アーカイブ:2016年11月5日

半導体を考える

今日は読者から、貴重な資料の提供を頂き、知りたかったことが、少しずつ明らかになって来ました。故に市場の動向と合わせ半導体の事を考えてみます。先ずは最近の市況の推移をご覧ください。金曜日にルネサス(6723)がストップ高をしました。カタルが好きな会社でした。何故、過去形にしたか?

基本的にカタルは、官の関与が嫌いです。ルネサスは日本の自動車界に守られ育った会社で、村論理意識が強い会社です。その為に車のマイコンのシェアでは、ずっと世界トップだったのですが…トヨタなどの要望の為、適正利益の意識が消えて行き、低収益体制に陥っていました。此処にリーマンショックや大震災が立て続けに起り、とうとう産業革新機構の出資を受けて、資金繰りを改善させて生き延びてきました。

カタルは様々な事象を観て…産業革新機構のリストラの形を観てきました。基本行動は儲かる部分を残し、他は切り捨てるのですね。此処に成長性などの未来投資は含まれません。目先は良いのです。曲がりなりにも黒字になります。もともと黒字の所にお金を入れるので、誰でも出来るリストラですね。でもその為に多くの可能性を切り捨てて来ました。

今回、ルネサスも黒字が定着したので、身売りをする事になっており、ソニーや日本電産などの候補者がいるようです。しかしこの日本勢が、モタモタしている間に、車のマイコンのトップは、先頃、クアルコムに470億ドルで買収されたオランダの「NXPセミコンダクターズ」が、現在は首位の座を確保しています。ドイツのンフィニオン・テクノロジー車にも抜かれました。その様子は此方の表ですね。ルネサスも先日米国のインターシルを3200億円に買収したのですが…おそらくNXPには勝てないと思っています。

それほど…日本が「失われた時代」で、モタモタとして村論理を継続している為に、世界競争から、あらゆる分野で遅れを取っているのです。過去、NECなどは、サムソンなんか…足元にも及ばないほどの会社だったのです。1982年16ビットパソコンのPC9801シリーズはIBMやアップルを凌ぐ、世界競争の先頭を走っていました。しかしマイクロソフトなどの後塵に拝し、どんどん負け続けてきたのです。

一番大きいのは、資産インフレを否定した清貧思想の政策だろうと思っていますが、他に税制の整備など…色んな諸問題があります。もっとも大きかったのは労働問題ですね。パイオニアの指名解雇事件が、永遠と長引いているのは…メディアの責任ですね。労働組合なども間違った方針を貫いています。日米同盟によって守られた、東西冷戦下の幻想である「終身雇用」「年功序列」を維持した村論理は、IAS(国際会計基準)などのグローバル化により、構造改革が迫られます。BIS規制もそうですね。

メディアが世界基準の成り立ちを解説せずに、弱者救済と言う間違った論理を押し付けるから、教育問題でも劣勢に立っているのです。少し日本の仕組みを語っているから、読者には難しいかも知れません。「失われた時代」の原点です。何故、NECの株価が、何十年も同じ価格なのでしょう。おかしいですね。富士通は、カタルが証券界に入った時に500円、NECは400円、沖電気は300円と言う通信各社の株価でした。いまでもグダグダと…グーグルやアップルを見れば…日本の現状が歯痒いばかりです。

数年前、王子製紙が北越製紙に対し、敵対的なTOBを掛け失敗しました。日本でもM&Aが盛んになり、どんどん構造改革を加速すべきなのです。外資を買収するのは認められ、日本勢を買収するのは、何故、駄目なのでしょう。カタルは此処が、突破口だと思っています。先日、昭和シェルが出光との統合で失敗しています。村論理の厄介さが露呈しています。

話しを戻しますね。ソフトバンクがARM社を買収して…どう変わるか? カタルは、ルネサスなども、ソフトバンクの傘下に入れば、良いとさえ思っています。この現状ではルネサスも頑張ってはいますよ。トヨタなどと共同でユビキタスも絡みますが…次世代のマイコンを製作しています。でも相変わらず村論理の範疇での構想ですね。やはり経営者は世界的な経営感覚でないと、競争に負けると思っています。故に一時的にルネサス株が賑わっても、本物の相場には移行しない危惧を前から感じていました。だからルネサス好きのカタル君ですが、この所、サッパリ取り上げていません。そもそも産業革新機構の存在が嫌いだからでしょう。

DIX指数の推移(半導体価格)

DIX指数の推移(半導体価格)

なんか…変な方向性に飛びましたね。半導体の勉強だったのに…。ルネサスを取り上げたのが拙かったようです。実は読者から半導体の市況を表すDIX指数の推移のデータを頂きましたのでグラフ化しました。その様子を見て下さいね。此方です。ただ誤解があると悪いので…この指数が上がっているからと言って、肝心なのは需給のバンランスです。

BBレシオの推移

BBレシオの推移

だからBBレシオの推移を、金額ペースも一緒にデータを添付します。此方は最も知りたかったITバブル期の様相も分かりますから、非常に参考になりますね。ついでに米国の半導体株指数のSOX指数の推移も、載せておきます。この3つのデータを合わせると…カタルが、何故、IoT時代の幕開けが訪れ、半導体株を取り上げているか分かり易いと思います。

SOX株価指数の推移

SOX株価指数の推移

 

冒頭に紹介した車のマイコンの激変動向も併せて考えると、業界全体が大きく変化している様子が分かりますね。今日は時間がないから、この3つのグラフを載せ、明日、カタルがどう考えているか…話すとします。今日の東京は、お天気が良いので、これからおばあちゃんと遠出して、公園を散歩してこようと思っています。何しろ、おばあちゃんは85歳ですから、歩けなくなり寝たきりになると…お互いに大変です。カタル自身も運動不足ですからね。そんな訳で、本日は途中ですが…この辺で、自分なりにグラフを観て、どんな景色図が予測できるか…。1日考えてみると、良いでしょう。勿論、当たり前の事ですが…明日、述べるカタルの考えが、正しい訳じゃありません。このようなデータを、どう活かし…相場に臨むかと言う話ですね。それでは、また明日。



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