NY市場と新基準の模索

今日は気になる動向を考えてみたいと思っています。昨日の続きですね。誰もが考えている事ですから、一般化しています。実はイエレン女史が就任する前のバーナンキ時代に、FRBの量的緩和の出口戦略が語られました。2013年6月の事ですね。誰もがまだ先の話と理解していた時に、市場の予想と違い、突然、バーナンキ議長が金融政策の変更を発表したように感じたはずです。日本株は円安効果によるグローバル銘柄以外、実質的に多くの銘柄が、この時の高値を抜いていません。(まぁ、ケネディクスもそうですが…。)

NY市場の日足推移
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NY市場の日足推移

カタルは1937年問題を直ぐに連想しました。その後NY市場は、秋にもう一度、この出口戦略を、株価が織り込みに行きます。丁度この頃、バーナンキから後任候補の模索が始まり、2014年2月にイエレン女史が就任されました。量的緩和と言う前代未聞のバーナンキの置き土産をどう処理するか…に、市場の注目は集まりますが、量的緩和は終了=利上げと言うスケジュールが話題になり、市場では6月の利上げ説が、一般的な評価です。最近、ブラックストーンの様に9月に後ズレするという観測もありますが…カタルは懐疑的です。理由は量的緩和をやめただけで、マネタリーベースは確実に減る方向性にあります。この減少分を補うほど、景気が強いのかどうか…懐疑的なのです。米国金利をみれば分かりますね。FRBだけでなく、日銀もECBも存在するわけです。人民銀行もね。

カタルの考えは、昨日も述べたようにベルリンの壁崩壊から、新興国の発展を支えたのはCDSと言う金融決済に絡む保険商品の誕生です。その為にリスクを小口化してみんなで分散処理し、新興国の経済を支えてきたのです。(リーマンショックはある意味で、この展開が巡航スピードを超え、レッドゾーンまで回転数を上げた為にエンジンが壊れたのでしょう。)この時代背景に、鄧小平は乗ったわけですね。故に中国経済は躍進したわけです。折しもEMSと言う受託生産の流れが、国際分業の中で定着します。リカードの比較優位原理は、基本的に条件の有利な所で生産した方が、効率が良いというものです。ROEの流れに合いますね。生産効率を上げるのです。TPP交渉も、その流れの一環ですね。

ところが…日本は村論理で、この移行に抵抗してきたのです。今でも連合などの組織はそうですね。これが昨日、語った垂直型経営と言うものですね。嘗ての日立は、なんでも自前で作って来ました。だから効率が落ちたのです。家電販売などをみると分かります。何故、重電の日立がテレビを生産販売するのでしょう。この非効率を支えたのが村論理です。その為に日本は未曽有の構造不況に陥ったのです。パイオニアの指名解雇事件は、たしか1993年頃の話だったと思います。その後、「指名解雇」と言う小説を高杉良さんが書いています。でも今の時代から見れば、この現象は当たり前の事ですが、この当時は、社会問題化したのですね。世間は、まだ「終身雇用」と「年功序列」の幻想に生きていました。

ベルリンの壁崩壊で、世界は新しい市場参加者が増えたのです。その人たちが食べる糧が必要になりますね。当然、日本は鎖国制度下の日本独自価格が、崩れて行きます。衣料品の価格下落を引っ張ったのはユニクロです。家具に国際標準価格を導入したのはニトリですね。だから両者の株価が、長いデフレ環境の中でも、成長を遂げて来たのです。両者は比較的に早く、水平型経営と言う国際分業を取り入れ成長を続けました。まぁアップルの衣料版や、家具版と考えると分かりが良いのでしょう。一方、自前主義に拘り雇用を守ろうと抵抗を続けた半導体は、時代の流れの中で消耗したわけです。NECは代表事例でしょう。エルピーダの末路は哀れでした。

今は新興国経済を支えた金融機能が、民間から中央銀行に移ったのですね。この歪な一時的な歪みを修正しようとしている訳です。カタルには極端すぎると思いますが、先頃、話題になったG20の表明ですね。グローバル金融機関の自己資本比率の厳格化です。昨年末の共和党勝利で、この金融関連法の緩和法案が可決されましたが、行方はどうなるか…。メットライフの訴訟も、この流れの一環です。一方、我が国は…カタルが散々に批判した金融庁様の厳格姿勢のおかげで、産業政策を犠牲にしましたが、この基準に関してはクリアになっています。もともと日本は、総資産経営で資本効率を無視してきました。売り上げ至上主義だったわけで、規模の拡大ばかりに目を向けてきました。日立もそうなのですよ。先日の三菱UFJのサントリーの買収も、ある意味、個別案件では採算が疑われますが、総合評価では、三菱UFJのプラスになるので融資が実行されたわけです。総資産経営の表れですね。高い自己資本比率を維持しての金融コストを考えれば、融資がペイするかどうか疑わしい案件です。

このような背景が国際金融の中で流れており、株価が上下に振れるわけです。米国は市場原理の国なので、日本の様な馬鹿な選択はしないと考えていますが…、今はどちらかと言えば明るい未来ではなく、不安を抱えている訳です。NY市場の上下を見ていると大量の資金が、新しいポジションに移行していることが推察される訳です。でも実際にNYダウ平均株価をみると、2013年6月の株価が15000ドル台でしたから、スムーズに移行できつつあるのでしょう。ただやはり長い期間の株価上昇で乖離は開いていますから、気になるのですね。だから…カタルレポートでも、何度も取り上げているのでしょうね。2014年も、2015年も、本来なら新年度で新しいポートフォリオが作成されるので高値展開が通常なのですが、ここ2年続きで、新営業年度のスタートが冴えないのはこのような時代背景があるのだと…カタルは勝手に推察している訳です。真実なんか、誰にでもわからないのですよ。カタルの意見も、間違っている可能性もあります。こんな事は常識ですからね。

昨年はポジション整理に、NY市場は2月の頭までかかっています。その後、急速に戻り始めていますね。大概は、1月一杯の内に、新ポジションの組成は終わるのでしょう。しかし日本株はこの影響を受け、昨年は3月頃まで個別株は賑わっていません。日本通信の動きと合わせて、日本株の動向をみると、分かると思います。日本株は空売り比率の上昇を見ても分かるように…海外勢のヘッジファンドの売りを、日銀やGPIF?などが拾っていると思われます。だから最近のNY市場と日経平均株価を比較すると動きの違いが、良く分かりますね。

ここで中国経済の減速と賃上げ、PM2.5問題と温暖化などの流れを絡ませて考えてくださいね。中国は習近平氏体制になり、粛清の動きを強化し、環境問題にも着手、シャドーバンキング問題も、ようやくメディアの勘違いとの認識が広がっているようですね。基本的に地方政府などの起債が容認され、問題にされなくなりつつあります。伊藤忠の出資をみると、不良債権処理も推進していると考えて良いのでしょう。国営企業も健全化している表れでしょうね。このような流れを受け、上海総合株価指数が、大きな上昇をし始めているのでしょう。ところが…メディアは、何故か、この報道はしていませんね。シャドーバンキングは、あれだけ間違って報道をしておき、大騒ぎしたのに…反省もなく、正しい報道をしていませんね。

ここに来て温暖化対策に米国や中国が参加したことは、非常に大きなステップアップの時代に入ったのでしょう。一つの時代が終わり、新しい時代が始まっている訳です。米国では日本が本来、先頭になってすべき遺伝子データの収集をするそうですね。本来は、日本がスマートコミュニティーへの移行を、世界の先頭になってすべきなのです。衛星の打ち上げも、キャッシュレス社会の構築も、進んで仕掛けていません。哀しい事です。地方創生も結構ですが、効率を上げる社会基盤づくりを国が主導してやらないと電子カルテなどが整備されませんね。遺伝子データを含め、電子カルテの整備を促進させれば、膨大な医療費の削減に繋がります。無駄な投薬治療が如何に多い事でしょう。

日本は、おそらく人手不足が顕在化し、ロボット開発などが促進され効率化社会が築かれて行くのでしょう。ジオフェンスのリクルートなどが、非常に注目されますね。確かに目先は業績が停滞するのでしょうが…決算発表を見て株価が落ちれば、機関投資家や保守的な投資家の投資対象の株になるでしょう。注目して下さいね。「企業は人」なのです。上場人気が冷めれば…の条件付きで、クラウドワークスなどの株価も注目しています。でも現状は高いですね。

要するに今日の原稿は、システム転換に掛かる時間は、誰にでもわからない。と言う事です。最も恐いのは、中央銀行に依存している経済なので正常化を急ぐと、しっぺ返しを食らう懸念を心配している訳です。その為にカタルは一昨年からNY市場株株価も、日々、追っている訳ですね。時々、マネタリーベースが減少し始めているグラフも載せていますね。その理由は、このような背景が存在するのです。今回のGDPの数字を詳しく観ていませんが、消費者信頼感指数の動向でもわかりますが、原油安の恩恵で消費は伸びているようです。ただこの影響かどうか分かりませんが、設備投資が減ったとされていますね。あとはグローバル展開をしている企業の収益がドル高で減っていると言う話ですね。

この話に絡みますが、中国の不動産市場の減速、固定資本形成比率の低下など、先進国の国内回帰の動きが始まっている訳で、行き過ぎたポジション修正が世界の流れですね。日本のマーチの生産移転が次のポイントになるかもしれません。2010年とすれば5年ですからね。7年程度たてば減価償却も終わるのでしょう。つまりこの辺りに銘柄選択のポイントが芽生えている訳です。まぁ、一般人は分かりにくい話しでしょう。皆さんにどの程度、現状のカタル分析が伝わったか分かりませんが、カタルだって手探り状態なのですね。未来が分かれば、こんな簡単なことはありません。

しかし短期投資家の人は、中越パルプの動向にも目を向けてくださいね。カタルは気に喰わないのですが…、このような株は、一つのバロメーターなのですね。だから自分で買う意思がなくても、動きを観察して置くことが、市場動向を観るうえで大切です。証券マンはどうせ大きな商売にはなりませんが、やはり売り買いが商売だから、初押しは買いで参加するのが筋でしょう。カタルなら、たとえ僅かでも参加しますね。やはり考えて行くと、やはりケネディクスなのですが…ね。今週の動きは、あらゆる上で注目されます。空売り比率も含めて大きなポイントに違いないのでしょう。株価が綺麗に立ち上がれば…日銀批判は、やがて消えて行くのでしょう。ROEに絡み、自社株買いの動向も同じです。相場は焦点を理解してないと…相場を見ていても面白くありませんからね。それぞれの見所を押さえて注意深く観察を続けることが、未来の利益に繋がると考えています。

中越パルプの月足推移
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中越パルプの月足推移



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