アーカイブ:2023年10月

相場の視点

米国は「逆金融相場」と言う金利が上がりこれから景気後退場面が訪れる展開なのですが…、この景気後退局面が、なかなか…訪れないのですね。その理由はチグハグな財政政策に在ります。「インフラ投資雇用法」や「CHIPSおよび科学法」の財政出動が稼働しており、雇用がなかなか落ちません。

一部では…昨年からリストラが行われています。フェイスブックの「META」などが代表事例でしょう。まぁメタの場合、特殊なケースとも言えますが…最近、好業績が確認された「ネットフィリックス」などは、最近まで人員の削減を実施しています。

経済政策の基本は「インフレ」に陥らずに経済成長を「持続させる」ことを主眼にしています。インフレ率と経済成長、つまりGDPの成長率が問われます。両者を加味したものが実質GDPの成長率です。名目成長率から物価の上昇率を引いたものです。この関係は賃金も同じで…名目賃金からインフレ率を引いたものが実質賃金です。

でも実質成長率に主眼が移った理由は…日本の村社会価格にも原因が在ります。コメをイメージすると分かります。関税政策を実行しており…日本の米価は基本的に国際価格よりかなり高い水準に維持されています。これが村論理の日本価格ですね。

でも最近はこのコメの価格は、まだ割高ですが、グローバル価格との差は縮まって来ました。チーズなどの乳製品でも良いですね。基本的にグローバル価格に対抗できる国内価格を維持すべきなのです。そうして…世界競争に勝てないと駄目です。

資本市場では、過度に国内産業を保護し過ぎないことです。カタルが、政策に噛みついた「ブルドックソース」や「東京機械」の最高裁の判決は、何れも…買収を試みるファンド側の敗北で…資本の論理が捻じ曲がっています。東芝問題の基本もそうです。その為に無理をして経営権を、日本人の手に渡るように制度が歪めて…解釈しています。その結果が東芝傘下のキオクシアです。

日産自動車の事例も、ゴーンは「ルノーとの統合」を模索していましたが、日産は日本の会社と言う視点が強すぎて…東京地検が動いたのでしょう。

このような事例を観ると…海外投資家は、日本への投資を躊躇います。日本は「異質な国」、ハッキリ言って、中国と「五十歩百歩」なのです。だからカタルはゴーンの逮捕に噛みついた訳です。ワンワン…。

日本の自己資本比率50%以上の基準が、優良企業の目安の一つと教わりますが…ROE経営の視点では、今の低金利下では、借金を増やした方が有利なのです。売上高利益率が20%の高収益会社がなら、2%程度の金利負担を加味しても…成長投資を加速した方が、利鞘は多く得られます。故に、利益はどんどん…増えます。

でも米国のようにプライムレートが8.5%では…この売上高利益率が10%程度の会社では、逆に規模を縮小して…利益率を高める作業が必要になります。儲からないと取引先を削ります。全体のパイは減って高効率化を求めるのです。

富士通の週足推移

ここで…最近では「富士通」(6702)が注目されます。この会社は、黒字でも「人員整理」をして、効率化の道を歩んでいました。株価は横ばいが続いており、そろそろ新しい段階に入る可能性があります。

このような単純な理屈がグローバル論理ですが…日本は「終身雇用」「年功序列」と言う壁を設けるから、必要のない「低収益の産業」が蔓延ったのです。これが「失われた時代」になり構造改革が遅れて…時間闘争になった理由の一つです。

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」…と言う造語は、集団行動の日本人を揶揄したものですが、日本には、そのような「協調性」が過剰に求められます。

東電の原発事故の処理の仕方を観ると分かります。カタルはもともと査察権のある原子力委員会かな? 検査を実施して処分命令を出せるのですから、その組織が機能しているなら、この原発事故は、防げたかもしれません。何のために、原子力委員会はあるのでしょう。責任も取らない組織なんか…聞いたことはありません。

もともと…自然災害の要素が多くあるわけですから、国の責任にすべきです。それを返せないお金なのに…制度を歪め、村社会論理を優先させた処理の仕方です。国民全体で、その責任を分担しています。「奉加帳」と言うのは…そういう事です。関係ない…関電や東北電力も責任負担を強いられています。

つまり…日本は「和を以て貴しとなす」と言う基本精神を主眼にした政策なのです。

その為に1980年代前半から始まった「政策の失敗」のツケを、永遠と…払い続けたのが「失われた時代」です。一番の被害者は、資産投資の「証券」と「不動産」でしょう。これに絡む「金融」も同じです。でも今は、ようやく時代の「逆転現象」が生まれ…非常に大きな時代の流れの「転換期」に、日本は位置しています。

此処に産業革命を超える「時代革新の波」が始まっています。(コンドラチェフの波)


「モービルアイ」(MBLY) の日足推移

代表事例はAIの利用などです。自動運転は、革新的な時代を切り拓く「アイテム」です。日本には、なかなか…ないのですが、米国にはイスラエル企業の「モービルアイ」(MBLY)があり、カタルの観察株になっています。

未来の「アップル」や「エヌビディア」になり得る会社の一つでしょう。100万円程度買っておくと…上手く行けば1億円になる可能性もあるのかもしれません。日本では法律の遅れなどもあり…ベンチャー企業の育つ土壌が形成されません。それに…「リクルート」や「ライブドア」を観ると…東京地検様は、自分達の領域を犯される改革を拒みます。

最後は…われわれ日本人が、どんな社会を望むのか? 

此処になるのです。でも一般の日本人なら最低限の生活が保障されるのが生活保護の制度です。まぁ人口構成などがあるから…何とも言えませんが…こちらのグラフを観てください。だから日本の一般の人にとっては、良い社会かも知れません。

日本の生活保護の受給推移

でもこの推移を観ると、基本政策の「大切さ」がよく分かります。名目時代は、一貫してその数が低下しています。物価高に苦しみましたが、みんなが「明日はもっと良くなる」と…頑張った結果、バブル期のピーク辺りが最低水準です。ですが、「失われた時代」は一貫して増加傾向です。そうして…最近は再び低下傾向です。此処でも名目時代の選択が、正しい政策と言うのが…分かると思います。

カタルの「市場原理主義」は、「過当競争」を奨励するような…厳しい世界です。「切磋琢磨」して…互いに向上し続ける世界を目指します。だから「希望」が大切なのです。

残念ながら、カタルは株が下がると思っても「空売り」を用いません。もともと…この事が示すように、カタル自身は、武者リサーチの武者陵司氏と、同じ「名目人間」です。彼のレポートも一貫して…同じことを述べ続けています。その視点が描かれています。

相場を当てることへの主眼より、社会変革を目指す視点の「改善レポート」です。

自分が信じる道が正しいと思っています。だから…ビックモーターの不正は許されませんが、あの程度のものは、仕方がないかな?…とも思うのです。もともと…保険の不正請求などは「失われた時代」の副産物的な要素です。ライブドアに始まった不正会計、検査の偽造などの詐欺行為のようなものは、何処にもありました。トヨタも不正車検などがありました。

統一教会の問題は、当事者が納得して寄付をしたから、確かに「やり過ぎ」ですが…詐欺的な性格を帯びていますから、やはり解散命令は、カタルは「行き過ぎた対応」ような感覚を持っています。

カタルの「市場原理主義」は、自己責任が前提です。

そこまで…踏み込んで保護しようとする政策は、逆に「自由を脅かす」と思っています。過剰な介入は「進化」を妨げます。米国や中国で実施されている自動運転が、日本では法律の壁があり実施できないなんて…メディアが架空の「安全・安心」を誇張するから…日本人が甘えるのでしょう。

今回の所得税減税にもカタルは反対です。あまり…効果がないように思っています。むしろ消費を助ける「ペイペイ」などを活用した…消費の割引制度の方が、ずっと経済効果は高いのでしょう。そもそもガソリン価格への税金投入も、カタルは反対です。

まぁ、それぞれの立場で意見は違います。

この意見のぶつかり合いが株価になって表面化しています。どれが正しくて…どれが間違っていると言う視点では、ありません。分かるかなぁ~。株価と言うのは、みんなが「創る」ものなのです。カタルは「ジェイドG」の「おかわりの自社株買い」を観て…田中君の評価は高めました。総還元性向を「株主の視点」で観ています。

ところが…いくら儲かっても、儲かっても…「内部留保」に資金を回す経営者が一般的です。特に成長が期待できない大会社など…どう考えてもMBOを実施して、上場すべきではありません。上場企業の責任を果たさない経営者は失格です。

上場企業は、非常に高いレベルの企業の集まりの筈です。だからハッキリ言って10%以下のROEの企業、又はPBR 1倍以下の企業なんか…時限処置を設けて「上場廃止」にすべきです。カタルが東証の理事長なら、そのようなルールを設けます。

頑張っている経営者を応援するのが…「市場の役目」でしょう。

市場関係者は「歪な株価修正」の改善に務めるべきです。市場人気を席巻する半導体市況が分かるレポートを発見しました。最近はASMLも減速です。でもPERは29.42倍の評価です。このPER 30倍は、年間の成長率が10%を超える11.7%程度の成長が求められます。それで正当化されるのに…今は減速なのです。


「あおぞら銀行」(8304) の週足推移

カタルは「草の根」運動の一環として、論理的な市場原理を浸透させたいと思っています。保守層には「利回り株」投資など…「あおぞら銀行」は5%を超える配当利回りです。昔の日債銀です。

先日は長銀だった…新生銀行がSBIに、買収されました。たぶん…安過ぎるのです。だから村上系のファンドが市場から株を買って株主に残りました。「エスグラントコーポレーションは9月28日、関東財務局に大量保有報告書を提出。SBI新生銀の株式を2000万株、9.75%保有していることを明らかにした。9月21日に大半となる1855万株を、市場外で…1株2800円で購入していた。」と報道されていました。同じ発想です。

此処では日銀が気にしている「金利リスク」の話題が出ています。

日本の地銀の多くは日本国債を大量に持っています。運用先がないから…過度に依存している所があるかもしれません。銀行株を買う場合、自分で決算書を観て、確かめないと駄目ですね。米国のような金利上昇になると…1ドルの国債が50セントを割れます。つまり100億円買うなら…50億円を決算上は損失処理をしないと駄目なのです。

故に「デュレーション」の問題が大きいのです。有価証券報告書では、たぶん…国債の回号なんかも、開示されているでしょう。基本は期間が短い国債なら損失は小さく…期間の長い国債は損失が膨らみます。

金利の上昇期では「逆イールド現象」が生じやすいのです。そうして今の米国のように…この逆イールドの「マイナス幅が縮小している」という事は…まもなく逆転をします。その前に2年債の利回りが下がる筈です。

故に、その時期を探っているのが、今の市場のポイントです。分かるかな? 

ソフトランディングの話に繋がりますが…冒頭にネットフリックスの話題を持って来たもの…今回の決算を観ると、コロナ禍から生まれたフロックの成長を、「凌駕した」可能性があるのです。だからエヌビディアとネットフリックスの二つは、ここからの株価も注目されます。

経済の流れには、それぞれポイントが在るのです。今はこの二つの米国株と2年物の米国債の利回り変化などが、これからの相場に大きく関係するのでしょう。

今日も材料を盛り込み過ぎて…あっちこっちに視点が飛んだレポートですが、カタルの狙いの理解が、共有できるところ願って…ペンを置くではなく、キーボードから離れます。また明日。



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