カタルはこれまで…どちらかと言えば、弱気な考え方の根拠としてきた「金融規制」に反対の立場でした。それは実体経済に大きな弊害を与えている様に見えていたためです。そもそも原油価格の下落は、銀行の自己資本比率規制が強化される過程において、金融デリバティブ商品の需要が市場から消えた為、下がった影響が強いと思っていました。確かに米国のシェールガス開発などにより供給が増えた面もありますが、それだけではなく、金融規制の影響と言う認識でした。(カタルの仮説1)
「詳しく金融規制を知りたい方はこちらをどうぞ…」なかなか良いレポートです。
これは「鶏と卵」の関係ですが…、実体経済が活発になるから金融量が増えると言う考え方たと、金融量を増やしたから実態経済が活発化したという考え方があります。この二つの考え方は、相関作用が非常に高いのです。両者を増やしながら…実体経済を拡大させるのが、正しいやり方です。
しかし日本の場合は、不良債権処理に手間取り、長い時間が掛かりました。その為に強引とも言える「小泉・竹中改革」で、この不良債権を一掃させました。此処で血祭りに上がったのがUFJ銀行です。この大銀行が消えるという恐怖が、金融庁の絶対視を実現させ、強権管理が続いた為に「失われた時代」が長引いたとも言えます。
この金融庁の方針が変化をしたのは、今年に入ってからです。日銀は金融緩和を実施していましたが…肝心の監督官庁の方針が、変化しなかったのです。故に「流動性に罠」に嵌っている状態が長くなったとも言え、日銀の失敗論を支える背景にもなったのでしょう。しかし赤字法人への融資再開が、今年3月です。更に貸し出しノルマ復活が6月ですからね。この変化は非常に大きいのです。(カタルの仮説2)
このカタルの仮説1は、ある意味で中国の台頭を支えました。通常、政情不安の共産圏への融資は実現しません。しかし金融デリバティブの発展により、高い利回りならリスクを分散させることにより、融資が可能になりました。CDSの存在が大きかったのです。17のトリプルAへの融資の中に、3つだけ中国のようなリスクの高い債権を組み込むのです。しかも、その仕組みは…この3つの危険な債権が、同時に返済不能にならなければ、高い利回りが得られるものです。
人間と言うのは不思議なもので…このような組み合わせを観ると、仮に2つは破たんしても3つ同時の破たんは、ないだろうと思うのですね。だから高利回りに惹かれ…契約します。実際にソフトバンクなども、この高利回り商品で損失を被りました。このような金融デリバティブの発展により、本来はリスクを取らない金融機関も、危険な政情不安を抱える場所への融資が可能になりました。この様な資金が中国などの新興国の発展を助けたのです。だから2000年から急速に金融デリバティブが拡大したので、世界の商品指標は高騰しました。
何もリーマンショックだけが、金融規制の狙いではなく…新興国への資金流出を止めることも金融規制の狙いなのですね。この金融規制の最終結論版は2019年です。しかしこの2016年で、一つの山を超えます。カタルはこの金融規制の影響が強すぎるから…昨年6月、HSBCのリストラの記事を観て、株は下がると判断し持ち高を大きく減らしました。事実8月には大きく下がり、この影響が尾を引き、今年1月にはサウジなどのSWF解約説から一段安しました。
だからトランプ氏が金融規制緩和論を打ち出した時に、カタルは歓迎したのです。ここで本日、日経新聞の3面の「金融規制と大統領選」を読んでくださいね。金融規制は、どうも続きそうで…なかなか強気になれなかったのですが…。
最近ようやく、この金融規制の均衡点が、見えて来たようにも感じています。一つはNY市場の堅調さ、もう一つがWTI原油相場の推移ですね。今日は、産業に必要不可欠な銅の市況も見てみましょう。カタルは原油価格を観て…どうも怪しいな…と思っていました。つまり金融規制が、行き過ぎているのではないか…と考えていたのです。しかし…銅はリーマンショック時の安値を割れていませんね。此処で、もう一つの指標、ついでですからCRB商品指数の推移を掲げておきます。此方は原油の影響を受けてか割れています。
まぁ、基本的にWTI原油だけ見ていれば、全体像は把握できますが…。最近のWTI原油の動きは底打ちを示しています。まだ上昇は確認されていませんよ。しかしこの推移にFRBの利上げも影響を受ける筈です。何も…雇用統計だけではありません。
何故、色々と金融規制の話から…商品指標を観て来たか? 馬場レポートの失業率と消費者物価の話もそうですが…全てが、綺麗にマッチしている様にカタルには見えるのです。そうです。世界も金融規制の影響を克服して、新しいステージに入る準備が完了しているように見えるのですね。だからヘッジファンドが空売りをしていたコマツを買い戻したのでしょう。こう考えると…全ての現象が、一直線に結びつきます。
今日は、なかなか価値のある、良いレポートが書けたと自負しています。3年ぶりの封印が解け、実質から名目の世界への「旅立ち」かも知れません。ケネディクスに期待がかかります。