原油相場は語る

おそらく多くの投資家は、米国株安に怯えているのでしょう。カタルは当初、FOMCに向けた調整懸念と考えていましたが…、どうも流動性欠如懸念は、新興国だけでなく米国企業の脆弱企業も対象になっているようです。その為に信用逼迫懸念が存在するようで、ジャンク債の相場が、急落していると言います。この報道は12月に入ってから目立つようになっています。カタルの見方は、やはり正しいのかな?…と今は思っていますね。カタルの基本は、金融デリバティブの発展がBRICsの発展を支え、世界景気を押し上げました。原油価格の動向を見ると良く分かります。

WTI市況の推移
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                      WTI市況の推移

カタルがプラントの見積もりを誤り、多額の損失を抱え、経営不振に陥った日揮に注目したのは、原油価格の上昇が切っ掛けでした。市場は1999年3月~4月に活況を呈し、先高の兆候を示しました。カタルもここで日揮を推奨しています。でも実際は、この時期は相場にならずに早過ぎたのです。日揮は、およそ1年以上も…その後低迷し、翌年の夏に、再び本格的な上昇を開始します。その当時の原油価格市況と日揮の株価を掲げておきますね。

日揮の月足推移
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                    日揮の月足推移

この原油価格相場は、ベルリンの壁崩壊から…東西冷戦構造が崩れ、市場経済が共産圏の参加で拡大すると予測した1989年より、実際の変化は、およそ10年以上も遅れて現れました。カタルが上京した時、ベルリンの壁崩壊を見て…経済力の強い日本は市場経済のパイが2倍になるので、日本株は10万円になると言うレポートを掲げました。しかし実際は日本村論理が破れ、グローバル化を強いられるのです。太平洋戦争後…東西冷戦があったために、日本は米国の庇護下に在ったわけです。共産圏の防波堤としての価値があり、日本を育成するのは、安全保障上、米国の利益になっていたのです。

ところが…貿易黒字の拡大が行き過ぎて、米国の牙城を脅かしました。自動車など…貿易摩擦問題が起こり、プラザ合意に繋がりましたね。その為に米国は、この時期に対日戦略を変えたのでしょう。カタルが「失われた時代」の起点は、プラザ合意だと述べているのは、このような背景があります。日本は戦略を変えるべきだったんです。でも村論理の為に変更できずに…バブルの発生、そうして崩壊、更に、失われた時代と言う最低の馬鹿政策を採用してきました。デフレは、まさにその極みです。

さて話を戻しましょう。原油価格の動向を見ると分かりますが、BRICsなどの新興国の発展を支えたのは…金融デリバティブの発展ですね。本来は恐くて共産圏などへお金が回らないのです。ところがオプション論理の発展で金融デリバティブが栄え、続々とCDSなど、信用力のない債権に対する保証機能が発展しました。サブプライムからリーマンの破たんが、AIGなどの保険機能を脅かしましたね。これが金融危機の正体です。表に出ている信用力の何倍ものシャドーバンキング機能が、実際は存在していたのです。影の市場に対するメスは、サブプライムローンが起点になりニューセンチュリーの倒産が切っ掛けになりました。シャドーバンキング市場に、過度に依存していたリーマンは破たんしました。

でもAIGは直ぐに復活し、米国政府は儲かったように…、基本的に金融デリバティブを支える計算式は間違ってなかったのです。要するに…人間が、お化けと言う幻想の影に脅えただけなのです。しかし、これが切っ掛けになり金融規制が強化されます。この点は意見が割れますね。米国の共和党は金融界の擁護派ですが、民主党は規制強化の傾向です。

世界の中央銀行が主導する量的緩和は、シャドーバンキングの縮小により、その失われた流動性を補っているのです。原油安はデフレ方向に働き…流動性の欠如を示しています。故に12月に入って、米国のおひざ元のジャンク債の相場も大きく下落しています。この現象は、明らかにイエレン時間の到来が間違っているのでしょう。むしろサマーズ時間が流れるのでしょうが…。しかし一度は、量的緩和により、行き過ぎた信用供与を戒める必要があるのかもしれません。これがイエレン時間なのでしょうね。つまり、やはりカタルは再び量的緩和に追い込まれる可能性が高いと思っています。つまりダリオ時間の到来ですね。

もともと金融機関に対する締め付けが、強すぎるのです。人間は新しい手法への変化を畏れます。必ず二者選択になると…自分の経験がある選択をします。冒険はしませんね。おそらく一度は、昔の手法への模索をして利上げをし、テーパリングを実施するのでしょうが…再び、危機は訪れるのでしょう。その時に、金融デリバティブ機能を、シャドーバンキング下ではなく、表に出して…この金融デリバティブを容認し活用するのでしょう。これはオバマ大統領では無理で、やはり共和党政権下でないと…要するに金融支持派の政権でないと、この辺りの事情は、分からないのでしょう。金融と言うのは…行動の為の手段なのです。故に清貧思想論者ではなく、この認識を持っている指導者が必要ですね。

今日のテーマは、多くの読者にとって、少し難しかったかな? でも証券マンは理解しないとなりませんね。歴史を調べ、その置かれた背景を調べないと…なかなか理解は進まないでしょう。確かに米国の金融政策は難しい。それは基軸通貨だからですね。米国の足元は好調でしょが…実際にジャンク債の不振は、シェールガス市場だけでなく、電力会社にまで広がっていると言います。これは、明らかに行き過ぎています。おそらく、この現象は来年春ごろには…再びダリオ時間が到来する事を示しているのでしょう。

でも今は、カタルが見ているラインまで懸念する必要はなく、一度は大きく反発し…ひょっとすれば、イエレン支持派により、NYダウは新高値を更新するかもしれません。しかし、その後はやはり恐いですね。バフェットがリートを買うように…金融デリバティブの技術革新を、どう考えるかにより、この解答は変わるのでしょう。古典的な金融政策が正しいと思うバフェットらしい選択です。まぁ、やってみなければ、分かりませんからね。どっちにしても、利上げ後はスッキリ感が市場に漂い、新しいステップが始まるのでしょう。きっと…面白い年末年始相場に向かうと考えています。楽観的すぎるかな?



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