アーカイブ:2022年8月28日

復活する日本株の環境

なかなか日経新聞が「正しい報道」をしない為に、日本の政治家、経営者、政策官僚と…多くの識者の「現状認識」は間違っていると考えています。最初は、カタルも政治家が悪いのだと思っていました。そうして政策官僚も悪いと考えており…長く、彼らの政策批判を続けてきましたが…そもそも政治家も官僚も経営者も…誰も時代変化を上手く認識してないようです。

それはメディアが、自らの「ご都合主義」で…自分達の論理を捻じ曲げて…世の中に伝えているために、長く政策動向の「歪み」に気づかなかったのでしょう。日本人自身も我々の心の中では、「現状維持」を望む傾向があります。その理由は、島国の為に…国際社会からの刺激がないからです。

基本的に、日本は移民を受け入れません。日本は江戸時代のような鎖国制度を継続していると言っていいでしょう。まぁ、「独特の文化」と言えば…聴こえは良いのでしょうが…ここまで劣化した日本を観ると…完全に世界競争から負けています。理由はメディアの狂った報道でしょう。「匠の技術」とか…自らを美化した表現で、曇った認識を日本人自身が抱いています。統計数字を観れば分かりますが…日本の劣化は、既にかなり進んでいます。それは33年間も…日本人は、自ら「進化」をやめたのです。

カタルが普段から述べている「村社会論」とは、周りを重視して…変化を好みません。一番は人材の活用法です。時代は大きく変化しましたが、終身雇用と年功序列を土台にしていますから、なかなか体制転換が出来ないのです。

その事が日経新聞の一面に載っています。開業・廃業率は米欧の1/4だというチャレンジ精神の低下です。基本的に村社会論理は雇用を優先するために、古い制度を守ろうとした様々な仕組みがあります。日本経団連を始め…いろんな業界団体が存在します。

そもそも…キャリア官僚は自らが、退任後の仕事場を創るのが、仕事が出来るやつだと思われてきたのでしょう。だから様々な法律が作られ…その集金システムが出来ています。例えば…カタルの証券業界には、「日本アナリスト協会」がありますが、この団体は会員の育成と証券業の発展のための知識レベルの向上など…様々な趣旨を掲げ、設立されたのでしょうが…会員から資格試験の「受験料金」を始め、「会費」を徴収して、組織を維持させています。アナリスト協会の歳入には…政府機関からの「補助金」も含まれているかもしれません。そこに…政策官僚の「受け皿」組織が出来ます。

このような仕組みが沢山あるのでしょう。英検や漢字試験かな? そうして、その業種に着くためには…「資格」試験が必要になります。昔、問題になり廃止になった免許証の更新の度に徴収された「日本交通協会費」かな? 免許の更新の度に、取られていた…僅か2000円程の経費を長く払っていました。こんな仕組みは戦後から構築され…様々な機関が、○○協会と言う形などで存続しています。日本医師会など…も、その一つです。業界の意見を政策に反映させる組織です。

このような…仕組みを一度、精査して淘汰する必要があるでしょう。

特に国の補助金などの支援を受けている団体は、「見直し作業」が必要な筈です。だからキャッシュレス社会なのです。お金の流れが明確に分かるなら…無駄を省け、管理が容易になります。このような仕組みの陰で、権力を使ってお金を吸い上げる仕組みが、日本の村社会論です。上場企業も同じです。基本的に上場するという事は「公」の会社になったことを意味します。株式公開とは、そういう事ですが…経営者の多くは会社を「私物化」しています。権力は腐ります。何年も、何年も…会社に留まるべきではありません。それを監視するのが市場であり、株主総会です。

ところが…日本人は変な仲間意識があります。お互いに守るのです。他人の経営に口を出さず…自分の守ってもらうという不文律の共通の概念です。だから株主総会の議決でも「異議なし、賛成、議事進行」と怒鳴るのが…恒例の株主総会です。会場の前や後ろに社員株主を配置して株主総会をお飾りの場にしました。

昔は総会屋などが会社の恥部を突き…問題にするとして、会社を「強請った」総会屋がいました。でも今はSNSなどで…「内部情報」も社員が外部に発信していますから…昔より情報がオープンになっています。その為、「社内不正」も公になるケースが多いですね。今回の日野自動車も、少し前の三菱電機も…トヨタもあったのです。どの企業にも存在する不正行為です。それだけ…社員のモラルも低下しているのでしょう。

この背景は終身雇用や年功序列の仕組みが、崩壊していることも影響を受けているのでしょう。会社への忠誠心は、年々…薄れているように思えます。近年、大株主も株主総会の議決権行使に辺り、一般的なモラルを求められるようになり…安易な議決権行使が出来なくなっています。株主保ち合い制度も崩壊し始めています。

東芝を観ると分かると思います。「物を言う」株主の躍進です。多くの日本人の認識は、間違っているのでしょう。目先のお金だけが「目当ての集団」と言う認識が、一番多いのでしょうが…短期の成果を求めることは事実ですが…基本的には会社の価値向上を目指した経営提言をするのが、ものを言う株主の実態です。

基本は、同じ株主ですから、よりよい経営をして…会社の価値を高め、株価を上げようとします。これが近年の「ものを言う」株主です。ただ時間軸が短いことは事実です。多くは「3年以内」での成果を求めます。東芝もその事例です。

問題は何故、ものを言う株主に狙われるか? ここが問題なのです。

市場と言う公の場に、株式を公開してお金を集めるという事ですから…公の監視を受けることは当たり前です。市場にはPERを始め、配当利回りなど…いろんな視点で株価が精査されています。経営者が、真剣に経営努力をしているか? 常に監視され…高いレベルを求められるのです。

ところが…日本は「株式持ち合い」や「系列化」により、この経営が疎かになっていました。そこで登場したのが「コーポレートガバナンス」と言う概念です。一般的には企業統治と訳されますが…企業の透明性を高めて、適切に統治されているか…外部から見えるようにすることです。

この概念が整備され始めたのが…2015年かな? そうして年々厳しくなっているのが…スチュワードシップ・コードの概念が高まっています。この言葉も馴染みが薄いかな? スチュワードシップ・コードとは、金融機関を中心とした機関投資家のあるべき姿や行動を示した指針です。責任のある機関投資家です。このような概念が一般的になり…実務面で取引があって株式を持っていても、議決権の行使には、機関投資家の「良識」が求められるようになり…株式持ち合いの意味が薄れています。

これは2015年頃から日本も大きな変化を受けています。だから近年、会社を私物化しているケースが問題にされ、株主総会で荒れているケースが多々散見されてきました。フジテックなどのケースですね。

物を言う株主だけでなく…上場企業は、社会の監視が厳しくなっています。このようなバックボーンがある為に…会社の「内部留保」を適切に配分してないと…ものを言う株主に狙われて…経営権が脅かされています。この代表的なケースが東芝です。

何故、カタルが2020年…初めかな? 東芝に注目したか? 変化が求められると考えていた為です。日本の経営者の多くは、会社の資源を無駄にしており…活用していません。それは「総資産経営」が主眼になっている為です。規模の拡大を長く求めて来て…効率化が「おざなり」になっています。その結果、非効率な経営になっているのです。無駄な資産を持っている企業が沢山あります。資産を活用してないのです。

川崎汽船も、そんな企業の一つで小手川君が割安株として買ったのでした。その受け皿になったのが村上ファンドの関連の人達です。そうして…その後で未曽有の海運不況がやって来て、世界的に時代遅れの船会社が競争に敗れて…淘汰されました。「効率化作業」の一環で日本の海運3社が、コンテナ部門を集約したのがONEと言う会社です。そうして今回のコロナでブームがやって来て爆利益の計上になりました。様々な条件が重なり株価は10倍程度になったのです。

日本は長い失政の為…企業は自信を失い、内部留保を積み上げてきました。鄧小平の南巡講話以降…日本企業の多くは、安い労働力を求め…そうして「巨大な市場」を求めて…産業の生産基地の移転をしたのが、中国の躍進に繋がったのです。日本ではパイオニアの指名解雇事件以降、国内投資をすれば雇用問題で叩かれますから…誰もが中国への投資を加速させました。

そうして…今回のコロナでサプライチェーンの問題が露呈し…大きな流れが変わります。しかも内部留保は484兆円もあり…尚且つ、コーポレートガバナンスやスチュワードシップ・コードで機関投資家も議決権行使にあたり、責任が生じます。様々な条件が整っていますね。だから…日本株が上がるのですよ。

何故、カタルが何度も、何度も「時間ですよ。」の話しをしているか? 日本全体が大きく変化を始めている現象を、デンソーや日本製鉄などで説明をしています。ニコンも100%以上の「株主還元」を実施して、日本オラクルを始め…ファナック、任天堂、エレクトロンなど軒並み50%を大きく超える配当性向を実施しています。こんな事は、世界基準では当たり前のことです。米国では100%以上の株主還元が常態化しています。

内部留保484兆円の意味を理解しているのは、経営者です。そうしてサプライチェーンの問題などもあり…安全保障問題化していますから、キャノンなどのように国内回帰を経営目標に据え、続々と…日本での「投資活動」が始まっています。

この一番の変化の原因は「希望退職制度の定着」です。パイオニアの指名解雇は1992年初めに起こりました。あれから…30年間経過し、今では黒字企業でも…希望退職を募集できる環境に社会環境が変化したのです。この段階に来るまで30年間も掛かったのです。「時代の肥やし」は撒かれ続け…完全な構造転換期を迎えたのです。だから目先の多少の需給のブレは関係ないですよ。

基本的に様々な条件が、日本「株高」を訴えています。

社会環境の整備に勝るものはありません。低金利状態で…個人には唸るお金1088兆円の現預金が眠り…10%を超える配当利回り企業も存在しています。金利裁定が働く株価水準です。下がりっこないのです。米国株は下がったとしても…日本株は意外に「盤石な展開」を歩むでしょう。

その理由は様々な要因が、全て株高を示唆しています。日経新聞社がもっと経営者を鼓舞する記事を掲載しないとなりません。しかし近年のTOBラッシュ、MBOを観れば分かりますが…如何に時価総額が割安か…。だから純資産価値と株価が大きく開く…PBR1倍以下の企業は皆無になります。もう時間の問題で「秒読み」なのです。

そのM&Aの様子が掲載されているサイトが此方です。最近は更新されてないようですが…過去の状態が分かります。

自分の目で確かめましょう。PER10倍以下の企業も消えます。まして…増額修正をしている企業が…PER10倍以下と言うバカ安値の放置が異常です。米国以上に成長余地が高い日本株です。だからアジア開発銀行が、中国への経済援助と言うか、投資と言うか…融資を停止したのです。この意味は、日本企業は中国で設備投資をやめたことを意味しています。

国内回帰になりますから…日本にジャンジャン…お金が落ちます。日本でお金が回るようになるのです。「貨幣乗数」効果と言う言葉を使っていますが…お金は互いに干渉しています。「熱伝導率」の話と同じです。九州で落ちたTSMC建設の為に落ちた設備投資のお金がグルグル回り…九州地区から中国地方から大阪に…そうして東京に波及して日本中に回ります。

これは、もう決まっていますが…問題は進化のスピードです。これが政策です。早めるのも遅くさせるのも…政策が決めます。だから…メディアの改革が必要です。日経新聞の編集長を変えねばなりません。今までの報道スタイルでは、なかなか進化が進みません。

インフレになって来たのは…今回は、外部要因の原油高などや円安などの影響が大きいのでしょうが…基本的に、日本人自らが…「活動を活発化」させますから、大きな構造転換で持続性のあるインフレ社会に変化します。だから資産価値はどんどん上がりますよ。

ざっと…日本が積極化する背景を述べました。内部留保だけでなく…コーポレートガバナンスからのスチュワードシップ・コードの存在も大きいのです。そうしてコロナからのサプライチェーンの問題に加え「安全保障」です。日本の自動車業界も変化しています。そもそもガソリン車と言う「ものを売る」時代から、「時間を売る」時代に変化します。楽しい移動空間の時間です。AI化とか…DX化とか…様々な言葉が溢れていますが…大きく時代革新が進んでいます。この構造変化を、市場を通じて…感じて欲しいと願っています。

その自信作の銘柄の一つである「Jトラスト」(8508)を、今回はお勧めしております。おいおい…何故、Jトラストと言う株が、ドンドン上がり始めるか? その解説をするのが、この9月です。楽しみにしておいてください。

良いですが…株と言うのは、必ず、株高になる背景が存在します。そこに「仕掛け筋」が関与すると、条件さえ整うなら、川船のように…株価は10倍化します。だから近年、村上ファンドの存在が脚光を浴びています。建設業界を始め…ジャフコなんかもふざけた内部留保の部分があるのでしょう。彼らは内部を調べている筈です。

会社を私物化して「安定した経営」を目指すのではなく…どう経営資源を活用して、最大限の効果を発揮させるか? 東芝が、その「試金石」の一つになっています。大きく時代が変化していることが窺えます。楽しみな日本株です。何しろ…失われた時代は30年以上も眠っていました。復活するのでしょう。それでは…また明日。

日経平均株価の月足推移


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