を見せ、行動が活発化するのです。自動車生産や販売は、実態景気のバロメーターの一つに過ぎませんが、住宅に続く大きな買い物ですからね。日本株は「失われた時代」と言う長い構造改革期間を、ようやく終え、新しい展開を迎えつつありますが、まだまだ軌道に乗っていませんね。
禁じ手である財政ファイナンスまで踏み込み、日本は方向転換したのです。故に、株も土地も上がりますね。逆に日銀券は劣化して行きます。年金生活者から現役世代に所得の富が移行するのです。当然といえば…当然の帰結です。それぞれ、政策の恩恵は変わりますね。これまでは若者が苦労して生活し、年金生活者は海外旅行などで、遊んで暮らしてきました。でもようやく方向転換しましたね。これがアベノミクスです。
量的緩和をやめても、景気が回復続けるなら、問題はありません。今は量的緩和が民間の金融デリバティブの空白を埋め、ようやく実体経済が上向いたのですね。2007年からの落ち込み分を埋めて来たわけですが、地に足がつくまで、どのくらいかかるかどうか…。数字が回復したからと言って、慌てて、正常化を急ぐと、ロクなことがありません。中央銀行から民間への橋渡しが再び行われ始めましたが、規制で金融機関の手足を縛っています。
日本だけが先駆してバブル崩壊から、清貧思想を貫いてきたので、今回の痛手が少なく…先に邦銀が回復しています。だから世界の債権を、邦銀が買ってシェアを拡大させていますね。しかし米国は兎も角、欧州は完全に周回遅れです。故に序盤の景気回復は鈍いのでしょう。
ケネディクスの株価の戻りが遅れているのは…2006年当時と比較し、外資系の参入がない為ですね。あの時のリーマンは凄かったのです。1000億円単位で、いくらでもお金が湧いてきました。カタルの友達は、800億円も預かったのです。僅か30歳代の若造に…800億円ですよ。彼はこのチャンスをものにして…今も活躍しています。優秀ですね。途中で不動産から足を洗ったのです。この決断がすごいですね。友達を切り、ビジネスに徹しました。カタルには出来ない決断です。カタルは、あのチャンスから、沈んでいますからね。岐路を活かすか、埋もれるか…えらい違いですね。
でも、今回の回復は、本物のイメージですね。おそらく日本郵政のイベントが終った後も…大丈夫だと考えています。中国も大丈夫ですね。あの国は優秀な政策指導者が沢山います。上手く情報をコントロールし、ガス抜きをして、正常化への道を歩んでいる様に思います。メディアだけですが…彼らは、視聴率や購読者数を気にして、いつもセンセーショナルな扱い方をします。あの報道を、起点に物事を考えたら、えらい目に遭います。
なんでも実体験に勝るものはありません。自分の足で確かめれば…良いのです。ただカタルのように、下から叩き上げると時間が掛かります。本当は先人の知恵を利用した方が、早いですね。だから読書は大切です。小説は実体験を元にして描かれているものが多く、たくさんの経験を読むだけで、垣間見ることが出来ます。ただ実際に体験している訳ではないから、知恵はついても…肝心の精神力が養えませんね。こればかりは、自分で体験しないと精神力は補えません。
統計は統計ですが…その背後に隠れた数字の意味は、全然、違います。例えば…土曜日に掲げた米国自動車の登録台数推移ですが…好況下では1700万台が標準ですね。しかしリーマン・ショックのような危機的な状況下での数字は、1060万台(2009年)です。この揺れが景気循環ですね。つまり経営者は、常に売り上げが4割程度減っても食える体制を基準にして、経営しなくてはなりませんね。今のシャープの苦境は…この観点が全く欠けていました。経済状況も、読めていませんでしたね。町田・片山体制の決断の間違いが、現在の苦境に繋がりましたね。
きっと、投資に於いても…そうなのですね。自分の力を過信しないことです。カタルは40億円を飛ばし、尊い経験を積みました。その経験を、果たして生かせるかどうか…。これからの成果に、掛かりますね。皆さんも、自分の力を「欲」で過信しないように…行動しないとなりませんね。それでは、また明日。