投稿者:kataru

新しい出口

今日の日経新聞で興味を引いた記事は、5面のGPIFの運用を引き受けているタイヨウ・パシフィック・パートナーズのブライアン・ヘイウッドCEOのコメントですね。企業統治の考え方が、大幅に改善されていると言う項目です。具体的には…会社は誰のものか?と言う問ですね。これまで日本の株式市場は「ものを言わぬ株主」を求めてきました。株式持ち合い制度は、経営陣とって都合のいい制度で、自分達の村論理を守る仕組みです。野村証券が率先して、戦後、この持ち合い株制度を営業に結びつけ広めてきました。右肩上がりのインフレ時代で土地や株は上がり続けた訳ですね。新日鉄の株式を銀行が買い、一方、銀行も新日鉄に銀行株を持ってもらい、お互いに経営には関与せず、賛成票を株主総会で投じると言うものです。GDPが拡大する右肩上がりの時代に於いて、売り上げを伸ばす総資産経営は、労せずに成長を続けることが出来ました。この為に株式持ち合い制度のおかげで、銀行も企業も含み資産が増えて、皆がハッピーだったのです。

しかしバブルが崩壊し、土地や株が下がり始めると、資本効率を無視した売り上げ拡大を狙った総資産経営が行き詰ります。持っている株は下がるし、土地は下がり、更に設備稼働率が下がると、東京製鉄の最新鋭の田原工場でも減損会計を余儀なくされましたね。日々稼ぐ収益から、それらの資産損失を埋める為に、リストラが敢行されました。売り上げに対する利益が5%未満の事業が、ザラに日本企業にはあります。これがデフレ時代の構造改革(リストラクチャリング)ですね。

この甘え構造を打破するために、更に株式持ち合いを解消するために、長い年月をかけて粛々と、この制度の解消作業を実行してきたのです。この間、株主を無視した事件がいくつかあります。日本空港ビルディングやブルドックなどの事件は、株主の権利を迫害してきました。NHKの「ハゲタカ」と言うテレビドラマは、ある意味で象徴的な現象でしょう。カタルがブルドックの最高裁判決を批判する理由は、誰でも平等な権利が、迫害されたためですね。ヘッジファンドであろうが、なかろうが、市場で買った株主は、公平な条件で扱われるべきです。

このような経過があり、日本株は長く低迷を続けてきました。その間、米国は事業の取捨選択を行い、利益率の低い事業を売却し、経営資源をより高付加価値の事業に移して来ました。昨日かな? GEが不動産を売却した報道がありましたね。これもその一環です。日本企業は、長らく、売り上げ重視の利益率を無視した、経営形態を維持してきました。新日鉄を見れば分かります。日立は比較的早く、この総資産経営から離脱し始めましたが…まだまだ道半ばで、改革のスピードは非常に遅いですね。村論理があるからです。だから要らない従業員を切る労働改革が必要なのですね。

同年代の友達を見れば分かります。50代まで、本社勤務なら立派なものですね。役所もそうです。多くは30代、40代に子会社に出向を命じられます。役人もそうですね。事務次官は一人しか、なれません。だから無駄なグループ企業を維持している訳です。もし労働改革が実行できるなら、それら無駄を省け、外資も日本に積極参入するでしょう。時代錯誤の終身雇用と言う幻を、いつまでも崇めるのは、どうかと…考えます。

一見すると良い制度に見えますが…、植木等の「サラリーマンは気楽な稼業と来たもんだ」の時代は、終わったのですね。日本をグローバル競争から、ドンドン遅らせる産物に過ぎませんね。結果的に雇用は失われ、産業の競争力は、ドンドン失われています。半導体を見て御覧なさい、世界トップが、いつしか失われましたね。それでも未だに、JDIのように、日立や東芝、ソニーの人材を引き受け、税金を投入しています。これが日本の村論理ですね。この影響を受けシャープは、苦境に陥りました。自立できないロボット民族の日本人は、官主導の改革しか、できないのでしょうか?

こんな環境の中で、昨日も触れましたが…、ようやくスチュワードシップコードを受け入れ、企業はROE経営に、目覚め始めました。この事をブライアン・ヘイウッドCEOは述べているのです。日本人はイワシ民族ですから、この動きは、どんどん広がりますね。M&Aの流れをみても分かります。例えば医薬品業界の統廃合は、得意分野に特化し、事業の集約化が進められています。これが世界の流れですね。最近は大型の合併も増え、金融機能が復活してきました。通常、そーせいグループによる、借金を梃子にする英ペプタレス社の買収など…は、これまでの金融庁なら絶対に認めませんね。みずほは、ある意味で間抜けです。でも博打ですが、面白いですね。

ただ目先は駄目ですよ。しばらくは償却負担が多く、収益が鈍ります。でも前にも述べましたが、ステートストリートが株主として登場するように、良い会社ですね。米国でも大型のM&Aが盛んになって来ました。M&Aは時間の節約になります。当然、三共の事例を掲げるまでもなく、M&Aはリスクが高いのです。そーせいの場合は、倒産覚悟の投資ですね。だって20億の売り上げで、476億円の博打ですからね。サラリーマンの年収が300万円なのに、7000万の馬券を買うようなものです。もう少し確率は良いかな?…でも似たようなものですね。

このROE経営と、ピジョン化現象が広がると、一気に日本は新しい成長の芽が育ちます。此処でスマートコミュニティーの時代投資、衛星などの宇宙開発を政府主導で出来るなら、一気に新時代の幕開けです。車だけではありません。コマツの建機、クボタや井関の農業機械など…無人運転化の技術は進化します。スマート・アグリビジネスの成長度は、非常に高い業種でしょう。ミカン農家はオレンジの輸入自由化を受け「でこぽん」などの新しい果実を進化させましたね。今は清見オレンジが旬です。日本は必ず世界競争に勝てる筈です。イワシ民族は、ある意味で方向性が見え始めれば、一気に時代が開花します。今日の日経新聞のガバナンスに関する新聞記事の背景は、このような事実があるのです。だから彼は、日本株は割安だと述べているのです。カタルもそう考えます。故に、日経新聞の報道姿勢が日本を変えるのです。ROE経営は、まだまだ背中を押さねばなりません。更にこれに加え、ニトリなどの企業の背中を更に押すために、ピジョン化現象の解説が、欠かせませんね。

アジアを巻き込んだ情報インフラ整備が、欠かせません。NTTや郵政などに頑張って欲しい所です。郵政の株価は割高感が強いと思いますが…、こう考えると、成長が見込めますね。昨日のオリックスのコンセッションの考え方と言い、日本は、ようやく新しい出口が見え始めています。あとは加速するだけですね。故に「トヨタの章男社長は、男に成れ」とカタルは言っているのです。日本人の性格からいって…「右へ倣え」なのですね。この5月は、自社株買いのラッシュが予想されます。だから日本株は、目先は緩む可能性も高いのですが…一段高もないとは言えません。要するにカタルは迷っているのです…、ほら市場には、こんな時に便利な言葉がありますね。「もうはまだなり、まだはもうなり」と言います。非常に便利な言葉ですね。DeNAなどには、ピッタリの表現ですね。それではまた明日。



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