今日は好調な雇用統計値を受け米国は利上げ懸念が再び勢いを増し、9月の利上げ説が有力視されてきましたが…カタルは以前から述べている様に、1937年問題を懸念しています。完全復活したと勘違いし金融を引き締めた為に経済が再び失速し、最後は戦争の需要増、破壊により経済が回復するわけです。日本の場合もそうですが、一度、バブルを発生させ、崩壊させると長い年月に蓄えた蓄積をすべて吐き出しますから、ユトリがないのですね。その為に、僅かな経済変動で取り返しのつかない失速を招きます。それが1937年の経験です。1929年の大恐慌から8年も経過しているから…大丈夫と思ったのです。
同じ失敗を日本も、一度、経験しています。バブル崩壊から2003年に底入れしますが、日銀はマネタリーベースを絞ります。この為に二番底を入れた訳です。勿論、金融危機の影響が大きいのですが、重なったのですね。その為にカタルは40億の資産を飛ばしました。この40億は痛かったですね。折角、立ち直ったと思ったのに…。米国は、今、その岐路にあります。果たして…イエレン女史は、どんな選択をするのでしょう。カタルは来年でも、再来年でも良いと思っています。インフレにならないのに…引き締めの選択をする必要が何処にあるのでしょう。
先ずは、金融株の市場評価を見てみましょう。このグラフはリーマンショック時の前日を基準にその金融株の平均値を1として表示してあります。ようやくリーマンショック前の株価に戻った所です。未だに住宅債券のデリバティブ訴訟が続いており、GSは間もなく和解すると言われています。説明責任を果たさずに仕組み債を売った損害賠償ですね。
次に肝心の雇用統計値を見てください。確かに改善していますが…決して経済が過熱している様に見えませんね。失業率は未だに5%を割れていませんね。4%台に近づいているなら、まだしも…5.5%なのです。次に時給推移を見てください。此処では前年比の伸び率を見てくださいね。リーマンショック前は上昇率が前年比で3%を超えていましたね。ようやく、下値ボックスの2%台を離れそうになっていますが、此方も経済が過熱しているとは言えません。
ただマネタリーベースの増大で株や不動産などの資産が上昇しています。ただ新築の着工件数は、以前は桁違いだったと思います。経済は暖まっているのは事実ですが、金融引き締めをして、実態経済が耐えられるかどうか…非常に怪しく感じています。もしイエレン女史がタカ派の言い分を聞いて若干でも利上げを実施すれば…警戒感が増す事が事実です。好調な日本株式市場ですが、この事をよく肝に銘じておかねばなりません。量的緩和を停止しただけで、国債は満期を迎えますから…当然、マネタリーベースは前年比で減り続けます。問題は量ではなく「変化率」なのですね。人間の気持ちは歴史的な過去の水準ではなく、今の生活と未来を比較するのです。現状より悪化すれば心理はマイナスになります。
日本は実質GDPに拘って来ましたが、人間は、いつも名目値で生活をしているのですね。物価が上がれば…賃金も上がる、賃金が上がれば、前向きにやる気になります。この心理状態が問題なのです。人間は感情の動物ですね。しかも現状の自分より快適な生活になれば、ポジティブになりますが、少しでも生活が劣化すれば、ネガティブになるのです。感情の動物なのですね。統計値を人間心理に置き換えることが出来るかどうか…果たして、イエレン女史の心理はどうなのでしょう。