アーカイブ:2015年9月13日

時代の扉

なかなか理解が進まない金融政策、何故、カタルがこの課題に拘るかと言えば…景気動向は、所詮、お金の量ではないかと考えている為です。お金の量が多く、しかも早く流れれば、景気は過熱します。しかし今は、お金の量をいくら増やしても…なかなか景気が過熱しません。その理由を探ろうとしている訳です。

通常、マネタリーベース(ベースマネー)を増やすと、マネーストック(マネーサプライ)が増えます。この貨幣乗数効果は、通常の経済状況では、10倍程度なのでしょう。しかし近年では通貨の概念が電子マネーなどの利用で変わり始めており、貨幣乗数は落ちる傾向にあります。それでも、近年のような事例は、明らかに特殊ですね。その様子を長い時間のもので見てくださいね。(ストックマネーの日銀の統計数字が途中で変わっており、1998年4月からと2003年4月から新統計数字を用いています。)

マネタリーベースとマネーストック、その貨幣乗数推移
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マネタリーベースとマネーストック、その貨幣乗数推移

この貨幣乗数(現在は2.8倍)が下がるという事は、デフレだという事です。この指数が正常な数値に上昇するまで、日銀は緩和姿勢を続けねばなりません。2006年、折角、上昇し始めたのに…日銀はバブルの再来を恐れ、再びミスを犯します。その様子が、分かりますね。馬鹿ですよ。日銀は…。カタルは、この失政で40億円を失いました。当時は知らなかったのです。同じように、カタルはFRBがサブプライムローンの失敗を恐れ、日銀と同じ失政を犯すのでは…と、今は懸念しています。1937年問題ですね。

何故、このような現象が起こるのか? 理由は清貧思想ですね。長い失われた時代の為に日本人がデフレ概念に、洗脳されたのです。しかしこの間、世界は米国を含め、特に中国は固定資本形成を大きく増やし、土地の値上がりマジックを最大限活用し急成長してきました。ところが日本はこのマジックを、清貧思想で否定したのです。これじゃ…世界競争から脱落します。片手のハンディで、戦っているようなものです。資産効果を否定するなんて…市場経済ではあり得ませんね。カタルがケネディクスに拘る理由を、世界の米国でもイギリスでも良いのですが、比較して下さいね。特に土地資産価格で比較すれば、よく分かります。今日はマネーの話なので…この比較は何れ…。

次にマネタリーベースの内訳は、日銀券(お札)と貨幣(小銭)、そうして当座預金です。当座預金は、金融機関が日銀に預けているお金ですね。主な役割として金融機関同士や日銀、国などと取引を行う時の決済手段に使われ、金融機関が、個人や企業に支払う現金通貨の支払い準備であり、準備委預金制度の対象になっている金融機関の準備預金です。中国では、預金準備率の比率を引き下げており、市中に出回るお金を増やしていますね。その準備預金です。

マネタリーベースの内訳推移と変化率
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マネタリーベースの内訳推移と変化率

グラフはピンクがマネリーベースの前年比伸び率です。青が日銀券の伸び率です。通常、日銀券の伸び率は、マネタリーベースの伸びと連動しています。しかし明らかに近年は、折角、マネタリーベースを増やしても、市中に出回るお金は増えていません。大きく乖離しています。原因は当座預金に資金が眠っている為です。先ほどの貨幣乗数と同じことですが、2006年に向かって、日銀が失政を演じている様子が分かります。同じ間違いをFRBが今回する可能性があるのですね。

グラフ(オレンジの当座預金)を見ると分かりますが、…現状は、必要以上のお金が、日銀に預けられています。使われないお金(当座預金残高)が、8月現在で実に227兆円も存在しています。通常の経済状況では、マネタリーベースに占める割合は10%以下なのでしょうが…、現状の当座預金は、マネタリーベースに対し70%にも達しています。この当座預金には現在0.1%の金利(付利金利)が付いています。

WSJの報道によれば…10日の参議院財政金融委員会で、黒田日銀総裁は「政策上の選択肢については、日銀当座預金の超過準備付利を現在の0.1%から引き下げれば、資産買入れと同じように経済成長を支える効果が期待できる」と述べたそうです。おそらく付利金利を撤廃するのでしょうが…早い話、これをマイナス金利にしても良いのです。準備預金以外の余分な額に対して、ペナルティーを科せば、銀行はこの金を、市中での運用を余儀なくされます。銀行が国債を売った資金が、日銀当座預金に眠っている訳ですね。これでは、幾ら日銀が、国債を買ってマネタリーベースを増やしても、マネーストックが上昇しない訳です。だからカタルは、前回のQE2で、この付利金利の撤廃を主張していたのです。

明らかに…結果だけを見ると、QE2の効果は、あまり市場で出ていませんね。それは清貧思想が、非常に強固だという事です。失われた時代の洗脳は…なかなか解かれませんね。だからこそ、日本株は…逆に大相場が期待できるのですよ。三菱UFJが1万円と言う可能性もないとは言えません。事実、バブル期の金融機関の株価は、みんな数千円もしたのです。基本は、お金の量とその流通速度です。鬼怒川の堤防が決壊し、大惨事になりましたが同じことですね。最初はチョロチョロと堤防から漏れ出る水なのですね。その小さな時に、早めに対策をすれば…大惨事は免れる事が出来たかもしれません。今の量的緩和はその状態ですね。チョロチョロ流れる僅かな水です。しかし何処かで…堤防のように決壊し水が溢れます。

これがコントロールできるかどうか…。ガラガラポンのリスクは、依然、残っていますね。悪戯に日経新聞が不安を煽ると…そうなります。中身を読んでいませんが、今日の新聞の見出しのように…、不安を煽るのです。メディアと言うものは…。品がありませんね。FRBが利上げをしても株価は下がりません。むしろ上がると考えています。怖いのは来年ですね。今年はどっちにしても株価は、一旦は上がります。既に2年も準備をしていますからね。でも同時に既に金利を引き上げたような弊害が出ています。

そんな事(金利引き上げ問題)より、問題は、イエレン議長のコメントですね。もし景気が失速すれば…今度は利上げの説明ではなく、逆に「量的緩和を再開する」とのコメントが入れば、市場は安心し株価が崩れることはありません。彼女が1937年問題に触れて、市場の不安を取り除けば、大丈夫です。果たして、前言を撤回するような勇気を持っているかどうか…。ここをヘッジファンドは観ているのでしょう。2回、3回と引き上げをするようじゃ…本当に大恐慌の再来を心配しなくてはなりません。ロシアの戦争突入や中国の強引な行動など…ありえますね。安全保障問題と絡みますから、判断は難しい。

でもカタルのこのような考え方が正しい訳じゃありません。イエレン女史の考え方が正しいかも、知れませんね。すべては後世の時代に於いて、結果で判断されます。カタルが三重野元日銀総裁を批判するようなものですね。どれが正解か? ふたを開けるまで分からないのです。カタルはIMFや、サマーズ長官のような意見です。ヘッジファンドのレイ・ダリオ氏も、カタルと同じ意見ですね。彼は5月に警告を発していたと言います。しかし日経新聞には、取り上げられていませんね。日経と言う新聞は、いい加減なのです。まぁ、仕方がないけれど…。

本日、マネタリーベースから、マネーストックの動きを見て…、更に黒田さんは参議院で付利金利に触れています。ヘッジファンドは、このような発言を重要視します。だから日本株は、これ以上、売り叩かれませんね。問題はイエレン女史の発言です。金利を引き上げようが延期しようが…発言内容に価値があるのです。黒田さんの発言は、皆が事前に考えていることを述べているので、株価に効きますね。悪戯にヘッジファンドは、先物から仕掛けられません。ヘッジファンドは、常に政策の矛盾を突くのです。矛盾がなければ…儲けがないのですね。分かるかな?

カタルは、インフレが日本を救うと述べています。国の借金もそうですね。仙台空港が民営化され東急が名乗りを上げる。この東急グループは今回、非常に積極的ですね。東急百貨店、東急電鉄、東京不動など…他社に先駆け開発しています。オリックスも良いですね。コンセッションは時代の流れです。

カタルはレポート通りに考え、行動します。ケネディクスの宮島さんは、今一ですが…初めて今回の説明会で、社会基盤投資に触れていましたね。もし…は、ないけれど、ダヴィンチの金子さんが活躍していれば、日本の進展時間は、もっと早く動いていかも知れません。国策逮捕のライブドアの堀江氏にしても、そうですね。バブル期には、リクルートの江副さんもそうでした。官僚は権力を行使しますが、本当に正しいやり方だったのか? 疑われます。

何しろ「失われた時代」の時間概念は、あまりに長過ぎますね。人生を棒に振る時間です。5年や10年なら、いざ知らず…、30年近くになると…どうかしています。でも、このような時間が肥やしになり、大きな時代変化に繋がるのでしょう。江戸から明治のようなものですね。黒船来航(1853年)から、明治政府が一体化する西南戦争(1877年)も、ずいぶんと時間が掛かりました。同じような空間ですね。今回も…。新しい時代の扉は、既に開いているのでしょう。



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