変わる基準

今日は「スチュワードシップコード」について、重要なので触れておきたいと思っています。もともとも語源は、執事(steward)から来ており、財産の管理人と言う意味だそうです。リーマンショックを深刻化させたのは、企業統治に対する意識が希薄だったために起ったとされており、2010年にイギリスで機関投資家のあるべき姿を規定した指針の事を示します。この指針に則り、先日、日本生命は5%以下のROE企業に対し、株主権を行使すると発表して、日本村の暗黙の了解を、打ち破りました。大塚家具のお家騒動にも、この指針は影響を与えています。

もともと企業統治問題は、会社は誰のものか?…との問いで、意見が分かれます。本来は株主のものなのですが、会社を私物化しても、これまでは株式持ち合いなどの影響が強く…さらには取引先との関係など含め、経営者の行動を監視する機能が弱かったのです。ところが…安倍政権になり、GPIFなどの年金資金が投入され、株式の価値を問われるようになっています。世界的に観て、中国も株式価値を向上させています。所謂、資本力の問題ですね。とくに近年、中国が力を付けて来ており、米国の勝手な行動も制約を受けるようになっています。TPP交渉がどうなるか…非常に面白い所ですね。大国は傲慢ですよ。この事は、環境問題である京都議定書の扱いを見ると、良く分かりますね。中国も米国もゆとりが出来てくると…環境問題を取り上げ始めます。

話を戻しますね。つまりブルドック事件など…の様々な過程を経て、ようやく日本でも株主権の重視に、舵が切られているようですね。これが近年、良く採り上げられている効率経営のROEと言う話ですね。ここで問題にされるのが配当性向と言う問題です。企業が毎年稼ぐ利益の内に、何%を株主に還元するか?…と言う問題ですね。還元方法は様々で配当を引き上げたり、自社株買いをしたり、株主優待などもあります。しかし国際標準でみて日本株はROEが低く問題にされています。国際会計基準の整備もあり、グローバル比較が容易になったために、世界の資金の振り分けが容易になっています。だから中国は市場原理を強化しているのです。シャドーバンキング問題で叩かれると…地方政府に社債の発行を認めたりしていますね。国際ルールに沿う動きで、今度は、この国際ルールを逆手に取り世界をリードしようとしています。だから上海総合株価指数が大きく上がって来たとも言えます。

安倍政権も、きっとブレーンが指摘しているのですね。故に、日経新聞もROEの関連記事を増やし、日本の企業経営者のマインドを変えようとしています。金融庁が「スチュワードシップコード」を取り上げたのも、このような背景があるからですね。この流れを汲むものが、昨年のアマダの行動ですね。先頃、JPX日経400と言う新たな指標が生まれました。この選定基準は、ROE40%、営業利益40%、時価総額20%で定量的にスコアリングされています。GPIFなどが、ベンチマークに採用したので注目されていますね。このような流れが加速しているので、東証が社外取締役強化を謳い、ファナックがサードポイントの要求に応え配当性向を引き上げたのです。

さて、ここまでは状況解説です。此処からがカタル独自に見方ですが…、実は、NY市場の株価をカタルは非常に心配していました。オバマは依然として、金融界に厳しい目を向けており、お金の動きを縛っています。この間隙を縫って中国が躍進していますね。AIIBの動きなどは…この一環です。

しかしアップルは、この3年間に於ける株主還元規模は2000億ドルと言われ、増配を発表し、自社株買いの規模は1400億ドル…と報道されていますね。1400億ドルですよ。16兆8000億円の規模で自社株買いをすると言うのです。トヨタや三菱UFJを丸々買うと言うのです。時価総額も7726億ドルですから、120円とすると92兆円と大きいですが、それでも大変な金額ですね。この記事とファナックの配当性向を組み合わせると…世界の流れが見えてきます。つまり企業が稼ぐ利益は、国際標準として株主に還元されると言うものですね。だから企業業績不安があり、FRBの引き締め観測があるのに、ボックスを上に向かうチャートになって来たとも…考えられなくはないのですね。米国と中国は、株式市場においても覇権争いを始めているとも見えるのです。

この増え続ける株式マネーが、新時代を支えるスマートコミュニティーの関連企業の資金繰りを助けるとすれば…人類の進化のスピードは、飛躍的に高まります。J・TECなどの再生医療分野の進化も豊富な資金で支えられ、時間が短縮される可能性が見えてきますね。株式相場がバブルだとか…批判する人が居ますが、このようなバブルが、人類の進化を支えるのですね。所詮「お金は使ってなんぼ…」なのです。飾りではありませんね。株高を支える論理が、企業利益の還元促進で、新たに生まれる可能性が出てきました。

ここで述べた仮説は、一つの見方です。しかし…あり得る可能性ですね。スチュワードシップコードからの配当性向の高まりは時代の流れですね。中国の株式市場の動向からも目が離せなくなっています。世界の投資マネーを、どうやって呼び込み、活用するか? デフレ脱却と共に新たな焦点です。

今日は考え方の基本の土台作りの話ですね。このような考え方が、銘柄観を育てます。昨日はカタルが、先日、採り上げた、合同鉄鋼に動きがありました。割安株の代表的な存在ですね。更に昨日、調べた中で、「ライフネット生命」(7157)をカタルは勉強しました。何故、KDDIは380円もの…高値とも思える株価で大量増資を引き受けるのか…。この背景を考えると、投資の本質が見えてきます。目先は駄目ですよ。しかし定期預金なんてもんじゃないですね。何れ3年ぐらい後には、嘗て、公募した1000円の株価を超える可能性がありますね。何故なら、デフレ脱却は成功し、既にMS&ADHD(8725)などは、株価が大きく上がっているからですね。ライフネット生命と株価の動きを比較してみるとよく分かります。

カタルの読者には、目先ではなく…投資の本質を理解して欲しいと願っています。本日は、本当はチャンスが到来するケネディクスのチャート分析を交え、解説する予定でしたが…何もカタル銘柄だけが、株じゃないし…ね。突然、動き出した合同鉄などの投資は、一つの選択肢で、本日、掲げたライフネット生命(7157)も、その範疇ですね。380円を下回れば…、現状は赤字ですが、買ってみても面白いかもしれません。ただし3年程度は、実を結ぶまで、かかるかもしれませんが…。これが投資と言うものでしょう。背景の解説は長くなるので省きました。証券マンは決算書など観て独自に分析しなさい。良い会社ですね。それでは、また明日。最近は先が見え始め、楽しみに…なって来ましたね。カタル銘柄も含めた話です。

417円のライフネット生命株の週足推移
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417円のライフネット生命株の週足推移



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