殊の外…日本株式は強く推移しています。しかし日本の株高を支える筈の「ROE革命」の見通しに、霧が生じているように見えます。トヨタのAA型株式は、コープレートファイナンスの問題を孕み、折角、ROE経営の定着に向け、方向転換した日本村社会の進展を妨げる可能性があります。今週の14日火曜日の日経新聞の30面に景気指標欄がありますが、そこで「株式持ち合いと銀行貸し出し」とのタイトルで、そこに中核的自己資本(Tier1)に対する政策保有株の時価割合が、日本の3大銀行の場合46%に対し、欧米銀行の割合は3%前後と見られると…述べられています。この数字は衝撃的ですね。仲良しクラブの村論理の様相が載っています。
そこで安倍政権は、政府主導で、この構造改革を進めようとしています。この為にトヨタが持ち合い株の受け皿として…AA型株を発行したのですね。同時に、一般株の自社株買いを発表しています。無駄な資本を効率的に活用できるかどうかは、日本がグローバル基準に転換できるかどうかの試金石です。既にIAS(国際会計基準)やBIS規制(銀行の自己資本規制)などで、日本は縛りを受けています。これはグローバルの基準を設け、公正に競争を促進させようという、世界のユーロ版に向けた世界ルールへの浸透ですね。
中国も非常に進展は遅いですが、この世界基準に向け、着々と整備を進めています。シャドーバンキング問題など…改善が続いています。今回の上海総合株価指数の混乱も、その一環の出来事…との見方もありますね。信用取引規制や、空売りが引き金になっています。世界の基準は米国なのですね。
この夏カタルは、日経平均株価は、どうせ横這い波動だろうと…考えているので、新たなチャレンジを始めています。これまでカタルは強気一辺倒で空売りをしたことがなかったのですが…相場は上にも下にも行きますからね。どちらに行っても良いように、自分の投資方法を変えようと…新たなチャレンジをしています。これはレポートに書いてないのでその内、まとめて書くかもしれませんが、皆さんには参考になりませんから、発表を控えています。6月10日以来、カタルのレポートには変化が見られると思います。今まで、余り焦点を当ててこなかった弱気の見方も、時々紹介していますね。カタルは日本株が10万円を目指す…と考えていますが、途中経過は…様々です。その為に幾つかの問題点を紹介している訳です。
カタルが最も気にしているのは、ギリシャでも、中国でもなく…1937年問題ですね。この事は、何度か…これまでに述べています。大恐慌の立ち直りから、景気が回復してきたので金融を引き締めた為に、再び大きな景気後退が起り、結局はドイツの反乱が引き金になり、破壊と創造を求め、第二次世界大戦に繋がりました。経済が悪化し、食えなくなれば…無法地帯になるのです。イスラム国の誕生も、米国のブッシュ政権の決断の誤りが生んだ結果ですね。混乱が飢餓を生み、戦争しかない…と革命志向になるのですね。故に経済運営は、非常に大切なのですね。先日の新幹線の老人の焼身自殺もそうです。きっと、厳しい生活保護申請が背景にあるのでしょう。ある意味で人災とも言えます。
実質賃金の上昇がようやく、この夏から始まり、少しずつ日本のムードも変わるでしょうが…株価が上がったほど、実際の生活は、好転してないようです。ようやく、マネタリーベースの増加が、マネーストックの増加に繋がるかどうか…の際どいタイミングなのですね。この事は先日から、何度か紹介しています。
なかなかケネディクスの株価が上昇しないのは、この辺りの進展度合いが影響しているのかもしれません。皆さんは、株を買う場合、何が狙いなのか? 背景をよく知る必要性があります。自分で物事を考えないから、上手く行かない責任を他人に転嫁するのですね。カタルは、今年、年初の見方でGPIFの動向を書いていましたが、これほどのスピードで株式を組み入れるとは思いませんでした。もっとゆっくりだと思っていたのですね。
しかし実際は、かなりの組み入れスピードでした。故に指数だけが上昇する奇妙な現象が生まれていますね。一方では、PBR1倍割れの銘柄が、ゴロゴロしている二極化現象が生まれましたね。食品株は明らかに高過ぎます。いくら中産階級が増えるアジア圏が、日本の商業圏に取り込まれると言っても…、既に急成長が、確定しているような買われ方ですね。
しかし、現状の景気状態は、微妙です。米国の新車販売台数は、昨年は既に1684万ですからね。リーマンショック前の好況時の水準まで、回復したのです。だから、これ以上もっと伸びろと言っても…無理がありますね。事実、今年1月は兎も角、2月以降の売れ行きは、好調ですが伸び率の観点からみれば、横這いですよ。だから自動車株は空売りを含めて、検討するタイミングですね。企業業績は、まだまだ好調ですよ。しかし株は変化率を売り買いするものですからね。
此処に1937年問題が絡みます。IMFが米国の利上げを先送りすべき…と述べている様に…カタルもそう考えます。これから量的緩和で実行した米国債の償還が続々と始まりますから、ただでさえマネタリーベースの伸びは鈍り、ドルは回収されますね。インフレ傾向ではないのに…何故、利上げをするのか、サッパリ、分かりません。政策的なユトリを確保しようというFRBの保身が、垣間、見えます。2000年後半に行った日本と同じ間違いをする可能性が、高いように思えます。その為に、日本の場合は二番底を迎えています。FRBも同様の可能性があるように見えますね。
もっとも気になるのが、この1937年問題なのですね。BRICsだけでなく、既にインドネシアも変調をきたしています。如いては…日本の景気動向にも、影響を与えますね。日本の国立競技場は、白紙撤回になりましたが…この現象は、皆が、未だにデフレ傾向の考え方に染まっているからですね。「流動性の罠」に陥っているから…批判が起こるのです。バブルが文化的な価値を、後世に残すのですが…、その文化を生むユトリも日本にはないのでしょう。株式市場と実態経済のギャップが存在している様に、感じています。カタルはこの秋にも、二段上げを想定していますが、しかし三菱UFJの200日線乖離問題は解消されません。
ケネディクスの株価推移を見て、思うのです。非常に緩慢な動きで、推移していると考えています。これは仕方ないのです。現役世代が総入れ替えをするくらいに…長い時間をかけ低迷しながら、方向性を模索してきたのですね。「失われた時代」は、日本の構造改革に必要な時間だったわけです。しかしトヨタのようなケースを見ると…未だに「驕り」が、感じられると思うのは、カタルだけなのでしょうか?
株と言うのは、様々な事象が結びついて、株価が形成されていきます。その株価には、いろんな人の想いが…凝縮されています。高いと感じる人もいれば…安いと感じる人もいます。そうして株価が形成されていきますね。みんなが評価する株価が、何処に向かうか?それは、これからの政策の選択に大きく影響を受けるわけです。
幸い、安倍政権は困難な状況にもかかわらず…なかなか良い選択をしている様に思います。だから日本株が騰がり続けているのでしょう。しかしここからは、高過ぎると思われる株も多く存在し、難しい選択になりますね。グーグルの好調さの為に、ナスダック市場は5210ドルと新高値を更新しましたが、NYダウは18086ドルと下げていました。
前から述べているスマート・コミュニティーへの到来を、表している現象にも見えますね。日本は少子高齢化と言うギャップを、逆手にとって、ロボット活用から、いち早くスマート・コミュニティーへの転換を計れるかどうか…。その為には、パッパラ・パーとしたバブル的な雰囲気を、世相に醸し出さないとなりません。新しいチャレンジには、お金が必要なのですね。国立競技場が高過ぎるとの批判を受けるようじゃ…、なかなか新しい時代の扉は、開きませんね。ケネディクスの株価が低迷しているのも…分かるような気がしています。それでは…また明日。