株価は全てを知っている…と言う「効率的市場仮説」と言う概念は、株価は一時的にはイレギュラーな動きをしますが…概ね、企業業績の動向により動き、未来の正しい評価をすると言う事です。
GDPと言う指標は付加価値の合計です。原材料を使って様々な加工をして製品にしますが、その差額をまとめたものです。つまり上場企業の利益はGDPの水準を表しているとも捉えられます。
でも…近年ではGDPの価値は、本当に豊かさを象徴しているのか? と言う「問い」も増えています。
僕らは時間を消費するのですが…時間の「楽しさ」に視点が移行しているとも言えます。先ずは人間の営みは衣・食・住によって成り立ちます。これが基本です。この基礎条件をクリアした後は、余暇が生まれますから、その時間をどう過ごすか? そこに価値観が生まれます。映画、音楽、ゲームなどの文化的な嗜好に価値の比重が移るのでしょう。
先日、日経新聞にLINEが生活を豊かにしてくれているとの報道がありました。でもLINE市場評価は時価総額で1兆円にも届かずに9399億円の市場評価です。一方、トヨタの時価総額は21兆6182億円です。
トヨタの営業利益は四季報では2兆4500億円予想ですからPERでは8.8倍ほどです。一方、LINEの前期営業利益は161億円ほどですからPER58倍です。(ここでは営業利益を用いました。理由はLINEに特別損失の計上があり赤字の為)この評価基準は6.5倍ほどですから、ある意味で市場の評価は正しいのかもしれません。文化的な価値がLINEにある事を、市場が認めているのでしょう。
同じお金でも…価値観の感じ方は、人により様々です。食えない人間に、ゲームや映画の話しより、本日のコメです。腹いっぱいになる満足感が何より優先されます。一方、いつも食が満たされ糖尿病などの生活習慣病を気にする人にとっては、豊かな時間に価値を見出します。楽しかった…と言う感情を味わうために、お金と言う対価を払います。
つまり…数字に表れる豊かさって、非常に曖昧なものですね。
僕らは株でお金を儲けようと努力を続けています。つまり未来の利益の膨らみの変化を予想するゲームなのでしょう。でも利益の基準を何処で捉えるか? このようにして考えてみると…ずいぶん不思議です。市場には様々な人種が参加しており価値観が様々だから…市場価格と言うのは実に曖昧なものです。
一方、市場の価値観は景気循環の局面によりPERの基準は大きく変化します。未来に対する期待感が強い時は高い評価になり、未来に対し失望が広がると低い評価になります。クリスマスショックの時は、未来に対する不安が溢れ…希望が消えました。そうしてFRBの金融政策の姿勢変化や米中貿易に対する不安が和らぐと…過度の警戒感が消えて、株価は大きく戻っていました。今は再び先行き景気に警戒感が広がり始めています。
この「期待値の剥落」と言う現象は、PERの評価を1/2、1/3と変えてきます。だから株価は簡単に半値になります。未来に対する期待が、如何に必要であり、大切なのか? 同じ利益でも市場評価が大きく変わるのです。
成長が続く未来の望まれる利益は、高い評価を受け、減少が続く未来の望まない利益は低い評価に変わります。同じお金なのに…色分けがされるのです。株式市場は面白いですね。
経済統計の見方も同じです。金融政策の行方次第で統計数字の読み方が変化します。今回雇用統計値が予想を大きく下回る数字で2万人増だったと言います。この数字が金融政策の必要な時に出るなら、歓迎されるのでしょうが、市場は、既にゴルディロックス相場をイメージしていたために…弱い指標が出ると逆に嫌気されます。でも奇妙にも、時給は前年同期比で3.4%増となり2009年4月以来の10年ぶりの高い伸び率を示したそうです。
相反するデータをどう読むか…。詳しくはWSJに解説されていました。不思議な事に…権威あるメディアが報じると…解釈がたとえ間違っていたとしても、その考え方が一般化します。
ここではデータが出す数字は、必ずしも同じ解釈にならないと言う事を学んでほしいのです。もし金融政策が必要な場面なら、悪化するデータが政策を催促することになり、株価は歓迎する場合があります。実態が悪い方が、未来の政策が期待でき、その政策により経済が好転すると言う期待感が働く為です。
カタルは昨日のレポートでECBの転換を歓迎しましたが、実際の市場の反応は、それほど景気動向が悪いのか…と言う失望感の反応でした。もともと…カタルは今回の景気回復は本物でない眉唾ものとみています。それは創られた景気回復だからです。自立した確りした景気上昇の回復でないからです。
それでは…確りした自立した景気回復とは何か? 湧き上がる需要です。エコ減税などで補てんされる利益による需要は、カンフル剤に過ぎません。だからそれにより、健全な体に戻れるなら効果を発揮しますが、多くはカンフル効果が消えると元の状態に戻ります。
でも時代革命の需要はなかなか消えませんよ。今なら…2015年オバマ大統領は一般教書演説でプレシジョン・メディシン(Precision Medicine=精密医療と訳されるが、カタルは遺伝子治療と解釈しています。)を採り上げました。故にカタルはPSSに、前から関心があったのです。今回はやっていませんが…この相場の少し前から注目していました。故に、変化が生まれた今年に入り…会員レポートでも、その事を採り上げています。
今は時代の端境期ですから、新しい技術が開花しています。5Gの次に期待されるのがVRの技術革新です。これはすごい需要を生みます。ゲームの世界と現実が融合するのです。もう直ぐ一般化されます。既に技術的な課題は概ねクリアしています。
このプレシジョン・メディシンも日本に必要な分野です。何故なら、遺伝子データを集めれば、その薬が効くかどうか、投与する前に分かり、不必要な時間とお金をかける場当たり治療をしなくて済みます。だから医療費が大幅に削減されます。
国会で何故、強制的に遺伝子データを集め、一元管理して利用を促進させる法律を立案しないのでしょう。キャッシュレスもそう思います。必要な機器なら、安価で国が提供して一気に現金決済をやめればいいのです。そうすれば…オレオレ詐欺やアポ電強盗も消えます。何故、日本は時間を節約しないのでしょう。
経常収支と貿易収支の関係は時間との戦いです。このヒントだけでピンとくる人はかなり勉強をしている人ですね。ガラガラポンは何も幻想ではなく、現実の世界で、足音が聞こえているのです。暢気に国会で統計データの不備を突いているアホ討論をやっている場合ではありません。IHIも航空機の修理整備で手順を踏まなかったと言う体たらく…どの産業も日本人の資質の劣化が始まっています。
カタルはゴルディロックス相場か、進化論か定かでないとしていますが、このまま進化論相場に移行する事もあり得るのです。世界のスピードは物凄い進化を遂げています。日本だけですよ。馬鹿な「堂々巡り」を繰り返しているのは…。顔認証にしてカメラを至る所で設置すれば…犯罪は減ります。それこそ…キャッシュレス社会も実現できます。
オリンピックは良い実験場になります。各選手やボランティアスタッフなど…データ管理をする実験場です。NECの株価は大きく上がる事になります。でも政治家がこの低レベルでは…、官も馬鹿ぞろい…で、村論理を展開して、森・加計問題を引きずっています。みんなが株式投資をして、追証を経験すれば、真剣に日本の行く末を考えるのでしょう。