マネーストックは語る

昨日はカタルの仮説を述べました。この仮説に従えば…今年末から来年にかけ、実態経済は名目世界への動きを見せる筈です。しかし消費者物価の動向を観ると、ユニクロの戦略が分かりますね。ユニクロは一度、製品価格の値上げに踏み切りましたが…政策当局の失政により、消費者物価2%の上昇が達成できずに…その為、消費者がユニクロを見限ったのです。仕方なく…ユニクロは、再び製品の値下げに舵を切りました。牛丼各社の外食も同じような展開です。これは「揺り戻し」現象なのでしょう。

日銀も、政策当局も…苦しい所です。日銀への風当たりを観ると良く分かります。しかし金融庁は、ようやく3月に…赤字法人への融資容認で、長かった不良債権処理を中心とする実質世界から、明確に、名目世界へ舵を切ったのです。6月の地銀へのノルマ復活は効きますよ。そもそも日本人は「お上頼み」のロボット教育を受けてきましたからね。産業界を観ても分かります。今年は不幸でした。金融規制の為に、銀行が賃上げを早々に放棄し、トヨタが空前の好業績にもかかわらず、賃上げは形だけの参加です。一気に「中弛み」が加速したイメージです。この金融庁の政策転換は、今年末頃には効果を発揮する筈で…、来年には明確になると思っています。

ただやはり、スマートコミュニティーへの政策当局の理解は鈍く、時代の変化を知りませんね。昨日の日経新聞夕刊の「ITバブルから16年後の正夢」は、スマートコミュニティー時代を示しています。ところが日本は、トヨタに頼るような認識です。此処に溝があります。今回の財政出動もリニア建設の前倒しです。準天頂型衛星の打ち上げ計画の前倒しとは違いますね。同じ前倒しでも…天と地の差があります。これじゃ、なかなかアジア圏を中国から奪回できませんね。日本は何度もチャンスがあったのに…そのチャンスを活かせないのです。

今回の南沙問題もそうです。カタルは中国との対立を煽るより、情報投資インフラで日本が力を貸すべきだと思っています。スマートコミュニティーへの対応ですね。そもそも衛星などは、アジア地域で共同活用すれば良いのです。アジア圏では4G(LTF)の整備は、まだ進んでいません。来年辺りから、日本では5Gへの対応が始まるそうですが…、これがIoT戦略を更に加速させます。本日の日経新聞にも、7面に「ローソン」と「堀場製作所」の記事が掲載されています。「IoTのユビキタス」が、何故、本格的な上昇を迎えるか? 読者の人は、時代変化を感じて欲しいのです。

まぁ、政策対応への不満はあります。しかし現在の局長級の人間は、スマートコミュニティーを、年齢的に知りませんからね。彼らは優秀ですが、空想力と言う能力はありません。前例主義を掲げる石器人間です。故に今回の政策対応も、仕方ありませんね。あと10年程経てば…この新時代を認識する人間が、主導権を握ります。でも環境庁は既に実験ですが移転を始めました。カタルの認識より速いかも知れません。

今回の救いは…金融規制は尾を引くものの、日銀は曲がりなりにも…緩和維持を続けており、福井時代とは明確に違います。2006年からの急落はリーマンショックが重なったとは言え…基本的に失われた時代へ逆戻りさせる政策の実行でした。地検がライブドア逮捕に踏み切ったり、金融庁はダヴィンチを強引に減損会計に追い込んだのです。でも今は、曲がりなりにも財政政策も、金融政策も追加緩和です。金融庁は赤字法人への融資容認、更に地銀への貸し出しノルマ復活です。故にカタルは景気の「中だるみ」と言う表現を用いています。

イタリアは、丁度、日本は2000年~2003年前後に味わったイメージですね。日本は、「小泉・竹中改革」で強引に不良債権処理をしました。村論理は、どうしてもゾンビ企業の育成に傾きます。米国が強いのはROE経営が定着している為です。日本は米国の半分ですね。故に賃金も同じように半分なのです。一人あたりのGDPを底上げするためには、完全にROE経営を定着させなければなりません。

売上高営業利益率が10%以下の産業は、全て新興国の譲るのです。スマートコミュニティー時代が確立すると…ROEは15%以上になるでしょう。20%~30%の高付加価値産業を育成するのです。ソフトバンクのARM社の買収は早道です。M&Aを活用すれば、一気に時間が節約できます。3兆円は高いとの評価もあるでしょうが…時代進化が成長力を後押しします。アマゾンのような小売業でも、31%も売り上げを伸ばすのです。3年で倍増ですよ。トヨタが売り上げを倍増させる事は、不可能ですね。自動車など後進国の産業です。これからはロボットです。

AIの中枢を担うIBMのワトソンの評価は、今後、飛躍的に高まります。バフェットは馬鹿ではありません。すごい先見性です。早く先進的な企業を世に出す事です。埋もれるベンチャー企業を、早く表舞台に立たせることが必要です。例えばプリファード・ネットワークス(PFN)やZMPなどの資金面を援助しなくてはなりません。

マネーストックの推移(前年比)

マネーストックの推移(前年比)

失われた時代下のマネーストック推移(前年比)

失われた時代下のマネーストック推移(前年比)

さて追加緩和で意見が対立するでしょうが…何度も言いますが、基本的に2006年とは180度、方向性が違います。曲がりなりにもマイナス金利の影響を受けマネーストックは伸びる筈です。そのグラフを提示しておきますから、よく見て「いつか来た道、帰る道」と言う「デフレの世界」への回帰が、あり得ないことを認識するべきです。まだ微妙な動きでしょうが…年末に近づけば、近づくほど…相場はマイナス金利効果や、更に金融庁の方針(政策)転換の意味を理解すると思っています。上のグラフは名目時代と実質時代の同時掲載、下は期間を短縮し、実質世界の失われた時代だけを提示しました。

さて…誠に勝手ながら、私用により、今週1―4日の原稿アップは出来ません。お休みを頂きます。再開は5日の金曜日を予定しています。各自が良く考え、自分の力量範囲で相場の臨むと良いと思います。



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