金融相場の形

本日は「先導株」の意味を述べてみたいと思っています。読んで字の如く…先を導く株です。つまり相場の主役銘柄は、何か?と言う事です。多くの皆さんは、市況を観る時に「値上がり率」上位の銘柄を、参考にされていると思います。確かに狙いはそうなのですが…相場を観るうえで重要なことは、人気が、どの株に集まっているか?と言う事ですね。売買高や売買代金では、人気の集中度合いは、分かりませんが…TICK回数は、人気度合いを観るうえで、重要な指標です。

この「TICK」回数と言うのは、時計が時を刻む「チック、タック」様子から命名されたようで、株価の変化回数を示します。例えば…三菱UFJなら、725円、726円、725円、726円、727円と合計で5回、株価が変わったとしますが…これでTICK回数は5回と表現されます。つまり場が立っている立会時間中に、何回の株価を刻んだか?と言う指標です。

11/9からの上位TICK回数の推移

11/9からの上位TICK回数の推移

ただ取引所が高速売買に配慮して、株価の呼び値を変えて以降、三菱UFJの株価は1円刻みではなく10銭単位に制度を変えました。その為に、このTICK回数が劇的に増え、他の銘柄と比較しづらくなりましたが…それでも、この指標は依然、重要なキーワードの一つです。その様子を11月9日以降、上位5銘柄のリストを載せておきます。この事で分かる事は…図抜けて三菱UFJに人気が集まっている様子が分かります。売買株数では、みずほのTICK回数が勝っても良いように感じますが(みずほも10銭単位)、三菱UFJが人気になっています。野村証券の3倍近い値付きです。

つまり今の市場は、三菱UFJが「先導株」だと言う事が分かります。この株価動向が基準になり、比較感として…他の金融株の水準が、決められている訳です。株価を形成する要素は、基本的に他の銘柄との比較です。つまりお金は「裁定感覚」で、常に動いている訳です。株価と債券の組み合わせはオーソドックスな組み合わせで…最近では先物指数や原油価格や為替など…様々な商品との連動率により、組み合わせは多彩に存在しています。過去の値動きを指数化して…それを元に、高速売買をするファンドなどが多く存在します。

このTICK回数を観ると分かりますが…基本的に市場のリーダーは三菱UFJであり、その株価が原点となって、みずほ、三井住友、野村証券や大和証券などの株価が、比較感で決められている訳です。昔から売買の鉄則として…、仕事ができる証券マンは、本命しか手掛けません。同じ金融株でも、三菱がこければ…皆、こけるのです。逆に他の銘柄の株価が下げても、三菱UFJが健在なら大丈夫なのですね。常に狙うは本命株です。やれ「りそな」が良いとか…脇役を薦めるのは、証券マンの手数料稼ぎに過ぎません。カタルもよく利用しました。まぁ、上手く行くケースもありますが…基本は本命です。でも此処数日は、野村の値動きらしさが、発揮されています。

三菱UFJの日足推移

三菱UFJの日足推移

その三菱UFJは、トランプ政権誕生により…なんと5日間連続の「空」をきり、急騰相場に入っています。本当に…すごいですね。この現象は…如何に機関投資家が金融株をファンドの組み込み銘柄から除外しているか分かる現象の一つでしょう。多くのファンドが金融株を保持していらず、競争に敗れますから、慌てて、これから…金融株を再度、組み込む筈です。

この三菱UFJの大発会は764円の始まりで…今年の高値は、この日の高値764円です。 今度は、その様子をTICK回数と共にデータを観てみましょう。年初は、サウジのイランとの国交断絶から始まり、大発会から6日連続安と…戦後、初めての大荒れの展開でした。昨年の大納会の三菱UFJの株価は757円です。今年の安値は、2月12日の432円、そうして7月8日の426円ですね。さらにトランプ当選で揺れた東京市場の11月9日の492円ですね。

三菱UFJのTICK回数と株価推移

三菱UFJのTICK回数と株価推移

 

1月29日のTICK回数が149883回と今年の最高ですが、…2月12日の安値は133946回です。ついでに…7月の最安値の時は24150回なのですが、別に多くはなく…通常の水準でした。静かに最安値を付けた印象です。その後7月13日は51265回と…この時期では多いですが、この時の株価は497円と戻っています。

11月9日の直近の安値は93348回と、最近では多いのですが…1月や2月に比べるとそう多くはありません。やはり注目は11月11日でしょう。かたるも実質的に、この日、方針を転換しました。 2日間連続高のNY市場の株価動向を観て…トランプ相場に乗った訳です。でも実際は11月10日にも、金融株を買いました。岡三証券、野村証券、三菱UFJに、みずほなどですね。今でも、この日の安値で買った岡三証券の545円買いを、たった1000株ですが…現在も持っています。

バブル相場時の日本興業銀行株の推移

バブル相場時の日本興業銀行株の推移

 

此処では…過去の本物の金融相場の様子を、ご覧いただきましょう。こんな…驚異的なイメージでした。バブル相場のスタートは…。あの時は、確か、万年500円で管理されていた銀行株が、突然動きだし…ストップ高を交え、上がっていきました。それがバブル相場のスタートだったのです。それからカタルは、柏崎支店から新潟支店に転勤し、5年程の大相場が継続したように感じています。先ずは金融株が上がり…やがて低位大型株も上昇し始めます。その様子を、手持ちに昔のチャートがあるので…スキャナーで画像処理して掲載しておきましょう。

興銀は特殊でしたが、金融相場の多くは1987年で相場が終了しています。1989年は外人が先物を利用して、将来、下がるのを見越し、空売りするために…最後の1年は、先物で株を持ち上げた為に、興銀は1989年が高値になっていますが、実際は1987年で…大相場が終了していたのでしょう。野村のチャートは、その事を物語っています。今は、その事がレポートのテーマではないので、解説やチャート掲載は省きます。

この日本興業銀行のチャートを観ると分かりますが…過剰流動性相場が、どういう環境でスタートしたのか? 残念ながら…カタルの当時の知識は、素人レベルですからね。カタルは1979年に証券界に入ったのですが…金融相場などの季節感の知識も、当時はなかったのです。全て…歩合セールスとして、上京してから学びました。

浦上さんに、実際にお会いしたのも…丸善支店で一緒に働いていた人を通じて知り合ったのです。この相場の季節感を解説した「相場サイクルの見分け方」と言う本は、1990年の春の発行ですからね。先人の知識の偉大さが、分かります。彼はずいぶん、自分自身で苦労して、この論理を開発したはずです。実に、景気循環と相場の解説が…素晴らしいですからね。カタルは、ずいぶん色んな株の本を読みましたが…、この本は格別です。一流域に居る人は、違うと思います。

おそらく…この11月9日のトランプ政権誕生は、カタルの考える金融規制緩和に至るか…現在の所は分かりませんが、カタルは世界経済の「ガン」が、此処に存在すると前から考えており…ようやく、本当にようやく、本丸に手が掛かります。まだ確定したわけじゃないのですが…だんだん、良くなる法華の太鼓なのでしょう。このバブル期の相場を観ても分かりますが、興銀は3か月間上昇してから、休みを入れていますね。1984年にスタートしたバブル相場は、その後、プラザ合意で…更にエスカレートします。

このプラザ合意で、更にエスカレートしたバブル相場が、現在のNY市場のようなイメージです。おそらく…トランプ氏の政策は、大変な「負の遺産」を生むと考えています。今の話ではないですよ。これから行われる減税と財政出動が、過剰なインフレなどの構造を生む筈です。だから数年後の米国株は、空売りの対象になるのでしょう。1984年~1989年が、日本のバブル期間です。米国は、来年から5年程で…バブルが形成されるのでしょう。

まぁ今は、始まったばかりで…、一緒に踊った奴が、勝ちですね。阿波踊りのようなものですね。踊らにゃ…損なのです。「保護主義が、どうのこうの」…と理屈を捏ねず、兎に角、アホになったものが、勝つ相場なのでしょう。なんか…カタルの構想では、バブル期の日本と同じ構造が、米国で始まったようにも感じています。此処から5年は…大変な相場が生まれると思った方が良いのでしょう。相場の大きさを一緒に感じて下さいね。それではまた明日。



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