時代観察のポイント

市場は、ようやく「名目時代」の様相を示し始めていますが、「イエレン時間」の確立と共に不確かな印象を、未だに持っています。どちらも確信というより…漠然とした期待の方が強いかもしれません。基本的に、日本の名目時代と、世界経済のイエレン時間と、言うのは同種の考え方です。

米国の平均時給推移

イエレン時間は「テーパリング」の確立から、利上げに踏み切る考え方です。昨日、見たように…米国の平均時給額は2.87%の上昇で、一時は危うく、時給は下がり始め…ダリオ時間の懸念があったわけです。故に、昨年の株式相場は前半がもたついていました。  

一方日本では、なかなか「流動性の罠」から抜け出せず、モタモタしていました。企業の内部留保問題が、総選挙のテーマになるかどうかわかりませんが、希望の党が課税論を打ち出したことにより、「流動性の罠」の存在が、明らかになったわけです。

基本的には、企業経営者には希望が生まれてないのです。故に、行動が消極的なのです。本来の名目時代の確立は、お金を貯めることより、積極的な行動をすることにより、チャレンジする構造になります。だって…低い金利より事業経営をしたほうが儲かるのです。ところが…内部留保をため込むのは、これまでの失政に懲りている様子が分かります。まだ経営者は、未来に確信が持てない為です。 

原油価格の動向

一方、世界経済も同様なのでしょう。原油価格は、ようやく50ドルを回復していますが、昨年は40ドル台前半でした。ただ依然…怪しい動きです。EVの進展などもありますが…。本来は、経済活動が活発になれば…資源価格は上昇するものです。原油に限らず、銅や鉄鉱石などの価格も、世界経済の様子を見るのには…相応しいアイテムです。スイスのグレンコアの信用不安などが消えたことは大きな改善です。  

中国はパリ協定の基準を捨てておらず、EV化に拍車が掛かります。これは内燃機の技術では、欧米メーカーに対抗できないこともあるのでしょう。EVなら技術ハードルは、同じ土壌です。環境問題と共に、一挙の解決を狙ったものでしょう。中国のEV化を見るだけでも…中国経済の立ち位置が分かります。まだ特許問題など…偽物が横行していますが、何れ時間の経過で、世界基準に沿う過程でしょう。  

一方、米国はナスダックがPER22倍、SP500種は18倍だとか…。FANG株の勢いはネットフリックスを除き落ちています。この度、ネットフリックスは値上げを発表し、どうなるか見ものです。日本でも宅配便に続き…新聞も値上げだそうです。日経新聞には、ヘキヘキしていますが…商売上、1社独占なので…読まなければなりません。やはりカタルの関心は、ユニクロなどの動向です。前回、柳井さんは、間違った選択をしましたが、今回はどうでしょう。  

来年の春闘は、今から見ものです。出来ることなら…今回の総選挙では企業の「内部留保」問題を掘り下げた解説を、メディアに求めるものです。この議論の進展が「ROEの向上」に繋がるなら、一気に日本株は名目時代の確立に向かい、長い「失われた時代」から解放されます。 

このことは東証の空売り比率にも表れています。同じことなのです。背景に流れている「時代の流れ」を的確に捉えているかどうか…で、株式市場の戦略は大きく変わります。自分は、どの「立ち位置」で、相場を観ているか? …は、非常に大切なことです。 

 仮にイエレン時間が完全に確立されるなら、日本の邦銀株など…世界の金融株は、本格的に上昇します。金利は上がり、利ザヤが生まれ、経済活動が、さらに活発になるからです。長い邦銀株の低迷は…カタルの謎の一つでした。この株価水準の訂正が、日本株の低迷、つまり…「失われた時代」からの脱却を示します。 

 みんな…背景を知れば、知るほど…経済は面白くなるのです。イエレン氏が、どんな悩みを抱えているか? 彼女の心情を読むことです。今は、物価の謎でしょう。たぶん彼女は雇用統計が改善しており、平均時給も上昇しているので、「テーパリング」や「利上げ」にも、経済は耐えられると思っている筈です。

しかしドル金利の上昇は、新興国経済に多大な打撃を与えます。この進行速度が問題になります。アセアンや中南米諸国の動向が、気になるところです。基本的には…低金利に慣れきっており、その前提で動いているので、一連の正常化というか、金融の引き締めは「ダリオ時間」への引き戻しが、必ず、生まれます。  

現状は、米国の分断や、ドイツの不満など見れば…経済は「砂上の楼閣」なのです。一発触発なのですね。そんなに盤石な基盤ではありません。ただ米国の資産上昇は、見過ごす事は出来ません。日本が、昔、バブル形成で犯したミスと、同じ土壌が米国に存在します。それほど株価は、急上昇する懸念があるのです。故に、適度のガス抜きが必要です。この利上げ観測の高まりは、薄れたとはいえ…ダリオ時間を連想させます。故に…資産価格の上昇を、抑えるには効果がある筈です。  

昨日のレポートは、自画自賛です。なかなか…うまく書けたと思っています。今日は普通ですね。しかしこの程度の抽象的なレポートを、退屈しないで読めるように…読者のレベルが上がっていることを期待します。昨日、本日のレポートに限らず…最近は「名目時代」をテーマに、カタルレポートは作成されています。非常に大切なことなのです。  

基本的に、人間は馬と同じで、ニンジンを前にぶら下げられて…走ります。故に、「アメリカン・ドリーム」が必要です。そろそろ電通事件や、今回は日産自動車ですが…他人の粗探しをやめて、寛容な社会形成が望まれます。このような事件の発生が減り、本日のソニーのロボット開発のような記事が増えると良いですね。前向きな話題が増えれば…名目時代の確立に繋がります。それでは…また明日。 

 そうだ…名目時代は、一旦、上がった株が、下がらないんだよ。この辺りも…観察する焦点の一つです。相場と時代の動きを合わせて…観察すると良いですね。 



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