CPIと空室率

昔の相場は「節分天井に彼岸底」と言うものでした。これは理に適った諺です。正月は新年にあたり、人々は期待感を込め、相場に臨みますからね。その反動が節分天井にあたり、調整期間を経てから、彼岸底の相場展開になったのです。ところが…昨年は外人投資家のポジション整理から3月まで低迷が続き、日本通信が生まれたのは、この時期でしたね。この銘柄は確か…日経報道が切っ掛けになったものでした。

一方、今年は…、昨年末から年初こそ弱かったのですが…、これは、おそらくG20の資本規制による対応からのポジション調整でしょう。この外人の整理期間中に、主にGPIFによる買い入れと思われる買いが続き、昨年末までは売りに押されていましたが、お年に入り、次第に全体相場を押し上げています。ただ、この間のGPIFの株式組み入れは、明らかに、カタルの予測を大きく上回るペースで組み入れられており、この反動は、当然、懸念されます。最近はKKRも、相当量を買い入れていると思われます。カタルには、3月期末残高に絡んだノルマが、背景にあるのだろうと考えています。だから…最近はどちらかと言えば…高値警戒感意識も持っています。

でも、その反面、個人好みの株価は低迷しており、個人投資家はGPIF相場に乗る為に、銘柄の入れ替えを、実施しているのでしょう。ソフトバンクなどを観るとよく分かります。まぁ、ソフトバンクの場合の背景には、スプリントの再建が鈍いのでしょうが…。概ね、他も似たような動きになっています。ハローウィン緩和で、個人投資家は、一斉に動きました。値嵩優良株以外、ほぼ、このハローウィン緩和による期待相場は裏切られている訳です。

消費者物価の推移
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消費者物価の推移

ケネディクスをみると、分かります。CPIの2%目標が、なかなか達成されないように、わが国のデフレ脱却は、道半ばです。しかし改善は遅れていますが、確実に進んでいます。黒田さんのジレンマは、ある意味でよく理解できますね。原油価格の値下がりによる影響は、確かに大きいのでしょうが…別に、そればかりではないのでしょう。消費税引き上げの影響があり、グラフではよく分かりませんが、およそ2%程度、数字が嵩上げされていると言う試算がされています。つまり直近のCPIの上昇率は0.4%程度だと言う事です。故に、黒田批判が出ていますね。異次元緩和の否定的な意見も、この辺りに由来する部分が大きいのでしょう。最近、業績が低迷している居酒屋のワタミのケースをみると、その様子が良く分かります。再び、提供商品の値下げだそうですね。

オフィスビルの空室率推移
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オフィスビルの空室率推移

消費者物価では、期待インフレ率は、なかなか上昇していないように感じられます。ケネディクスの株価にも、その事がよく表れています。2003年からの株価上昇と、指標を比較するとよく分かります。ただ最近感じるのは、ケネディクスの相場は、オフィスビルの賃貸料の影響を大きく受けるのかも知れません。そこで、此方のグラフ(出所元はCBRE Japanです。)が、参考になります。ITバブル時もそうですが、2005年末から2006年1月にかけて、ケネディクスは高値の4000円相場を付けました。この時の空室率は5%を割れる辺りから、実際の株式相場が加速し、3%台になると過熱感を示し始めるようです。この空室率のバブル時は、0.6%だったと言います。前回の不動産ミニバブル時には、1%台半ばまで低下していますね。

最近の空室率賃貸料金の推移
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最近の空室率賃貸料金の推移

残念ながら、この辺りの詳しいデータは有料らしく、カタルが調べた範囲では、詳しく分かりませんでした。最近のものが、三鬼商事調べで発表されており、ようやく、2015年に入り1月が5.17%でしたが、2月になり5%の大台を割り、4.78%と期待値が膨らみ始めているようです。このデータをみると…異次元緩和の実施が2013年4月なのですが、その後も空室率は悪化し、異次元緩和から半年後辺りから、影響を与えているようです。実態経済に対し金融政策が、影響を及ぼすのは、概ね、半年遅れ辺りから…と言うのは、経験則でよく知られています。つまり昨年の追加のハローウィン緩和の影響は、間もなく、実体経済にも、如実に表面化すると思われます。

このオフィスデータとの株価の連動率が高いとすれば…やはりカタルの推奨ポイントは、早かったと言えるかもしれません。既に1年半は経過していますからね。500円台での株価横這いは、ある意味で、妥当で至極当たり前の現象だったのかもしれません。つまりハローウィン緩和で、買い乗せを実行しましたが、神主さんのように、一旦は利食い売りを先行させ、再び買い戻すのが正解だったのかもしれません。この辺りは結果論であり、この現象だけで判断するのは危険ですが…。その可能性も否定できません。

消費者物価推移を見ると分かりますが、1985年からの物価上昇率は、上がっているとは言え、それほど高いものではありません。カタルは、バブルを発生させた張本人として、元日銀総裁の澄田批判を展開していますが、消費者物価はそれほど上昇しておらず、低金利の緩和政策を、メディアの円高不況批判に晒され、継続させたのも、分からないでありません。

むしろ120%貸しのような、資産インフレを煽った金融界の過剰融資姿勢が問題だったのでしょう。この頃は日銀の窓口指導や、大蔵省の行政指導がありましたから、この責任が問題になりますね。消費税のグラフの数字は、消費税が引き上がった4月の前年同月比の数字ですね。今回は2%の下駄が存在します。グラフの頂点は翌5月の前年同月比3.7%増をピークに下げています。最近は2.4%ですね。故に、これから原油安の浸透もあり、マイナス転換も懸念されています。

GPIFなどの株式組み入れ目標達成による反動や、消費者物価の揺り戻しなど…この後、市場が消化すべき課題が、このあたりを焦点にして、存在するわけです。もしオフィスの賃貸料を決める空室率の読みが正しいとすれば、間もなくケネディクスの相場が始まるとも言えますね。その反面、この仮説が崩れるとして…、全体の相場も上記の理由から、一度、消化する調整期間が、市場には必要とも言えます。そうすると株式相場は調整色を強めても、おかしくありませんね。まぁ、結局のところ、このように気持ちが揺れる辺りをみれば分かりますが、カタルには、相場が見えてないのでしょうね。敗者は小さく、縮こまるしかありません。猫は炬燵の中で…丸くなって、春を待つのでしょう。にゃ~おん。



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