ユニクロと分岐点

本日の日経新聞一面には、中国経済の現状が報告され、この記事の中でユニクロの存在感が気になり、この手の株の数字を余り気にしたことがなかったカタルは、ファストリが8日に決算数字を発表したことから、ざっと数字を追ってみました。もともとファストリ(ユニクロ)とソフトバンクは、日経レバレッジ投信などの指数物に組み入れられ、割高感を感じていました。最近は、特に指数の売買が賑わっており、どうしても資金が向きやすいですからね。その為に、日経平均株価の想定以上な割高演出を感じていた次第です。

ただ売り上げは21.6%の伸びが2期続いており、今期の最終利益は48%の増加でした。なかなか良い変化率ですね。しかし一株利益が1079円にも拘わらず、株価は43900円ですから、PERでは40倍ですからね。実に40年分の利益を買っていることに成ります。通常、10倍程度の現状を思うと…如何に増益率が高いと言っても、継続する事が出来るのかどうか?

この売り上げの伸びが続くとすれば、4年で売り上げは2倍になります。利益率の読みは難しく、おそらく売り上げあたりの営業利益率は10%程度のものでしょう。事実、今回の最終利益は48%伸びていますが、売上高利益率でみると前期は9.4%で、今期は改善しているとは言え9.8%に過ぎません。それでPER40倍の評価は、明らかに高く感じます。

もともと、この産業で利益率を20%、30%と引き上げるのは大変です。要するに出店計画に収益が左右される訳です。世界的な低金利下なので、このペースが維持できるのでしょが…カタルには、やはりファストリは買えません。一方、GPIFの爆買いは、既に峠を越えており、指数買いの援軍も、新規発生しないと思われますから、何れ、適正株価水準に評価を変えるのでしょう。

何故、カタルがユニクロを取り上げた方と言えば…、昔、今のようにユニクロが成長していない時代、柳井さんは、トマトなどの野菜販売を始めたことがありました。もう10年以上も前の話ですね。丁度、これからユニクロが、デフレの世界で成長し始める時の話です。あの激安イメージのユニクロが、此処まで成長するとは、当時は考えもしなかったのです。ニトリもそうですが…時代を活かす会社と、時代に付いて行けない会社では、時間の経過で大きく、水があくものですね。当時のユニクロは、日本の衣料品業界と言うガラパゴス化社会に、グローバル論理を持ち込んだもので…、賃金の安い中国なので生産し、当時の一般的な日本の衣料品価格に、衝撃を与えたものです。

何故、こんな事を話題にしたかと言えば…、今日の新聞を読み、日本の分岐点を痛切に感じている為です。TPPと言うのは関税ゼロをめざし、自由貿易を謳うものです。リカードの比較生産費説が可能になり、より一層の効率化社会になります。やはり新しい時代は幕を開けているのでしょう。富国強兵、産業振興より、消費者優先に門戸を開放し、国際競争の中で、互いに切磋琢磨し、進化するわけですね。長い失われた時代は、その下準備であり、構造改革の時間推移でした。

しかし新しい時代は、人工知能や量子コンピュタの時代ですからね。如何に、既得勢力の発言を抑え、新しい世界観を、世界に先駆け、一般化できるかどうか…。少子高齢化は、ある意味で、IoTの生産革命を受け入れるチャンスですね。その意味で…やはり、指名解雇に始まった日本の失われた時代は、パイオニアの相場で復活するのは、何故か、運命的なものを感じますね。この感覚は、未だに漠然としているのですが、何となく…本当に勘なのですが、相場になるように思えますね。

今日の日経トップのユニクロの記事は、TPP参加のベトナムの優位を示していますね。しかし日本の自動車産業が集積する、下請け工場的なタイは参加していません。この辺りにも、相場の芽がありそうですね。何れ、カタルの考えを表明する日が来るでしょう。TPPは相場を考える上で、非常に重要なパーツです。

相場が戻り、先週1週間で、かなり投資マインドは変化しました。しかし日経新聞を読むと多くの人は、再び不安に駆られると思います。本日の日経新聞は、この夏相場の確認作業の一環です。相場は、常に足元のかためながら、新しいステージに入ります。株式相場は過去ではなく、未来を見据えて動いています。分かりますか? 本日の日経新聞は、過去の現象を具体化しただけの話ですね。第一中央汽船の話もそうです。重要なのは、米国のマネタリーベースの推移ですね。量的緩和を打ち切ったのは、昨年の9月末の話です。土曜日に掲げたWTIの相場と比較して下さいね。いや、もう一度、掲げましょうか…。

WTI、NY原油価格推移
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WTI、NY原油価格推移

しかし…根底にあるのは、テーパリング(量的緩和からの出口戦略=正常化の金融世界=でもカタルは幻想だと思っています。)の進展スピードが早すぎるから、中国の元引き下げ、サウジやノルウェイの資金引上げ等により、市場経済と言う「パイ」の縮小が起っています。FRBは既に反省をしており、議事録にも低インフレ懸念が盛られました。つまりサマーズ時間の最中なのですね。WSJの「FRBのバランスシート報道」は真髄を突いています。再投資論をする事で、現状維持を改めて確認した報道です。これもサマーズ時間を示します。

だからこそ先週は、週末の雇用統計値を受け、NY市場が記録的な上昇を示したのです。新しいステージに入ったとの認識が、やはり正しいのでしょう。サマーズ時間なのです。



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  1. 2020.03.08

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