トランプリスクと半導体

市場では「トランプリスク」と言う事でリスクオフの動きに終始していますが…カタルはどちらが大統領になっても、大変だろうと思っています。トランプはブロック化と言うか、内向き志向で、これまで米国が演じてきた世界のポリスマンを放棄し、グローバル化を否定しています。クリントンは今まで通りの展開ですね。でも金融規制強化派です。

ブレグジットの背景も、トランプ現象も、基本的には、リーマンショックの後遺症の為に、起きている金融規制の強化が、格差を生み、なかなか資産インフレ効果の恩恵が、末端まで行き渡らない不満の表れです。

サンダース氏が民主党で躍進したのも、トランプ氏の台頭も、上手く行ってない人のやり場のない怒りの結果です。経済が落ち込むと、基本的に社会が不安になります。最後は戦争です。これは歴史的な現象ですね。

世界大恐慌が起り、ニュデール政策などで立ち直ったかに見えた時に、政策の選択を間違い、金融引き締めに動き、体力がない所に圧力をかけたので…再び失速して、第二次世界大戦に入ります。この背景は、払いきれない戦後補償を求められたドイツの反乱です。結局、いつの時代も、喰えない人が居て、不満が募ると社会不安が引き金となって戦争が起ります。リーマンショックの後遺症は基本的に続いているのです。日本のバブル崩壊の後遺症も、未だにあるのです。だからダリオ時間の考え方は、根強く存在します。

おそらく自然の原理で、社会変革と言うか…、大きな成長と言うか…。新しい波に乗る前は、必ず、大きく落ち込みます。駄目になるから、もがき苦しみ、正常な方向性を模索し努力をします。だから、必ず、新しい成長波動の前は、落ち込みますね。故に、多くのカタル銘柄は、いつも倒産のリスクから始まります。赤字の段階でスタートしています。なかなかV字回復しないものが、現在は残っています。素質はあるが開花しないものですね。今回、掲げている東芝やシャープも、基本的な考え方は同じです。

さてトランプリスクは存在するのかどうか…。市場経済下では、基本的に全ての事象は、事前に株価に織り込まれます。トランプ氏は金融規制の緩和派ですから、それほどクリントン氏より、悪いとは思っても居ません。日本人(有色人種)を馬鹿にする米国人の事例でしょうが、安倍首相は、なかなかですからね。トランプ氏も馬鹿ではないのです。故に、まさかの事態でも…そんなに、心配はしていません。

むしろ、これまでに何度も述べていますが、日本株は、もう下がらない構図になっていることが、認識されますね。ない株は売れませんよ。余程の下準備がないと…幻想を押し付けることはできません。日本人は流行に弱く、付和雷同型の馬鹿ですが、バブルの形成から崩壊まで…長い下準備の末に、起ったバブル崩壊ですからね。

故に、今直ぐに、暴落が開始されると言う見方は、間違っているのでしょう。むしろブレグジットから起るEU崩壊など…その方が現実性はあります。イタリアです。ドイツの傲慢さが、どうなるか…。でも米国株の7日の連続下落は、気になる事には違いありませんが…それほど警戒をする必要もないと思っています。

さて…半導体相場ですね。昨日の話の続きです。実はカタル君、手痛い失敗をしたのです。日揮を1999年の春に薦めたのですが…実際に株価が上がったのは1年後の2000年でした。この間違いは、何故、起ったのでしょう。

日揮の月足推移

日揮の月足推移

 

カタルが日揮を薦めたのは、原油価格の上昇を観て、設備投資が起ると思ったからです。その少し前、日揮は受注の見誤りで膨大な赤字を計上し、倒産まで行きませんが、トコトン、株価は売られていました。今の客船受注で大幅な赤字を計上した重工と同じ間違いを石油精製設備でやらかしました。そこに原油高が起ったので…追い風になるから大丈夫と踏んだのですね。でも結果は、1年以上も待たされました。その様子をWTI原油の市況推移と日揮の株価で確かめて下さい。

WTI原油価格の推移

WTI原油価格の推移

 

何故、1年も…待たされるのか? カタルは常々、株価は現実の現象の半年、先を歩むと言っています。でもこの時は、原油価格が上がっても、なかなか日揮株は上がらず、1年もの原油価格の上昇を確認してから、株価が動き出したのです。だから半導体市況と設備投資の関係にも…慎重になっています。

原油と半導体は、全く業界も違い、原油の経験が半導体に活かせるかは分かりません。更に今回は、実際の市況だけでなく、中国の個別事情も影響しています。基本的に、中国は何でも自前主義です。半導体も、液晶も、今度は有機ELですが…自前構築ですね。でも…ね。この有機ELは、カタルが上京した1989年から、既に出来上がっていたのです。

有機ELの製造装置だったトッキに、カタルは惚れこんでおり…この会社は大赤字が続き、最後はキャノンに買収され、現在はキャノンの成長を支え始めていますが、此処まで来るまでに、実に27年も掛かっています。先日、たしかOPPOがサムソンに、有機ELを大量に発注したけれど…サムソンは、それに応えられなかったのです。おそらく歩留まりの関係でしょう。

故にOPPOは、ジャパンディスプレイ(JDI)の液晶を振り替えました。だからシャープが、有機ELが本当に有利か分からないから、独自開発ではなくJDIとの共同開発を提案したのでしょう。現状は有機ELが性能面でも有利かどうか…微妙なのです。市場はアップルが有機ELの採用に動いているから、期待感が高いのですがOPPOのケースが現実です。

話しが、それましたね。設備投資は基本的にメーカーが潤ってから始まります。CMのようなものですよ。でも中国の設備投資は国家戦略なので、既に始まっています。だからVテクの業績が落ちない筈です。故にやり方次第では、もう一段高が狙えるかもしれません。そう考えないと、半導体市況や全体相場との整合性が得られないのです。

前工程はメーカーと一体開発だから、基本的に業績面では先行して現れます。しかし後工程は、基本的にそんなに高い技術力が必要なわけではなく、最後の花火のようなものです。だからITバブル期のような膨大な需要ギャップが起ると…相場は急騰します。此処で…重要なことは、過去最高株価とか…最高利益水準を基準に、銘柄を選択する事ですね。例えば…アドバンテストは27940円で今の株価は1461円、新川は8350円(ITバブル期は5510円)で現在は705円です。

カタルはIoT時代が幕を開け、息の長い半導体相場が起る可能性を考えています。WTI原油のような、異次元の上昇が起る可能性がある。…と思っているのです。WTI原油だって、それまでは…イラク戦争時でも40ドル台が天井だったのです。それが中国などのBRICsの活躍で、需要が一気に膨らみ…100ドル台に入りましたね。

IoT時代の幕開けと言うのは、そんなスケールだと思っています。だから競争力のない3流メーカーほど、大きな変化率があり、株価が大化けする要素があるんじゃないか…とも考えています。アドバンテストは、後工程でも優良な部類です。そのアドバンも…この株価位置です。つまり、どの半導体関連株も、株価位置は基本的に低いのです。

Vテクの週足推移

Vテクの週足推移

Vテクの相場は、およそ1年の下準備がありました。3000円から5000円だったかな? そんな往来でしたね。昨年5月、11月、そうして3月の後に…本格的な上昇でした。株と言うのは、こんなものです。まぁ、SUMCOは直ぐに反応しますね。でもアドバンは遅れ、新川はさらに遅れるのでしょう。でも、もっとも面白いのは、新川かも知れませんね。だって変化率が非常に大きいからです。

株式投資は、良い会社を買うのではなく、変化を買うのです。この変化率が、髙い会社が良い相場になるのですよ。多くの証券マンも間違わないように…。年金ファンドなどは赤字企業が買えないし、配当をしてないと買えないところが沢山あります。内規で定めています。だからシャープは、外されたのです。膨大な空売り残がありましたね。東芝が下がったのも…そんな話です。

ブツブツは、名言を残しています。「株の最大の好材料は株価が下がる事で、最大の悪材料は株価が上がる事だ」…と述べています。流石、旧軽に別荘を持つだけあります。家の周りに積んだ石だけで、数千万も掛かったと言いますから、お金持ちです。歩合セールスで成功した部類の人間ですね。カタルはブツブツからも、多くの手法を学びました。

それまでは1回10万株を買う注文も、良く出していましたが…ブツブツと知り合ってから、5000株や1万に落としました。彼は、もっと落とせと言います。10万株買えるなら、1000株単位で注文しろと言います。それくらい…株の先行きは分からないと言う事ですね。

毎日、買えば、たとえ1000株ずつでも、200日間の立ち合いがあれば…20万株になりますね。企業業績の変化は時間が掛かりますからね。町工場だった会社が、1年や2年で大会社にはなりません。東通工時代のソニーは、小さな会社でした。パナソニックもそうです。

今はベンチャー投資の優遇時代とは言え…成長するには、やはり時間が掛かります。でもヤフーは早かったですね。200万が5億円ですからね。半導体も良いですが、やはり株の醍醐味は、成長株投資だろうと思っています。クラウドワークスはどうなるのでしょう。果たして、トランプリスクに揺られる安値を拾えるかどうか…。読者の人は、自分の力量をよく把握され、無理をされないように…。

ただ、カタルは思っています。日銀は31日、1日、2日、4日と…連続して、日本株を買っています。既に逆日歩銘柄は、5割を超えているのです。どんどん株は吸い上がっており…ないものは、売れませんからね。逆裁定も逆日歩が付くと、計算上の利回りになりません。先物からの売りも、採算性が取れなければ…続けることはできないのです。

何しろ、日銀様は、無尽蔵の資金で現物株を買っているのです。一方、ヘッジファンドは、メディアを使って、巧妙に仕掛けますが…先物投資ですね。どちらが有利か…。結果は、既に決まっています。



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  1. 2018.04.01

    デッサン
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