本日は昨日、「今日の市況」で述べた、最近の株価の乱高下について考えてみたいと思っています。一昨年、5月にバーナンキ議長が、突然の出口政策に対する言及で、株価が大きく下げました。それまではQE1、QE2、QE3と…立て続けに、中央銀行が大量のマネーを市場に供給するという強硬策を取ってきたのですね。世界の基軸通貨はドルですから、この流動性は極めて重要です。このバーナンキ発言に対し、新興国の中国などを中心に世界経済に対する配慮を求められましたが、米国は米国経済を優先して政策を実行する…と、このような批判を、一蹴しました。イエレン女史に変わり、最近は多少、他国へも配慮する発言がありますが…基本は米国経済の動向で、米国の金融政策は決まります。
オバマ政権は金融危機を受け、その張本人である金融界に対し、依然、非常に厳しい態度を継続させています。その為に、様々な金融行動を縛る規制を連発させています。制裁金も、兆円近い金額が連発しています。一例を掲げると、大きく政治問題になったパリバへの89億7000万ドルの制裁金ですね。今の為替水準では1兆円を超える金額です。2014年7月当時は9100億円ですが…。この制裁金は、金融危機時のサブプライムローンに絡む住宅ローンの返済請求で、15兆円規模と言う報道が2011年秋にありましたね。如何に巨額か、分かるかと思います。これと同時に、金融の行動に手足を縛った規制を設けています。先頃カタルが、何度も話題にしたG20の自己資本比率規制問題も、その一例です。この動向を受け、最近、スペインのサンタルデール銀行は、約1兆円の増資報道が、昨日ありました。
カタルが注目している「デフレ脱却」銘柄の邦銀株の下落は、この増資懸念もあるのでしょう。でも三菱UFJは、G20の話し合いの過程で、新基準にも十分対応できるとして自己資本比率に影響はないとして、先ごろ、自社株買いに踏み切りました。だから世界で一番、日本は健全なのです。カタルは、金融庁批判を繰り返してきましたが、ある意味で金融庁の清貧思想の恩恵とも言えます。でも総合的評価では間違っています…がね。弱体しているドイツ銀行は、どうするのでしょうね。パリバもそうです。欧州の銀行は非常に脆弱なのです。日本はバブル崩壊の影響もあり、金融デリバティブに対し、距離を置いた為に、今回の金融危機の影響は、一番、軽いのです。事実、2011年の住宅ローンの返済金も、邦銀は…ほとんど、なかったと思います。リーマンを買収した野村が20億ドル程度でしたね。他は軒並み100億ドルを大きく超えるのです。メリルが248億ドル、JPモルガンは330億ドル、RBSは304億ドル、ドイツ銀行は142億ドルなど…挙げると…キリがありませんが訴訟の対象になっており、それぞれ和解が成立していましたね。この収束が…昨年なのです。バンカメは、昨年8月に1兆7000億円で和解すると報じられていました。
何故、株価に関係ないと思われる、これらの材料を、カタルがいちいち挙げているか? 理由があるのです。カタルは今の世界経済は、民間銀行が金融デリバティブを中心に行ってきた信用供与が金融危機で縮小したために…、この信用収縮分を中央銀行が量的緩和と言う形で補ってきたと思っています。その為に経済が大きく落ち込まず、立ち上がってきたのです。カタルの以前のレポートを読めば分かりますが…米国の自動車販売が大きく落ち込んだ背景は、信用供与を民間銀行が大きく絞ったのですね。貸し出し基準を厳格化し、ローンを受けにくくしていました。その為に米国の自動車販売は、リーンマン・ショック前は1700万台代で推移していたのに…、2009年には1060万台に落ち込むのですね。(グラフは日本自動車工業会よりの資料)
富士重工やマツダなどの株価の躍進は、このような布石があったのです。だからカタルは2010年において、米国は、必ず元に戻るから…と述べ、当時、輸出比率が高く、赤字になっていたマツダを、買い推奨していたのです。勿論、中国の躍進が念頭にあったので、スバルではなく、マツダだったのです。実は、この推奨も2年ほど早かったのですが…。話が、逸れますね。経済が活発になるためには、金融機能が正常に働かないと実体経済は落ち込むという事例を、示したわけです。当時の米銀は大量の不良債権を抱え、信用許与が厳格だったのですね。この落ち込み分をFRBが量的緩和で補ってきたので、米国景気が改善してきたのですね。昨日、発表された雇用統計値や失業率もそうです。最近は今まで話題にされなかった「雇用の質」である賃金の時給水準が問題になって来ましたね。完全雇用状態は、見せかけの弱い経済回復なのが…この「雇用の質」で分かります。イエレン女史は、この事を公聴会などで指摘していたのです。
ここで日銀の戦略とFRBを比較すると、政策指導者の資質の違いが分かりますね。見せかけの景気回復にもかかわらず、日銀は2006年にマネタリーベースを前年比で20%も削減し始めたのですね。此処に米国の金融危機が重なったので、日本経済はバブルパンチを浴びたのです。さてカタルの宿題として、1937年問題があります。当時も世界大恐慌から経済が立ち上がり、出口戦略を模索したために、景気後退が激しくなり、結局、世界大戦に突入して、破壊を繰り返し需要を喚起しました。おそらく、この当時も末端の世界の人間は、生活が苦しかった筈です。人々の不満が潜在的にあるから、爆発しやすいのですね。イエレン女史は雇用の質を問題にしている理由が、推察できるかと思います。だからクルーグマン教授は、世間一般的な予測の6月利上げ説を否定し、今年、米国の利上げはないと述べているのです。
今日も…少し難しいですかね。かなり、分かりやすく解説しているつもりなのですが…要するに、金融機関が弱いと実体経済は強くないのです。今の米国の軽善は、ようやくICUから抜け出したイメージで、一般病棟に移ったとの判断が正しいのでしょう。それをメディアは健康体の様に錯覚し、報道しているので市場が警告を発しているのです。だっておかしいでしょう。例えば…こちらのニュースです。ブルームバーグでは「ヘッジファンド運営会社のブレバン・ハワード・アセット・マネジメントでは、運用資産が3カ月間で4分の1減少。」と報じていますね。昨年の年間リターンはマイナスだったそうです。好調な経済なのに…金融取引はマイナス?
全て、オバマの清貧思想のおかげです。世界には投資マネーが不足し始め、悲鳴を上げているのですね。それが原油相場にも現れているのです。ギリシャ問題や原油問題の大元は…G20の金融規制強化なのですね。本当は、原油安は経済活動にとって、プラスの材料なのに…懸念を優先して、市場に警告を発しているのです。実体経済の政策運営が誤った判断を下すと…、日本の様に世界の株式市場は、二番底に突入するのでしょう。つまりイエレン女史の判断は、非常に重要ですね。昨年、日本株投資が低調に終わったのは、このような背景があるのでしょう。ケネディクスが折角、ハローウィン緩和で649円まで伸びたのに…、おそらく外人投資家の利食い売りを浴び、低迷しているのも…この影響でしょうね。
でも世界で一番、日本株は諸条件が優れており、株高になる要素が満載です。日銀はFRBとは違い、ガンガン応援しています。GPIFも、共済年金も、政府も、みんな経済活動を応援していますね。だから目先のブレに、そんなに神経質になる必要はないと考えています。1月25日にギリシャの総選挙とか…でも既に緊縮体制で規模が縮小し、たとえ離脱を選んでも、イタリアやスペインに波及はしないでしょう。逆にECBは量的緩和方向に歩んでいますね。メディアに登場しているアナリストが、盛んに言っている米国利上げは…今の所は、「ない」と考えています。明日は、この「雇用の質」問題を考える時間があるかどうか…。今日は少し色んな資料を引っ張り、力を入れすぎました。
皆さんに、カタルの頭の中の理解を促進させようと…苦労している訳です。短絡的に株価が下がると、直ぐにケネディクスは、駄目なんじゃないか?との問い合わせも頂きますが…全ては、これから行われる政策により、株価水準は決まるのですね。未来の事は確定されておらず、誰にも分からないのです。しかし政策が正しい方向性を維持するなら、間違いなくケネディクスは、スター株の座を射止めると考えています。
何故、2年近くも信用取引残が減らずに、維持されるのでしょう。先日、ハローウィン緩和を受け4000万から6000万株に、信用残が増える過程で株価が飛びましたね。だから…おそらく浮動株は、既に、かなり吸い上がっており、あと2000万株ほどなのでしょう。もう少し応援するヘッジファンドなどが参加すれば…スターの座を射止めることが出来るのだろうと考えています。間もなく復配が確定され、今まで配当制限などで株を持てない共済年金なども、株式を買えるようになります。事実、週刊朝日には、岡三証券の小川氏がケネディクスを推奨しているとか…。フィスコのレポートにも登場し、ようやく、一般の人間が取り上げる段階になって来ましたね。
2月には昨年の数字が固まり、いよいよ急角度の業績の上昇が、確認される年になりました。楽しみにしていて下さいね。下がれば、お金のある人は、買えば良いのです。ドル平均法で買い下がるのですね。かたるような貧乏人は、逆に無理をせずに、信用分は追証など入れずに、建玉を外せばいいのです。カタルも、貧乏人だから、事実、ピーク時から手持ち玉は減りました。仕方がありませんね。貧乏人は、なかなか泥沼から這い上がれません。
カタルは、何度も経済的な背景を述べています。日銀が国債をドンドン買い入れているので、地銀を筆頭に、どの金融機関も資金の運用先がないのです。だからリートの購入が盛んになります。こんな事は前から述べていますね。実際の数字も掲げています。地銀のデータを金融庁や日銀から持ってきて解説しています。自分で調べれば分かりますよ。日銀は絶対に負けないのです。黒田さんが批判に怯まずに、堂々と緩和政策を維持すればいいのですね。さらに当座預金に対し、マイナス金利にすれば…170兆円の資金は、どっと市場に溢れますね。その為に年初に資金循環表を添付し解説したのです。
自分自身で様々なデータを調べれば…自ずと、未来が見えてきます。自分で調べないから、不安になるのですね。今日は、こんなところで…お終いです。証券マンはまず、自分自身が世界の背景を理解しないと…お客様に説明のしようがありません。確りとニュースを集め、そのニュースは何を示唆しているのか? イスラム国の誕生などは基本的に喰えないからテロが起きるのです。投げやりになるのですね。フランスの問題もそうですね。G20の代表者は、良く考えないとなりません。今はデフレ状態で日本化現象を畏れているのです。中国もディス・インフレのようですね。FRBは大丈夫でしょう。何しろ米国は市場主義の国なのですね。メディアの6月利上げ説などが…背景にあり、ヘッジファンドの資金が不足しているのですね。だから市場が乱高下を繰り返すわけです。この過程では、水面下で玉が移動し、安定ラインを模索している訳です。市場と政策は、表裏一体で鏡なのです。
自分を中心に物事を考えるから、間違うのですね。自分は、経済活動の中のほんの小さなゴミのような…いやチリのような存在ですね。もっと大勢を観て欲しいと願っています。今日は、長くなったなぁ~。それでは、また明日。