アーカイブ:2021年10月16日

日本製鉄の訴訟事件の背景

大きな「枠組み」の転換(パラダイムショック)には、様々な社会現象が伴います。過去の歴史はそうなのです。脱炭素化は、国際ルール。日本だけが逆らう訳にいきません。

今回の日本製鉄対、宝山鋼鉄とトヨタとの訴訟はその流れが関係します。日本製鉄は全国に14基の高炉がありましたが…順次閉鎖しています。代表事例が此方のニュースです。そうしてこの背景は此方の解説です。基本的に鉄鉱石と石炭(コークス)で…鉄を作る過程で大量の二酸化炭素を排出するから、電炉への流れになっており…日本のスクラップ価格は海外高(中国)の影響を受け、高値を更新しています。10/8現在の東京製鉄の買い入れ価格は物により違いますが…トン当たり55000円です。この水準はリーマン前の高値水準です。(なかなか良いグラフが見つかりませんでした。)

基本的な現象は、中国が「脱炭素化」で高炉での生産に制限を加えている為でしょう。この背景は鉄鉱石価格も関連します。鉄鉱石の買い入れも制限しています。石炭の生産もそうでしたが…最近は、この為の電力不足が深刻で生産を再開していますが、依然、足りません。だから石炭を運ぶ「ばら済み船」価格の運賃も上がっているのです。ここで述べたいのは、全ての事象には、その背景が存在するという事です。

日本製鉄が、何故、日本の古い慣習を破り、トヨタ相手に提訴をするか? 過去の「わだかまり」もあります。毎年、日本製鉄が薄板鋼板の価格交渉でトヨタに譲歩を続けてきました。それが限界に来たという事です。更に…呉の高炉閉鎖などの背景があります。

このように…海運市況にもいろんな要素が絡むのに、短絡的に市況の推移だけを見て、船株が大きく動くのは、表面上だけでワイワイガヤガヤ…。もう馬鹿レベルです。どうして…運賃が高騰した背景に、どんな「切っ掛け」があるのか? 考えないのでしょう。原因の究明が欠かせません。

此方の記事も船株に影響を与えます。そうして実際に「西松建設」(1821)はTOBに踏み切りました。この現象は過去も起きています。カタルはABCマートの三木さんが2008年からユナイテッドアローズの株式を大量に買って…結局、ユナイテッドアローズは高値でその株を2010年に買い戻しました。この事件は財務内容が良いにもかかわらず…市場価格を安値で放置していたためです。同じことが…今回の西松建設でも起きています。

日本には…この手の株価水準を「安く放置している」会社が沢山あります。内部留保だけを貯め込むのが良いと思っているのでしょう。無借金経営が優れた手法とは限りません。この低金利です。

だって考えれば分かります。事業を拡張して利益を上げれば…10%に回るのに、何故、低利の預金をしておくのでしょう。そんな「保身しか」頭にない経営者ばかりです。だから村上ファンドのような事例が出てきます。

川崎汽船も可能性がありますよ。PER2倍とかいう水準は、もう完全なバーゲンです。やはり…カタルは今の株価はおかしいと思うのです。それに円安は海運株にもプラスです。相場のシナリオと言うのは、奥が深いのです。だから全てを理解しようと思わずに…せめて、表面的な現象だけを捉えず…何故、日本製鉄がトヨタも訴訟対象に選んだか? この背景を考えてください。

カタルは電通の高橋さんの自殺を「切っ掛け」にして、ヤマト運輸の運賃が上がり…日本の雇用体制が変化したことを伝えました。この現象は、電通と言う日本の頂点に位置する会社も、労働環境で追い込まれている現象を示しています。2015年です。これは日本式の「総資産経営」が限界を迎えており…新たな「社会変革」が生まれるのです。

今回の日本製鉄の訴訟も、この延長線上にあり…日本村社会の代表格の日本製鉄も、変化を迫られている状態を示しています。どんどん…村論理の日本の会社がROE経営に変わっている現象です。

そこで…本日の日経一面に「日本の年収30年横ばい」の報道があります。

「臍が茶を沸かす」とは…この事です。この表現だけでカタルが、これから伝えることが分かる人は1%も居ないでしょう。 

何故か? 日経新聞は今までは村社会論理派閥の応援演説ばかりを紙面に取り上げていました。謂わば…改革の抵抗組です。何故なら、ROE経営を推進させる報道を、今まではあまりしていません。どちらかと言えば…このROE経営を蔑んだ報道です。

ですが…良く考えれば分かりますが、ROE経営を実現させて…低い利益率の分野を捨てれば…高付加価値の産業だけが残りますから…毎年、賃上げが可能になります。

みんなで貧乏をする中国の「共同冨裕」を揶揄して…中国を「共同貧困」の道と述べている人が居ますが…日本はパイオニアの指名解雇事件以来、ずっと「清貧思想」の道を歩み続けてきました。その結果が、電通の高橋さんの自殺であり、今回の日本製鉄のトヨタへの訴訟なのです。

この考え方のプロセスを理解して欲しいのです。だからデンソーの報道と同じような価値が、今回の日本製鉄の訴訟にもあります。つまり…日本株は、ようやく38915円の奪回に向け、スタートを切っている現象です。西松建設のTOBも同じ話ですよ。

今は、まだPER10倍以下の株がゴロゴロしています。あるいは配当利回りが5%は無理でも3%以上なら大半の銘柄が、その株価です。お金が動くでしょう。それから…岸田さんは金融所得課税強化に動いても良いですね。

「1億の壁」を言うなら…1億円以上の所得層にすべきです。それを、その論理を曲げて、一律にするのは、おかしな財務省論理です。官僚役人の「狡猾さ」が分かります。

日経新聞などのメディアは、まともな反論をして…社会を誘導せねばなりません。メディアが官僚寄りなので…日本はいつまでも駄目です。消費者目線ではなく 生産者寄りです。企業寄りの目線ではなく、国民目線で報道をしないとなりません。高い関税などの適用は、生産者擁護です。構造改革の為の一定の短い期間なら分かります。ですが…コメなどの関税は止めるべきでしょう。

何故、建設業界で働く人は、中国人などの外国人が多いのに…日本の建設会社が独占をするのでしょう。おかしな競争原理です。もっと建設現場の看板に、中国語の社名が登場しても良い筈です。村社会は何処にも存在します。日本医師会などは代表的な抵抗勢力です。だから…コロナ禍で、チグハグなおかしな対応になります。どの業界も同じです。大相撲界はその凝縮図のようなものでしょう。

カタルは、日本株が昨日、大幅高した理由が理解できませんでしたが…たぶん、こういう図式でしょう。

主に米国の新しい方向性が確認されたため「スタグフレーション」の不安が薄らいだのでしょう。金融界を中心に大幅増益が確認され…株価に見合う業績が維持できる可能性が出てきたのでしょう。故に、株も米国金利も上昇しています。

基本は此処です。米国金利が上がって、株価も騰がるのが、この時期での正しいシナリオです。金利高を消化できるようにならないと駄目なのです。米国は既に人件費も上がっていますから…あとは金利高の容認です。

社会コストを上げても…生き残れる産業を育てるのです。ここでも…総資産経営からROE経営への転換を市場は促しています。

つまり…総資産経営は低い利益率でも、雇用を優先する考え方です。みんなが貧乏していくシナリオです。これを カタルは 「清貧思想」と呼んでいます。「共同貧困」の道です。

逆にROE経営は改革が必要になり…社会人でも自分で努力をして、高いスキルを身に付けないとなりません。だから夜間の大学に通う努力が必要になります。政策支援は此処に重点を置くべきです。プログラマーは足りず…社会人でも一般的な知識は必要です。そうして転職を促す社会形態が必要になります。

例えば最低賃金を、一気に3000円ほどに引き上げると、コンビニなどの経営は成り立ちません。しかし…逆に、だからこそ「無人化店舗の導入」が進み、カメラやAIの産業が育ちます。規制と進化の話です。 脱炭素化はそういう事です。

村田製作は金津村田製作所の電力使用を100%再生エネルギーに変えるそうです。この理由を、村田製作所の中島規巨社長は「エレクトロニクス産業で生き残るために必要な取り組みだ」と強調したそうです。欧州はルールに厳格ですよ。日本人はこの辺りの感覚が欠けています。だから三菱UFJが米国で追い込まれます。ユニクロの問題もルールを守るかどうかです。故に日本製鉄の主張がトヨタより勝ります。

この辺りを説明しようとすると…難しいかな?

良く、読者に言われます。「難しい」…だから面白くないから、読者層が伸びないのかもしれません。目先の株価の行方より、その本質を、カタル自身が探ろうとしてレポートを書いているためです。カタルも分かりませんが、カタルの相場観は一定のシナリオを見て構築されています。その実験模様を、赤裸々に語っています。フロックでの株の儲けではなく…永遠の常勝将軍を目指すために、根底に流れる市場の意図を探っています。

どの辺りを目指したら良いか…内容の選択も難しい話です。ですが…取り上げているポイントは、日本にとって、大切な「課題」でしょう。それでは…本日はこの辺で、また明日。

これから…会員向けのレポートを作成しますから、会員の方は明日にでもお読みください。(尚、現在は新規の会員募集は行っていません。今月末になれば…3日間だけの期間限定ですが…若干の人数ですが、新たに…新規募集する予定です。それまでお待ちください。)



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