皆さん、あけましておめでとうございます。
今日は「GDPデフレーター」を、新春の第一弾のテーマにしました。
未だに、この真実を多くの投資家は認識してないと思うからです。外人投資家もそうですね。多くの投資家が、この真実を認識していません。しかし…この事は、非常に重要だと考えています。ここで…何故、日本が「失われた時代」に陥ったか? と言う「日本化現象」の原点を、考える必要があります。多くの人は企業業績とか…の目先の現象を気にしますが、基本的な経済の背景を考えないとなりません。日本化現象には、様々な要因が存在しますが、その重要な要素の一つが、この指標変化です。
このGDPデフレーターは、経済環境の重要な要素です。年末(12/31)の日経新聞11面の「大機小機」に載っていましたね。一昨年のGDPデフレーターはプラス2.5%、昨年も7-9月期ですが、前年比で1.8%のプラスです。この記述の重要性を、どの程度の人が認識したのでしょう。名目経済成長を実質経済成長で割って1で引くのですが、この数字がプラスになるか? マイナスになるか? その差がプラス値で大きいほどインフレ社会になり、その差額がマイナスになればデフレ社会になります。一昨年の2.5%より1.8%と下がったので、景気は「中だるみ」になっていると言えます。これを後退と見るか、マイナス圏に陥らずに…再びプラス圏を加速させるか? 重要な点ですが過去のトレンドを見ることが重要ですね。
このグラフは、内閣府の国民経済計算平成2年基準と平成17年基準のものを採用しました。(途中…平成7年、12年基準と変化し最終は平成17年基準です)その国内総生産のデフレーター推移と、前年比の変化率をグラフ化しました。数字データのサイトは此方です。1980年辺りを境に貿易摩擦問題が浮上し、1985年のプラザ合意に発展しました。この推移をみると、日本村社会が崩壊する様子が見てとれます。この構造改革の必要性から55年体制が崩壊し政治が混乱しました。正しい政策を選択しなかったため、長い「失われた時代」になったのです。しかし…ようやく安倍政権下で、プラスの世界になってきたことを、このグラフは示しています。
日本だけが…清貧思想に陥った様子を、次のグラフで見てください。此方はIMFのデータを元に作成した、先進7か国のGDPデフレーターの推移です。データ元の数字は此方です。他の先進国は米国同様に右肩上がりですが、日本だけが右肩下がりになっている様子が窺えます。しかし2013年を底に…2014年、2015年と日本も右肩上がりに変化していますね。同様のグラフに中国、インドを加えたのも作成しましたので、同時に比べてくださいね。経済成長とは何か? 豊かさとは何か? 社会のユトリとは何か? 今、中国もそうですが、インドも高い成長率を維持するための弊害である環境問題が社会問題化されています。PM2.5などもその一つです。インドでも、昨年は1万人を超す大気汚染による死者が出ているそうです。日本も過去に数々の公害問題がありました。
このグラフを見ても分かるように…中国危機が起こると不安視されている構図は事実でしょう。ただどうやって軟着陸させるか…、日本のような形で資産価格を下げるのかどうか…。これから、彼らのお手並み拝見です。日本の終身雇用や年功序列などの村論理が維持できなかったように、これから、中国も様々な摩擦問題の解消に乗り出さねばなりませんが…その選択肢は、色々ありますからね。必ず、レビー氏が述べるような形(「段舎利」12/27のカタルレポートを参考)が、到来するわけではありません。問題は…政策の選択の仕方です。
この指標を見ても分かるように…僕ら人間は、名目値の世界で生活をしている訳です。だから人間は、ものの価格が上がると高くなったと思うし、モノの価格が下がると安くなったと思う訳です。決してお金の価値を物価に比較して考えません。表面上の数字の変化に人間の感覚は連動しています。正しい経済では蓄えたお金の価値が増えることが重要なのですね。例えば年収500万円の人が、毎年50万円の貯金を10年間続けると500万になります。この預金が土地や株になり蓄積されます。この蓄積した分が毎年10%値上がりすると…年収が50万円ずつ増えてユトリが生まれ、年数が経てば経つほどユトリが増えます。30年なら預金額は1500万で、10%なら150万ですから年収の30%ものお金が、更に蓄積されますね。実際は2%程度なのでしょうが…分かりやすく資産価格の上昇を加速させました。これが社会のユトリに繋がりますね。
ところが…日本はプラザ合意の辺りから政策の選択を間違え、デフレ環境の実質成長率重視の政策に転換しましたね。しかし安倍政権は名目成長率を重視し、名目成長で600兆円を政策目標に掲げていますが、多くのアナリストは、実現不可能と鼻で笑っています。しかし資産価格を上昇させれば…簡単にこのマジックを成功に導く事が出来ます。
カタルは消費税の引き上げに伴い、円安下の物価高に加え、これまでの合理化努力分も、今回は価格に転嫁したので、食料品の価格上昇が大きくなったのだろうと考えています。しかし日銀は完全に逃げ腰になっていますね。本来なら期待インフレ率を上げる為に、更なる量的緩和を実施すべきです。おそらく参院選が、キーワードでしょう。その少し前に再び日銀は緩和を実施、株高を誘発させ…選挙に向かうと考えています。
経団連会長の榊原氏の年頭インタビューでの記者質問で、何処かの記者が「政権にすり寄り過ぎでは…」と質問したとか…。このようなメディアの良識を疑いますね。如何にも…質が悪いですね。だから、日本がおかしくなっているのです。この記者には「GDPデフレーターの推移」の認識もないのでしょう。
非常に一流紙のレベルが低くなっていますね。自分でものを考えないから、どんどん日本人全体の資質が落ちています。やはり道徳教育の問題ですね。カタルは歴代の政権の中では、安倍政権が一番、日本経済の実情を知っていると思っています。ただカタルにとって、アクセルの踏み方が、株屋のせいか…気に入りません。もっと踏み込むべきだと思っています。でも色んなことを考えると…、日本経済の於かれた環境は、長い失われた時代の為に、充分に肥やしが蒔かれていますから、既に豊かな土壌になっています。この名目と実質の差を、更に広げる政策が正しいのですね。中国人が常識を逸脱する行動をとるのは…つまり、果敢にリスクをとる行動があるのは、このGDPデフレーター推移を見れば一目瞭然です。
如何に、社会環境の整備が大切か? 経済運営が社会のユトリを左右させるか? 名目と実質の鞘が膨らめば、社会にユトリが芽生え。ブラック企業問題もなくなるでしょう。苦しいから、東芝のような不正会計事件などが生まれるわけです。国民経済計算統計によれば、バブル期の土地の資産価格から1300兆円も…既に価値が減ったのです。この損失を、日々の稼ぎから埋め続けてきたから、雇用も不安定化して犯罪も増える環境下になり、若者にも元気が生まれません。経済が元気になれば、もっと行動的な社会構造になりますね。
昨年、京都では海外からの観光客が激増し、ビジネスホテルでも過去の数千円の宿泊費から、今は15000円程度も必要だとか…。今ではオークラなどより、ブライトンが一番人気になっていると言います。確かに…あのホテルは価格とサービスを比べれば良いですからね。人気の理由が分かります。今年は八坂神社に参拝したので…いい年になると良いのですが、果たして、どうでしょう。
今日、採り上げた題材は基本的な認識ですから、確りと把握しておかないと、相場全体が理解できなくなります。 様々なデータ、環境変化は日本株を押し上げる環境下にあると思っています。しかしこれらの兆候が、直ぐに株高に繋がるとは言っていません。全体の大きな流れは、安倍政権が持続される限り…方向性はプラスに働きます。年初は多少不安を抱えての舟出になりそうですが…、もう大きな峠は越えていますからね。リーマンショック同様の激変は、ないと思っています。
本年もよろしくお願い申し上げます。