経済政策

本日は、経済政策について考えてみます。米国では雇用統計を巡り、いろんな意見が交わされていますが、雇用統計は様々な指標の中の一つに過ぎません。雇用を扱っているだけに、通常は景気動向に対しては遅行指数です。最も早く敏感に表れるのは、消費者信頼感指数や街角景気(景気ウォチャー調査)などのアンケート調査ですね。日銀短観もアンケート調査です。他には…電力の使用料とか…色んな指標が経産省中心に集められ、景気の実態を探り…政策に反映されます。

近年、色んな説が出ているので…、どれが正しいのか分かりません。要するに経済政策と実際の経済は、いつも試行錯誤の連続です。とくに現在は、産業革命以来のコンドラチェフの波と言う大きな技術革新の最中に位置しています。インターネットからクラウド環境を利用し、スマートコミュニティーと言う大きな変革期に位置していますから…なかなかこれまでの常識が、通用しない面があるのでしょう。日本人は画一化教育を受けている為に、正解が一つだと思いがちです。しかし実社会は違いますね。なかなか理屈通りに運びません。とくに株の世界は、いつもケース・バイ・ケースばかりが生まれ…戸惑います。

マネタリーベースとマネーストックの前年同期比の推移

マネタリーベースとマネーストックの前年同期比の推移

 

例えば、黒田さんはこう考えた訳です。大規模な資金を供給すれば…実際に世の中には、お金が余り、需給バランスからみて…物の価格が上昇すると思ったわけですね。大量のお金を供給すれば…物の価値は上がり、お金の価値は下がります。しかし、この教科書通りになかなか世の中は動きません。実際にここでマネタリーベースとマネーストックの前年比の増減のグラフを掲げます。最初のグラフは増減率が一緒です。もう一つのものは左軸がマネーストックで右軸がマネタリーベースです。(同じものですよ。軸を変えただけ)

マネタリーベースとマネーストックの前年同期比の推移(軸を変えたもの)

マネタリーベースとマネーストックの前年同期比の推移(軸を変えたもの)

バブル期以前はマネタリーベースを増やせば…必ず、マネーストックは増えましたが…近年は様々な制約が存在し、なかなか理屈通りにお金の量が増えませんでした。問題は2002年から2003年に掛けての動きです。この時に日銀は、大規模な資金供給していますが…丁度、米国の金融デリバティブを利用した緩和と重なり、一気に海外投資家が日本不動産などを買ったために…日銀は、バブル期の反省が甦り、慌てて金融をマイナス圏まで絞ります。カタルが批判していた馬鹿政策です。福井さんの時代ですね。「羹に懲りて膾を吹く」…なのです。

しかし基本は、いくら日銀が緩和しても金融庁の指導が融資に対し厳格な為に、なかなか貸し出しが伸びませでした。そりゃ、そうですね。企業の厳格な清貧思想が反映し、借金は悪との認識で、どの企業も現預金比率が、異常に高いままなのです。長く失われた時代が続いた為に、企業は政府を信じていません。故に、過剰な自己保全に走ります。トヨタを観れば分かります。自社株買いとAA型株発行と言う矛盾を演じました。日本で一番信頼がある企業が、この有様です。ようやく財務省と金融庁、日銀の横軸の政策協議が始まったのは、今年2月です。その後3月に、金融庁はようやく赤字法人に対し融資を容認しました。これまでは赤字企業には、新規の貸し出しが出来なかったのです。

不動産は下がり、株は下がり…厳格な減損会計を金融庁から強要され、ダヴィンチの金子さんは失意の中で消えました。これでは、いくら日銀がマネタリーベースを増やしても、なかなか実際のマネーストックは増えませんね。バブル以前の日本経済は違いました。直ぐに連動して動いていました。バブル期以前は、ほぼ同じ増減を示していたのです。

カタルが何故、不動産価格に拘り…「1300兆円の逆襲」を謳っているか? 様々な要因が失われた時代の中にありますが…基本は不動産価格などの資産価格を、右肩上がりにする事が、市場経済下では良くなる絶対条件なのです。世界中を見渡して御覧なさい。今ではイギリスのワンルームは、1億円を超えると言います。上海の不動産価格は東京を超えています。しかし平均的な国民所得は、日本の方がはるかに上です。でも中国の日本人の所得以上の上流階級は、既に日本の総人口を超えているでしょう。

マイナス金利導入以降、金融庁もようやく方針を転換、徐々に実質の世界から名目の世界にスタンスを移しています。なかなか「流動性の罠」と言うジレンマから抜け出せない日本経済は、明らかに景気の中だるみ状態です。昨日はリートの含み利益が過去最高になっているから…カタルはリートの利回りがマイナス圏でも不思議ではないと述べました。現在は4%~5%程度の利回りです。しかし1年で良いものは30%も含み利益が発生していると言います。売却すれば…かなりの価値がありますね。この利益を3%ずつ毎年ランニング利回りにプラスすれば…高利回り商品が誕生します。

日経夕刊より

日経夕刊より

だからマイナス金利導入以降…、外人投資家はリートを再び買い増しています。これに対し日本の機関投資家は売っていますね。馬鹿です。日証金のリートの回転日数は、かなり短く、売買が盛んな様子が垣間みられます。6月2日の日経夕刊のグラフを提示しておきましょう。既に金融デリバティブで沸いたリーマンショック前の含み利益を上回っているのです。ケネディクスはあの当時、不動産の売却利益を計上して、一株利益100円台を計上し、株価は4000円台を付けました。同じことがようやく始まります。カタルの観測では2017年にも大きな利益が膨らみます。その事は昨日述べました。此処でも注目は、やはり東証がインフラ投資市場を育成し、世の中が動き始めていると言う事ですね。聞き慣れなかった「コンセッション」と言う言葉が、やがて一般的になります。

まさにケネディクスは「宝物」になりますね。いくら馬鹿経営者でも、これほどの好環境であれば…過去最高利益を通常は更新し続けます。問題は移民なのでしょう。現在は形を変えて、特区形式などで認可されています。しかしなかなか進みません。でも東京に住んでいると分かります。かなり外国人の移住者も多いのでしょう。ただ色んな現象が現在生まれており、見方は一律ではありません。だから面白いのですね。株と言うのは、色んな見方があり、意見対立する事が株高の下地になります。雇用統計から円高に推移し、月曜日の株価は安いのでしょうが…心配はないと思っています。円高の影響をもろに受けるトヨタの一株辺りの純資産価値は、昨年末現在で5538円です。この3月には300円近くプラスされており、おそらく現在は5800円前後でしょう。現在のトヨタの株価は5675円ですね。此処から下値余地が大きいとは思えません。

三菱UFJにしても、どの銘柄も同じような株価位置なのです。企業はおよそ3%の自社株買いを実施しており、潜在成長率は…この程度だと言う事です。確かに6月はブレグジット(EUからのイギリス離脱)問題がありますが…意外に底堅い展開を示すと考えています。秋には財政出動、更なる金融緩和もあり得ます。なにより改めて確認された安倍政権のデフレ脱却の意思が強く、なにも心配はないですね。

自分が、不安になると言うことは…自分の力量を超えて投資をしているから、不安に駆られるのです。分かりますか?投資と言うのは、常に自分の力量を把握し、自身の器量でやるものですね。互いに頑張りましょうね。



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