アーカイブ:2019年9月

総資産経営と村論理

カタルは大手企業が利益率の低い事業を手掛けて雇用を維持する総資産経営と村論理が、ROE経営と言うグローバル基準を阻んだ原因だと思っています。故に「失われた時代」と言う、空洞化が進んだ構造改革が必要だったのです。

その報道が村社会と総資産経営の実態の一つが此方の報道です。

関西電力の役員らが福井県の高浜町元助役の森山栄治氏(故人)から、お歳暮や中元などの金品を受け取っており2011年から2018年の8年間に合計3億2千万円を受け取っていたと言う問題です。

その際に関西電力は、地元企業の吉田開発に工事を発注していたと言います。吉田開発の2013年の売り上げが3億5000万円だったものが、2015年には10億円を超え2018年には21億円を上回っていたとか…。そうして吉田開発からこの森山助役に3億円を提供したと言われています。

この構図は、高くなる電気料金に含まれ…そのお金が回り、食えない弱者が、食べられる仕組みを提供しています。キャリア組のエリート官僚には、今でも地方の自治体からお歳暮やお中元が届きます。予算の獲得の為に、便宜を図る目的から…常日頃の付き合いを大切にする日本の慣習です。

この事件に対し、同じお仲間の経団連会長はこう発言しています。中西さんは日立の出身です。

でも…ね。日本の電気料金は高いですが、その原発の仕組みのおかげで本来は競争に敗れて、食えない人間の雇用が確保されて、食べられるようになっているのです。地方には職がありません。だから原発様さま…その町民は、税金が軽減され市民ホールなどが建設され、地方の社会基盤を支えていることも…また事実です。利益率の低い分野の産業を残して雇用を確保して、みんなで支え合う構図です。これが日本的な総資産経営であり、村論理の一部です。

2011年に東北大震災が起こり…基本的に被災者の家賃補助など打ち切られてきましたが、それでも…今も文句を言う人が居ます。カタルは3年が限度で長くても5年程度にすべきだと思っています。小さな天災には補助は出ませんよ。このような大きな災害になると国家が様々な支援をしてくれます。しかし…同じ被災者なのに…小さな災害だと見捨てられる。フェアなのでしょうか?

日本には生活保護と言う仕組みがありますから、食えない人は、別の形で救済すべき話しでしょう。

例えば…総資産経営の実態を、もう一つ紹介しましょう。今、話題になっているJDI(ジャパンディスプレイ=6740)です。この組織の元は、ソニーや東芝、日立のディスプレイ部門が統合され…産業革新機構が主導して再建に乗り出しました。このように…国民の税金で民間企業の倒産部門を引き受けたのです。

本来なら、その雇用を切って…解雇するのが当然なのですが、大きいから国民の税金で、その雇用を引き受けたのです。確か…JDIの再生にシャープが手を挙げた時期があると思うのですが…。それでは産業革新機構が食えないから支持しなかったのでしょう。そもそも産業革新機構と言う組織も…たぶん産業再生機構の受け皿として用意された組織だと…カタルは勝手に解釈しています。

日本は、このように規模の拡大と言う総資産経営のやり方が基本です。利益率が低くても…なんとか食えていれば、その分野を残すのです。

でも…米国などでは、このやり方は通用しません。どんどん弱者を切り捨てて、その弱者に更なる努力を強いて…個人の変身を促し、産業構造を変えて行きます。でもトランプ氏は、その弱者相手に雇用を守るために貿易戦争を仕掛け、自動車の工場を米国内で生産をさせようと…時代を逆回転させています。だから数年後の米国株は、この咎めを受けるのでしょう。

しかしグローバル基準のROE経営の基本は、利益率の高い産業を育てることにあります。そうして利益率の低い分野をドンドン切るのです。だから当然、社員にも、変革が常に求められます。パソコンが出来ない中高年は、必要に迫られ…やり方を学びます。英語も同じです。資格試験を取らされます。たしか…TOEIC700点以上だったかな? 日本IBMは…。カタルの友達も苦労していたように思います。

でも日本企業の多くは、♩サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ…♩と言う具合です。終身雇用と言う幻が定着していた為に、パイオニアも指名解雇事件が社会問題になったのです。そのパイオニアは、とうとう消えました。あの時に、メディアが騒がずに…あのまま指名解雇が、まかり通っていたら…日本の失われた時代は短かったかもしれません。

この指名解雇は形を変え…今では希望退職者の募集に変わっています。富士通も、邦銀も形は似たようなものです。そうして…今、キリンが希望退職者を募集し始めています。45歳以上の部下が居ない社員は、解雇の対象になります。

このような事例を説明すると、総資産経営の意味も理解され、尚且つ、経団連の村論理などの理解も進むと思います。

何故、カタルがメディアの報道にいちいち噛みつくのか? 昨日はTDKの無借金経営を賛美するような報道だから、カタルは日経に噛みつきました。確かに自社株買いなどの未来の可能性を残した報道でしたが…この低金利の時に借金を返すより、アップルなどは社債と言う借金をしてまで、自社株買いをしているのです。だからカタルは報道の仕方がおかしいと述べました。

でも日経新聞の記者の立場では、あのようなマインドの書き方になったのかも知れません。批判すると…それ以後の取材などやり難いですからね。更に営業部門から文句が来ます。 一応、あの記事を読むとROE経営には触れていましたね。でもあの記事の第一印象は、無借金経営を賛美するような見出しでした。今の時代は借金をして…自社株買いをするべきでしょう。

そこで…TDKを見てみると、内部留保の利益余剰金は9855億円もあります。時価総額は1兆535億円ほぼ…1:1です。何故、こんなに内部蓄積をしなくてはならないのでしょう。前期の配当性向は24.5%です。内部留保率は75%もあるのです。

それなのに…売上高営業利益率は低く8%に届きません。 ROEは9.7%となっています。資生堂やキリンのような努力が明らかに足りません。

最近の市場では、高周波対応の半導体が必要なためにTDKなども注目されるのでしょうか?

ここで…株式市場の話しを、少し…しましょうか。皆さんは、経済の要の基本である総資産経営や、村論理などの話は面白くないかもしれませんからね。最近、村田製作の株価が、堅調な理由が分かりますかね? カタルが推奨した後の高値を抜いて、戻り高値を更新しています。当然、此処には東邦チタンも絡みますが…カタルが時代投資を勧める理由の一つでもあります。

村田製作の日足推移

村田製作を薦める時に、MLCCの車向け需要をみたり、スマフォの新時代を観ていたのですが…最近の株式市場では、5G関連スマフォに対応するために高周波フィルターなどの需要が増しているのです。その第一人者が村田製作です。だから株価が戻り高値を更新しており、カタルの利食いに繋がりました。此方の記事が参考になります。(ついでに…カタルを疑う人は7月18日の今日の市況でも取り上げています。此方です

TDKの話から…連想が飛びましたが、本日の主題は、あくまでも総資産経営と村論理の理解を進める為に原稿を書きました。

明日は最近の相場の考え方を、述べようと考えています。でも未知の分野の予測は非常に難しい。カタル自身が迷っているから…レポートを書くことで自分の相場観に磨きをかけている訳です。それでは…また明日。



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