金融政策転換は名目時代の証し

今の相場に対して…カタルはいくつかの「懸念」を抱えています。懸念と言うより、「謎」と言うか…「疑問」と言った方が…良いのでしょうか? 

先ずは米国市場です。御覧のように…インフレ対応のために「そら色」のラインの「10年債金利」は、リーマンショック時の高水準に位置しています。

S&P500種の週足と10年国債の推移

リーマンショックは、先ず、発覚したのは「サブプライムローン」問題です。返済がおぼつかない「投機目的の住宅投資」の脆弱性が最初に露見しました。住宅 ローンを手がける米「ニュー・センチュリー・ファイナンシャル」は2日、連邦破産 法11条に基づく会社更生手続きを申請したのは、2007年4月の話しでした。

その住宅債権を元にした派生商品である「CDS」、つまり…これはデリバティブ取引の一種で、債券などの信用リスクを取引する金融商品です。この商品を「格付け会社」は、いい加減な…「査定」をしていたのです。「AAA」の乱発です。それを保証していた保険会社の「AIG」(アメリカン・インターナショナル・グループ)も破綻しています。この銀行界の「影の銀行システム」と言う…複雑な仕組みにメスが入ったのが、米投資銀行である「リーマン・ブラザーズ」の経営破綻です。

その為に…現在の投資銀行は、「過大な投資」を出来ないように、厳格な「自己資本比率規制」が強化されています。それでも…SVB(シリコンバレーバンク)は破綻に至りました。この理由は、単なる「資金ショート」です。一気に噂が広がり…長期投資していた部分まで、預金の引き出しがあったのです。バランスシート上の問題はなかったはずです。

ですが…今回の「ニューヨーク・コミュニティ・バンコープ」(NYCB)は、コロナ禍でリモートが進み…商業不動産価値の「毀損」です。SVBとは、少し問題の質が違います。

空室率は米国では13.6%と言われ、年末は15.7%程度になると予想され…更に2026年末は17%を超える水準だそうです。概ね…欧米は15%~20%程度なのでしょう。しかし日本は三鬼商事調べでは、東京の都心は5.86%だそうです。この段階で、日本の不動産会社の一部が、欧米の不動産を買い始めています。森グループや野村不動産など…実例が報道されています。

リーマンショックの経験から観て…未だに「気を抜けない」商業不動産問題です。しかしゴールドマンサックス(GS)は、動き出しました。NYCBを支援したムニューシン元財務長官が率いるリバティ・ストラテジック・キャピタルの事例は有名です。GSは、ムニューシン元財務長官の古巣です。ですが…まだ分からないのです。物によるのでしょうが…空室率は50%近くに達する報道もあります。金利が下がった時に「表面化する」ケースもあります。

この問題に絡むのでしょうが…FRBは、銀行の更なる「資本規制」を考えており、今の状況は、重くはなるのですが、それ程…懸念をするほどの影響はないんじゃ…ないかとも言われ始めています。水面下の動きで、米国内ではロビー活動の最中です。

今の市場の空気は、サマーズ元財務長官が主張する「潜在成長率はもっと高い」可能性があると言う…前提が勝って来ました。だから当初は6回の利下げと言われていましたが、今では「3回説」が有力です。確かに…人間の記憶は「新しい現象」がインプットされ…影響を受けます。

長期の米国10年債の利回り推移

そこで…少し時間軸を延ばした米国10年債の利回り変化を追います。これを観ると…別に5%を超える成長があっても…不思議ではありません。

今の前提は3%成長なのです。2%の物価目標で、成長率は3%ですから、この鞘の1%が「資産投資」の有利な部分です。実質成長より、常に、「名目成長率」が高い世界が、市場経済の「要」なのです。

それを強引に逆転させようとした…間違った政策運営が「34年間の悲哀」に、繋がりました。しかもご丁寧にリーマンショックは、全く日本には関係ないのに、バブル期のトラウマを抱えた金融庁が「更なる厳格化」を実施した為に、日本には「清貧思想」が跋扈したのです。就職氷河期を始め…今のメディアの「他人批判」は、明らかに行き過ぎています。

ようやく…白鵬に対する処分の重さを指摘する人たちが出て来ました。大相撲界は、ある意味で「日本村社会」論を、代表する組織です。カタルはいつも…「寛容な社会」を目指しています。失敗をしても、良いのです。反省して、また頑張れば…また復帰できる社会にすれば良いと思います。

その意味で、今の「水原一平」問題は、米国の基準が分かる事例になります。大谷君がどうなるか…。

カタルは最初の報道が、真実に近いと思っています。たぶん大谷君は賭博の借金を知っていて…彼を助けたのでしょう。だから…3か月から半年程度の出場停止処分にして、早めに決着させてあげるべきでしょう。良く…あることです。可哀そうに…。背景では色んな人の利害が絡み、振り回されているのでしょう。確かに、一平君は悪いけれど、でも良い奴なのでしょう。あれだけ「献身的」に、彼を支えたのです。だから大谷君の心情が痛いほどわかります。

白鵬の扱いと一平君問題は、部外者だから、とやかく言う資格はありませんが…相場を考える場合、社会の基準が、「どの辺りにあるのか」の判断材料になります。

TICK回数上位企業一覧(3/22)

カタルがよく話題にするTICK回数上位には、「偽物企業」が人気を博しています。「東電」(9501)に「楽天」(4755)など…半導体に代わる人気株の登場が待たれます。ようやく…「野村証券」(8604)は14位なのです。

「ラッセル2000」 の週足推移

自分の持っている株以外にも、「アンテナ」を高く張らないとなりません。それが「市場の整合性」を理解する手助けになります。米国はM7から…AIに転換しています。ただ「ラッセル2000」は、上がってきていますが…まだ新高値には「程遠い」存在です。日本株も一流銘柄の活躍はあるのですが、少し筋を外すと…全く割安圏の銘柄がゴロゴロしています。

この後の相場に「物色範囲」の「広がり」が観られるかどうか…に掛かっていると思っているのです。

勿論、全体相場の下落も考えの中にありますが…大統領選挙や米国経済の力強さを考えると…日本は米国の成長に引っ張られ…アジアの隆盛が本格化します。ここに勝機があるのでしょう。

「三井不動産」(8801) の日足推移

だから…カタルは一見すると筋を外しています。しかし…相場の「先回り」をしているのです。「野村証券」の推奨はあり「三菱UFJ」(8306)も早くに取り上げていますが、「三井不動産」(8801)を取り上げなかったのは失敗です。オフィスビルの「住友不動産」(8830)は当初から見送りのつもりでしたが、カタルは規模の小さな「グッドコムアセット」(3475)には注目していたのです。

「グッドコムアセット」(3475) の日足推移

でも昨年機関投資家への大量販売で利回り採算が合わずに…個別販売になりました。その為に利益計上が遅れたのでしょう。時間軸の「横ずれ」です。 どうしても…同じことなのですが…大手は「引き出し」が豊富で、「安定した収益」をいろんな方法で採用できますが、小さな会社は引き出しが限られていますから、こんな見込み違いが発生すると株価に影響を与えます。

今の相場は、海外投資家の第一弾で、「素人」に近い筋も参入しているのでしょう。だからまだ一流域の銘柄の物色が中心です。それでも「出遅れ」銘柄も観られます。配当利回りで買う「日本製鉄」(5401)なんかの市場評価は、依然、低いままなのです。既に日本製鉄も総資産経営からROE経営へのチャレンジを始めていますが、如何せん…規模の大きな会社で無駄が多いですからね。なかなか…経営方針の転換は末端まで届きません。

この事は、日本全体に言えるのです。

「トヨタ」(7203)なんか…たった1000億円の自社株買いを観ると…全く時代の「感応度」は低いままです。しかし面白いですね。ここで「時代の揺り戻し」が起きるのです。

「ニデック」(6594)の永守さんが語ったように…採算を度外視した過当競争に入っているのが、今の「EV」市場です。この中で「BYD」が抜け出したのです。このラインが今度は世界基準になります。しかし、この時代の揺り戻し(=HVの復権)で…トヨタはウハウハになり、設備投資資金と時間を獲得したのは面白い現象です。

「ダイフク」(6383) の週足推移

加えて日本独自には2024年問題があり、物流投資は更に加速しており「ダイフク」(6383)などは衰えがありません。この株の大昔は「安川電機」(6506)のような「仕手株」扱いで、たった500円前後で、ウロウロ…していた株です。その株が「ネットの販売」などの時代変化で…1万円台の株価になって…1:3の株式分割です。500円が13500円ですよ。

カタルの世話になった大塚さんは、この株を長く持っています。「HOYA」(7741)も、彼女の「お気に入り」の株でした。彼女の選択も、なかなか…お見事です。なかなか…気っ風の良い女性で「男勝り」なのです。カタルに、ポン…と「1000万円」を貸してくれました。「このお金をサラ金の返済に充てなさいよ。」と言われたのです。しかし一平君と同じで、カタルは、また、その金を株式投資に費やします。馬鹿は、死ななきゃ…治らないのです。

当初のレポートの主眼から外れましたが、「調整もあり得る」と、ずっと…「決算期のトラウマ」を抱えていましたが、先週は「ニデック」(6594)の立ち上がりを観ると…統計上は海外投資家は株を売っていましたが、はやり…「違う」可能性もあります。よく分からないのです。

ですが…カタルは、どの時点か…その時期がよく分かりませんが、やはり物色範囲の広がり相場が、何処かで出てくると思っています。その理由はチャートです。ジェイドGが先駆していますが、「BASE」(4477)も200日線より上の株価位置です。今回は「ソフトバンク」(9984)を手掛けていませんが、やはり…5000円を割れた株価位置は鉄板でしたでしょう。もう直ぐ…株価は1万円台に突入です。「メルカリ」(4385)は遅れていますが…今は「買い場」探しの最中です。これに続く…株も、カタルは打診買いを始めています。

要するに…既に「名目時代」が確立されたので、怖いものはありません。

多少、調整があったとしても3か月程度で済むのです。あまり…日銀の方針転換の意味をメディアの登場人物は、知らないから語れないのでしょうが…今回の植田総裁の方針転換は「名目時代の確立」を述べたのです。

だから3点セットの銀行(三菱UFJ)・証券(野村証券)・不動産(三井不動産)の株価が軒並み…「新高値」を追っているのです。

「34年間の悲哀」は、ようやく終わりを迎え…新しい時代がやってきたのです。

どんな馬鹿でも…儲かる相場になっています。こんな時に「決算期のトラウマ」を抱えているのが、馬鹿かもしれません。しかし…どうしても「次の展開」を模索するカタルです。もう少し儲かるなら…もっと「馬鹿」にもなれるのでしょう。でも今週も…一旦は、野村証券は売り上がります。そうして二番手の銘柄を買うのでしょう。たぶん…。

米国は大統領選挙を抱えていますから…やはり乖離問題は気になりますが、当面は、大きな下げはないのでしょう。むしろ…AI革命からの「新しい成長路線」に、米国経済は舵を切った可能性もあります。このAI革命は、「人類の進化」を飛躍化させるツールになるのでしょう。

「数年後」なら…「さくらインター」は、もう一度、相場になる可能性もあるのでしょう。でも今ではないですね。今は「バカ株」扱いですが、何れ「BASE」と同じ評価になった時に、カタルはまた皆さんに紹介する可能性もある株です。

今は4年前に、バカ株評価だった「BASE」を買っています。株って、やはり…面白いですね。同じ株でも時代背景により評価が大きく変わるのです。しかし中身は、いつも…同じものなのです。また…明日。



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