多くの人が北朝鮮リスクに怯え…持ち高を減らしています。確かに、更に下げても不思議ではありません。でも本当に北朝鮮が戦争を起こし日本に甚大な被害が及ぶのかどうか…。
そもそも過去の朝鮮戦争の米国の敗北と言うか…痛み分けは中国の参戦です。その後は、かなり防衛網も確立されており、不意打ちではないですからね。ミサイルが2発3発飛んできても、THAADで90%は撃ち落とせるとか…。そんなに確率は高くないと思いますが…売り込みはそうでした。一方、北朝鮮は空中戦では、完全に負け戦、可能性としては通常兵器での韓国への攻撃で、首都ソウルの市街戦です。
いつもの事ですが…本来なら、本家の韓国株は、もっと下げても良いと思います。更に可笑しいのが…WSJでも指摘されていますが、当事者通貨の円が買われる現象です。有事の円買い? どう考えても理屈に合わず…馬鹿ですね。
つまり…仕掛けは、単にポジションの整理か…。ガス抜きの道具に使われているイメージです。長い経験の中では…そんなに懸念するような材料でもなく、所詮は、北朝鮮の存在など、たいした問題ではありません。鍵は中国が握っており、中国は既に市場経済化の枠組みの中で成功を収めています。わざわざ、ここでリスクを犯し、体制転換など求めません。
故に、悪戯に…メディアの法螺に付き合う必要はないと考えています。そんな事より、カタルの仮説の方が重要です。カタルは何故、世界中の中央銀行が量的緩和に踏み切ったのに…インフレが起きないか? この疑問に、長く苦しんでいます。仮説としてリーマンショックの失敗に反省して、世界はBSI規制を始め、ボルガールールやFRB規制など…、世界中の金融機関の自己資本比率規制を引き上げることで…総資産の圧縮を強いて来ました。だから、なかなか世界経済が、本格的に、立ち上がらなかったのでしょう。
それ以前は、何度もご案内のように…CDSなどの金融デリバティブ商品を使って、経済活動を加速させてきたのです。2003年~2007年頃までの日本株の立ち上がりはこの影響です。この時に日本の資産価格が大きく上昇したのです。
しかし福井総裁の歴史観を欠く失政やリーマンショックにより、日本は失われた時代の二番底を入れます。2003年と2010年頃ですね。株価は実態経済に先駆け2008年10月に7000円を割れます。おそらく…日産自動車がマーチの生産を、タイに移管した辺りが…実体経済のドン底だったのではないか…とカタルは考えています。それを見て2010年10月に日銀は政策を変更します。
この時に初めて…危険資産のETFとリートの購入を決めます。額は、ETFは4500億円で、リートは500億円の合計で僅か5000円億です。しかし…この事は、画期的だったのです。カタルはこれを観て…株は上がると確信し会社をこの年末に辞めます。白川さんの時代でしたね。福井さんの失敗を反省しての転換ですが、やはり「けつの穴が小さい」と言うか…小物官僚です。実際は…黒田さんの思い切った量的緩和でも、「流動性の罠」が4年にも及ぶのです。
カタルは、基本的に…金融規制が世界景気の癌だと考えて来ました。この病巣の改善がイタリアの不良債権処理やスペインの金融情勢の変化です。だからブラックロックが、サンタンデール銀行の不動産を買い取ったことなどが…大きいのです。イタリアもスペインもここに来て…急激に改善しているのです。このように…まだ銀行の総資産の圧縮は続いていますが…実態経済が立ち直るから、ヘッジファンドが不動産などの資産を買うのです。
この事と米国の経済状況…先日はメキシコ人のビザ発行増をレポートしました。米国の失業率推移と…併せて考えて下さい。カタルは、この金融規制と馬場レポートを合わせて…新しい仮説を述べています。
「流動性の罠」から、なかなか抜け出せないのは…賃金の上昇なのですね。これを可能にするのが失業率推移であり、有効求人倍率です。これもまだ仮説ですが…正しいと思っています。ようやく…先月の統計で正社員の新規有効求人倍率が1.01倍と1を超えたのです。
これで賃上げの条件が整いました。故に…最近は、盛んに時間の問題で「流動性の罠」から抜け出せると解説しています。様々な事象が、整合するのです。データなどの数字と社会現象などが…。高橋さんの自殺から表面化したブラック企業問題の電通事件やヤマト運輸の料金値上げなども…その現象の一つです。
北朝鮮などより…こちらの動向の方が、余程…重要です。最近、カタルは企業の設備投資の増額を話題にしています。
ケネディクスを見れば分かりますね。カタルは宮島さんの経営方針を批判し続けて来ました。理由は名目時代の行動ではなく、実質時代の経営パターンだったからです。彼は先ず…内部に溜まった膿を出しました。レガシーアセットなどと呼んでいた含み資産損の解消です。リーマンが活躍していた当時の高値で買った不動産の損出しを優先して、内部の財務改善に取り組んだのです。だから批判したのです。そんな事は…何れ、市況が回復して利益に変わるのです。
事実、例えばティファニービルにしましょうか…。あれは2007年にゴールドマンサックスが380億円で買った物件です。損失を計上して320億円で、孫氏に売却したのですね。でも今では鳩居堂前の地価を見れば分かりますが…おそらく380億円を上回っており、400億円以上、お金を出しても買えないでしょう。
更に…先日は、ヒュートリックがGINZA SIXの1フロアを200億円以上で売却し、その利益は80億円と報道されました。開発投資の利益率は…この位なのです。だから…名目時代の経営行動を…、宮島さんは、とるべきだと思っていました。
故にカタルは、宮島さんを批判したのですが…、昨年から…ケネディクスは経営スタンスを変えましたね。自社株買い、CREへの投資、横浜や銀座の開発と…。まぁ、この程度が実戦での経営でしょう。やはり従業員を抱えていれば…馬鹿は、出来ません。でもAUM残高から推測すれば…ケネディクスは、宝の山なのです。現状は…幾らでも、利益を出そうと思えば出せます。
まぁ、ケネディクスは、一例に過ぎませんよ。今回の決算で目立つのは、多くの企業がこれまで…二の足を踏んでいた投資活動に、取り組み始めたことです。SUMCOも300ミリの増産投資を始めます。みんな、そうですよ。誰か…経済研究所のスタッフなら、データがあるから、上場会社の設備投資金額の推移を、追えば…良い資料が出来ますね。今がベストタイミングの原稿ですよ。
失業率などの推移をデータで追えば…今の日本経済の実態が分かります。故に、最近のカタルレポートは、その話題が多いのです。いよいよ名目時代の開始なのです。しかしその前に…安く買いたい為に、叩くのです。たぶん戦略上、北朝鮮リスクを利用しているのでしょう。そんなタイミングのデータ推移なのです。
何処まで…読者の皆さんの理解が、進んでいるか分かりませんが、今の相場の焦点は、世界経済が、いよいよ資産拡大局面に入ると言うリーマンショックの終息から、新しい局面への展開なのでしょう。米国のテーパリングのスピードなど…この辺りが、焦点なのです。北朝鮮リスクなど…おそらく、ガス抜きの道具でしょう。
皆さんは…自分の頭で、物事を判断しないと駄目なのです。北朝鮮リスクで円買いが進んでいる? 本当なの? WSJが指摘するまでもなく…おかしな話だと通常の人は思います。そんな事より…日銀の資産がFRBを超える話が、日経新聞の2面に載っています。この事の意味を理解していますか? いよいよ「1300兆円の逆襲」が本格化するのでしょう。米国のGDPは20兆ドルに迫るのです。日本のGDPは546兆円程度ですから、約4倍の水準です。この意味の方が、余程…大きな話題です。
予てから言っている様に…8月は無理をする場面ではありません。9月になったらボチボチでしょう。日足のチャートを見ると、長い保ち合いに感じますが…、月足レベルでは、まだまだこの壁を、簡単に抜け出せるようには…見えません。
チャートも日足、週足、更に、月足と観て…時間軸を変えるのです。そうすると…だんだん現在の自分達の「立ち位置」が見えてきます。視点を引くのです。遠くから眺めれば…また違ったイメージが湧く事でしょう。
さて…IRNETでは、現在、有料会員を募集しています。詳しくは…右上のカレンダーから8月7日のレポートをクリックされ…納得されたら、応募してみて下さい。今回の募集枠は10名ほどです。しかし既に48名の方が参加を希望されています。たくさんの応募を頂き、ありがとうございます。本日まで…募集しております。
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