先ずは、昨日の原稿の補足が必要かと思いますから、それから始めましょう。株価は市場全体の動きである「市場リスク」と、個別の企業業績などの「個別株リスク」に影響を受けます。
例えば…昨年末から年始の相場状況は「燃え尽き症候群」を懸念するほどでした。カタルはレポートでそう述べていたと思います。故に下値圏の小野薬品などを狙っていたわけです。
この読みは見事に当たりました。減税から米国金利は上昇を続け3%に向けて動き…米国金利高を警戒して株価が下がってきました。そのあとは米中の貿易戦争を懸念し更に下落しましたね。一方、日本では安倍政権の基盤が危うくなります。このような状態を総称してカタルは「春の乱」と呼び、今回の下げを解説していました。
昨年末から年初の市場の状態は、基本的に少し良ければ…どんな株も上がります。たとえ大型株でも人気になります。そうしないと市場のエネルギーを吸収できません。故に比較的、資本金の大きな大型株が主役に選ばれます。
逆に「春の乱」以降、多くの人は株で損をしていますから、市場のエネルギーは乏しく、大型株は物色されません。通常は株価を維持することも難しくなります。三菱UFJは700円を割れると考えていませんでしたが…今では700円割れが常態化しています。良いはずのソニーでさえ…この高値圏のボックス圏を維持するのは難しくなります。先週はそれを確かめたのです。カタルはソニーを買って、ワンタッチで利食いしました。
これは市場のエネルギーを確かめる行動です。もし市場全体のエネルギーがもっと弱ければ、いくら好調なソニーでも、株価の維持は難しくなります。
「春の乱」以降、大型株の上昇を狙っても無駄です。ここで選択された銘柄はNPCでした。この銘柄は小型株の部類ですが…貸借銘柄ですから、まぁ、中程度のイメージでしょうか?
もう少し大きな東邦チタンは、選択から外れています。むしろ…ガセとも思われるレーティングの引き下げが、株価に効くほど…市場は委縮しています。ここに来て小型現物株のユビキタスが、ストップ高したのも面白い現象です。
読者の皆さんは、良いから株価が上がるとか…思っている人が大勢いるでしょうが、基本的に市場全体のエネルギーが物色銘柄を選択していると言っても、過言ではありません。闇雲に…好業績だから株価が上がるものではありません。そりゃ、図抜けた材料が出現すれば別ですが…通常、そのような現象はなかなか起こりません。市場のエネルギーが物色される銘柄を選択するのです。
だからカタルはソニーが下限に来たので…ソニーを実際に買ってみて、エネルギーの状態を調べたのです。でも古河電工を見ても分かるように…なかなか底入れしません。小野薬品も二番底を模索している最中です。
何故、カタルがこの2銘柄を選んでいるか? 市場のエネルギーの状態を見ているわけです。三菱UFJは700円台復帰できるかどうか…。もう少し、市場のエネルギーが高ければ、700円割れは…瞬間の筈です。このように常態化はしません。でもソニーはボックスの下限を維持しています。
NPCが選択されるわけです。だからクロスマーケティングも可能性はあります。春の乱の最中に株価は上昇し反転しています。だから上昇を続けられる…と思っていますが、もたついています。逆に、小型現物株のユビキタスのストップ高は興味深いですね。
相場と言うのは、そんなに単純なものではありません。証券マンは商売ですから、動く銘柄に追随します。しかしどのクラスの銘柄が上がるかどうか…。市場から選択されるかは…全体のエネルギーの把握が、上手くできるかどうかなのです。
プロは、常に相場に合わせようとしているわけです。今は、ソニーを上げたくても絶対に無理です。このクラスを上げるためには、もっと全体のボリュームが上がる必要性があるのです。少なくとも古河電工辺りが、底入れを示さないとダメでしょう。まだ下値が何処か分からないのです。小野薬は、一度、底入れを確認しましたが…再びファンドの玉外しに遭い、反落して、二番底の模索をしています。クロスマーケティングに似ていますね。
相場観は、常に市場全体のエネルギー把握を考えているわけです。その状態は、騰落レシオやRSIや乖離など…いろんな指標で判断します。勿論、カタルが追っている日証金の回転率などは、良い指標の一つです。証券マンなら、今の市場の状態が、どの程度か把握するために、回転率などを、独自にデータ化しておかないとなりません。
昨年末の日証金の回転率が10日以下の銘柄数は、500銘柄を超えていたのです。でも今は200銘柄を割れており、5日以下は、わずか34銘柄です。だいたい良い時の1/3から1/4程度のエネルギーなのでしょう。つまりゲリラ戦と言う「個別材料株物色」と言うことは、そういう事なのです。しかも選択される銘柄は小さな会社ばかりです。
基本的に昨年の16連騰から年末年始の相場の反動が、春の乱を生み、その後遺症が続いているという解説の方が分かりやすいでしょうか?
皆さんは、いい会社が…企業業績のいい会社が上がると思っていませんか? でも実際は市場に流入する資金量が、銘柄の選別を決めている面が強いのです。市場リスクは個別株要因さえも、凌駕するという相場論を理解してもらえるかな?
さて本日はこの辺でお終いです。参考に、次に狙っている銘柄の一つのチャートを掲載しておきます。何れ、銘柄を発表しますが…このクラスはNPCより、更に大きいですからね。この銘柄が上昇するような市場ボリュームになるかどうか。
22750円を維持できるかどうかは…重要な要素の一つです。また明日。