まったく、訳が分からないのが…日経平均株価の下げです。米国株は上げ、戻り相場も強そうに見えます。肝心の中国経済は3000ポイントを回復しており、此方も一時言われていたような状態を、抜け出しつつあるようです。原油価格もそうですね。しかし日経平均株価だけは…何故か、新営業年度の4月1日に、大幅安しています。
理由は、おそらく為替との組み合わせによる、先物からの売り崩しでしょう。一般的にCTA(商品投資顧問業者)と呼ばれるグローバルのヘッジファンドの存在です。彼らは過去のアノマリーによる現象を元に、関連性の高い組み合わせ商品を使って、その関連性を絡め、オプションなどを組み合わせ投資をしています。
円高=日本株安と言う連動性が高いと言う過去のデータを頼りに取引をしています。カタルは…この関連性が、成立するとは思っていません。過去は円高=株高になっていたからですね。確かに…、円高は日本の輸出企業にとって、目先は減益要因になります。最近では、インバウンド需要も円高は、マイナス要因です。
それなら輸入企業は、プラスの筈ですね。石油業は原油の戻り高もあり、大幅な減損会計を実施した後で、在庫には利益が生じますし、これからの輸入価格も円高により、コストが下がりプラス要因になります。しかし株価を観ると…全面安です。好調が続く建設業もそうです。原材料費の値上げを容認できる程、好環境が続いています。食料品もそうですね。現時点での食品業の輸出は少なく、原材料費の値下がりの恩恵を受けます。それなのに…全面安の様相です。
この円高は、実質金利での円・ドルでは、それほど金利差がないと言うものだそうですが…そもそも金利平価説で、為替が操作できると思うのは過去の事例からみて…間違いです。代表的な事例は、1985年のプラザ合意からの金利低下によるバブル発生です。日銀はサミット前ですが…、一時的に為替介入をして、ETFの大量買いをすれば…、多くのCTA業者は…みんな証拠金が飛びますね。何しろ…レバレッジの高いオプション投資は、少ない証拠金しか積んでおらず、相場変動で直ぐに飛ぶのです。その英断が出来るか人物かどうか…黒田さんは、そこまで懐は深くないようですから、隙を突かれている様に感じています。
何故、4月1日に大幅安したのか? おそらくドレッシングを期待した玉が相当数あったのでしょうが…その期待が剥がれた為に処分を急いだものと思われます。何処かで、目にしたのが…GPIFの運用成績の発表が、参議院選挙後になると言う報道です。安倍政権の生命線は、株価ですが…その株安により、GPIFの運用成績は悪化しており、選挙の目玉としてアベノミクスを叩く事が出来ます。ところが…この発表を「ずらす」と言う方針が決まっているとか…。本当かいな?
日銀の3月のETFの買いの3月は、8日、9日の336億円の2本だけです。2月は330億円ずつですが、8本の買いを入れており、1月は4日が369億円で、それ以外は352円の規模で8本、合計で9本の買入れを実行しています。まぁ、1月、2月は大幅安の日が続き、買入れが増えたと言う事もあるのでしょう。その為に3月は調整したと言う実情ですが…明らかに3月末のドレッシングは、なかったわけです。流石に…4月1日は336億円のETFの買い入れを実行しています。
この影響を反映してか…、日経平均株価の指標面のデータは、急速に悪化してきました。ご覧いただいているグラフは、日経平均採用銘柄のサイコロジカルラインと初値と引け値の陽線率の推移です。でも金曜日は雇用統計などもあり、様子見が重なった所に、ドレッシング期待の玉の目先の投げが重なったようにも感じられます。目先筋は、その場の雰囲気で動きますからね。この金曜日の陽線率(陰線率)は実にマイナス3.42%なのです。
この数字の凄さは、なかなか実感できないと思いますが、今年、年初からの下落相場で3%を超えたのは4月1日の3.42%、2月10日の3.26%、1月20日の3.85%の3回だけなのです。昨年夏の下げも強烈でしたが…3%を超えたのは9月2日の3.17%と7月8日の3.02%の2日間しかありません。他の日は、何れも3%を超えておらず、2%台の安い日も、3回しかありませんね。
つまり、様々な不安心理が…重なり合って生まれた現象なのです。日銀短観は切っ掛けに過ぎず、様々な潜在的な要因が重なって、生まれた現象でしょう。果たして、下げ相場が続くかどうかは…現時点では分かりません。言えていることは、為替に動向に敏感に動く連中が存在すると言う事でしょう。為替は、一説によると円高傾向が続きやすい環境にあり9月頃まで…円高の可能性があると言う波動論だと言われています。これはチャート論ですよ。
しかし1月に実施されたマイナス金利効果は、リート市況を見れば分かりますが、明らかに表れていますね。例えば昨日の日経朝刊です。「ゆうちょ銀行」が、不動産投資に参入すると報道されています。良いですか…収益を上げられる商業ビルなどは、限られたものなのです。無尽蔵に生まれるものではありません。たいたい敷地がないし…仮にあったとしても、開発には最低3年以上かかります。中には大規模開発になれば10年近くかかりますね。地所はそのケースです。
更に3月29日の朝刊には、リートの商業ビルの固定資産税価格の計算ミスが報道されています。総務省は計算を見直すそうです。先日、国土交通省は不動産投資市場育成の為に2020年度にかけ、倍増の30兆円市場を目指すと報道されており、今夏にも介護事業支援の為に税制優遇処置をする為に、法制を改正すると報道されています。このような流れが…非常に重要なのですね。テクニカル面での不安を抱えていますが…金曜日が下げ相場の最後の叩きかも…知れません。事実夏も、始めと終わりに、陽線率下げ幅は拡大する傾向があります。株の性格は、始まりと終わりを押さえればいいわけです。
まだ分かりませんが…金曜日が目先の底値の可能性もありますね。一方、カタルは、今回の下げに対し…何度も、原油安を理由で日本株を叩くのはおかしいと述べてきました。ジョージ・ソロスなどが、中国の元安に賭けている行動が、大々的に報道されているのを観て…現時点では、元を叩ける道理がないと…再三にわたり述べてきました。事実、その通りになりましたね。
今回はカタルの推察通り…上昇に転じるかどうか…もう少し様子を見ないと分かりませんが…赤字法人への融資実現などの名目重視の政策転換は続いており、過度に円高に賭ける姿勢は、間違っている様に感じています。確かに、日銀のマイナス金利導入はQE2の時にすべきで時期を間違っている様に感じています。更に今回も、ETFの買い入れやリートの買い入れも、同時に増やすべきだと感じています。少し…物足りない面もありますが、マズマズの動きだと思っています。
名目重視の政策スピードをもっと上げれば…明確な株価上昇に向かうのでしょうが、少し、トロイですね。でも此処に来ての報道を観ていると、確実にステップアップしている様に感じています。昨日の「ゆうちょ銀行」の不動産投資再開は、大きい記事ですよ。名目成長が加速するのです。「1300兆円の逆襲」を示す記事ですね。
ただケネディクスの信用買い残は、依然、6000万株台から減ったとは言え、2000万株を超える水準があるので、どうしても…全体相場の影響は避けられません。こんな感じで良いですかね? 1日の下げの分析は…。
下げの原因などをメディアは、日銀短観に押し付けていますが…複合的で、どれが原因かなど分からないのです。4月の信用期日の応当日は10月であり、昨年のこの時期は最悪期を脱して、信用買い残が膨らむ傾向がありました。この応当日でもあります。故に…過剰に弱く見えたのかも知れません。
所詮、カタル自身も、勝手読みなので…的を捉えているかどうか分かりませんが、ゆうちょ銀行の不動産投資再開など…3月22日に続く税制優遇などの名目重視の政策は続いていることは事実ですね。名目数字目標の600兆円は、政策次第で簡単に実現するのです。やる気になれば…ね。それでは…また明日。