本日の日経新聞には、イギリス経済の在庫の話が載っています。この在庫には「意図せざる在庫増」と「意図する在庫増」があります。製造業で一番怖いのは部品調達に支障をきたし製造できないリスクです。その解決策の一つで…イギリスの場合は後者の意図する在庫です。でも解説の趣旨は間違ってはいません。
記憶に新しい所では、東北大震災でルネサスエレクの主力工場が被害に遭い、トヨタの生産が止まりました。ルネサスのマイコンの供給が止まると、車全ての生産が出来なくなります。その為にトヨタの社員がルネサスの復興に応援出張していました。
直ぐに、ほかのメーカーへ振り替えるにしても対応できるところはありません。それに多くは特別仕様になっておりプログラムの改良などに時間がかかります。要するに…一つの部品調達に支障をきたすと…生産全体が最悪の場合は停止します。サプライチェーンは効率化を求めていますから、有事の対応への考慮が欠けていたのでしょう。トヨタのカンバン方式も穴だらけだったわけです。
日経新聞で語られている在庫指数は、意図する在庫増ですから、そんなに危機を煽る必要はありません。それにPMIと言う指標に絞って解説しています。メディアらしい大げさな記事に見えます。
でもカタル自身も、今回の米中貿易交渉を甘く見ていました。習近平氏は当初、強気な姿勢で交渉に臨みました。その結果、生じた混乱が経済全体に波及しました。未来に不安を残すと投資活動が止まります。でも流石です。一流域の政治家は、自身の対応がまずかったと反省して直ぐに方向転換をしています。同じことがFRBにも言えます。こちらもFRBは利上げが間違いだったことを認め…既に金融政策は方針転換されています。
基本は此処にあります。政策担当者が適切な対応をするなら、景気の上昇は続きます。永遠に続くと思っても良いのでしょう。でも様々な問題は、必ず、膿が蓄積します。今の米国は借金が膨らんでおり、レバレッジローン(ダブルB以下の危険な融資先の債権で、多くは担保付で金利が高い商品)が話題になっています。だから何らかの制限をすべきなのでしょう。
世界の中で日本だけが、この危ない融資を受け付けていますから、先日、金融庁が実態調査に乗り出しました。裏返すと…日本の金融機関の自己資本比率が健全だということです。レバレッジローンを大量に受け付けられるということは、自己資本比率が高いという証です。
さて本題に入りましょう。意図する在庫と意図せざる在庫の話ですが、半導体の現況はサムソンが通常3週間から4週間分と言われていますが、現状は倍近い在庫を抱えていると言います。SKハニックスも同様です。この半導体の在庫は意図せざる在庫です。予想に反し世界経済が軟調に推移したので、生産と需要のミスマッチから在庫が増えています。この為に市況ものですから、製品単価は下がり業績は急速な悪化を続けています。この状態は現状では3Qまでは確定しています。今は1Q の決算数字がこれから出てきます。
安川電機の株価が強かったのは、決算説明会で…受注が底を形成した可能性があると発言したらしいですね。それと自社株買い効果のようです。
今の時代は消費動向が、瞬時に生産側に伝わりますから、特に優良企業、例えばTSMCなどはハイパースケーラーと呼ばれるクラウド・インフラ企業(グーグルやアマゾン)の受注などがメインなので…既に底打ちしたようです。しかしサムソンやSKハニックスなど一般的なDRAMなどは市場でだぶついており、価格は3Q一杯まで下落を続ける予想になっています。
この意図せざる在庫の予想ですが、米国のSOX指数では既に新高値ですから…この現象を信じるなら、半導体価格は4Qでは改善するのでしょう。一般的な解釈として年内にも改善するという読みです。
本日は意図する在庫と…意図せざる在庫の話を題材にしてレポートを構成しています。この景気循環がキチン循環の話です。景気循環には様々な循環があると解説されています。安川電機は設備投資ですから、ジュグラー循環の話になりますが、半導体のスパーサイクル論と同じで、スマート化は工作機械のロボット化ですから、ここでも半導体と同様のスパーサイクル論の考え方が適用されます。AIの進展でどんどん無人化が進みます。
ソニーが、何故、有望か?…と言えば、人間の目にあたるカメラの半導体を手掛けているからです。半導体も昔はDRAMにフラッシュくらいの認識でしたが、どんどん細分化され専門性に特化しています。ゲームはエヌビディアと言う具合です。
クリスマスショックは基本的に二つの要因で下げたと言われています。一つは米中貿易摩擦です。もう一つがFRBの金融政策ですね。FRBの金融政策が重要なのはドルが世界の基軸通貨だからです。特にベースマネーの考え方は世界経済の規模にも影響を与えます。基本的に貿易が膨らめばお金の需要も増します。
今は、製造の価値観(中国製造2025)より、スマート化で文化の価値観が重要になっています。人々はモノの対価としてお金を払うのではなく…豊かな時間を与えてくれるものにお金を払うようになっています。有料の音楽サービスや、野球、サッカーの中継など…5G
時代になると、VRなどを利用して実際にスタジアムに居るような臨場感を、自宅で味わえるようになります。そのような時間にお金を投じるわけです。
カタルは有料会員を募集して、相場のイロハを教えていることに読者がお金を払います。これも相場の楽しみために、自らお金を払って勉強したいという欲求でしょう。これも文化にお金を払う現象です。どんどん世の中は進化しますよ。
だからサイバーエージェントのインターネットTVなども価値を帯びてきます。USENの宇野さんは早すぎたことと資金力不足でしょう。その為にギャオは失敗に終わりました。でも狙いは正しかったのでしょう。
株式投資もそうですね。カタルが推奨している銘柄は、時期が早い場合があります。この時間のズレを、どう修正するか…に苦しんでいます。
カタルは普段から様々な報道に接し、焦点の捉えどころを会得しています。この為におよそ40年のキャリアを積みました。でもなかなか運用成績が飛躍的に上がりません。
昨年はある程度は分かっていました。相場が駄目なことを事前に察知していたのです。今年も前半はそんなに良くはありません。でも早ければ後半にも…、一般的には来年以降なのでしょうが、日本は長年の眠りから覚めます。「失われた時代」です。
この焼き畑農業の価値は、きっと凄いものでしょう。なかなか時間調整に耐えられる人はいません。30年も眠っていた眠りから目覚める相場が、どんな大相場が始まるのか…やはりワクワクします。
皆さんも、カタルと共に相場を楽しみながら勉強しましょうね。一つの記事からのこのようなレポートになりました。本日はこの辺でお終いです。それでは…また明日。