景気循環と株価評価の話し

どうも市場参加者の皆さんは、目先の「板上の鞘抜き」が「株式投資」と思っているようで…残念です。普段から、そう考えているように感じます。確り…高校生の時分から「金融教育」が出来てないのでしょう。

「金利」と「景気」(業績)や「株価」の関係なんかも、ご存じないように思います。まぁ、カタルも証券マン10年生の時分の社会人の時も、その経済知識は乏しいものでしたから…とやかく言えません。

しかし「原理・原則」の「基本的な流れ」が変わるものではありません。カタルは上京して直ぐに…仲間が、日興証券から多く歩合セールスになった人がおられた関係で、浦上さんの存在を知りました。彼が良く、職場に遊びに来ており、昼食に出かけたからです。

浦上さんは日興証券から日本興業銀行に招かれ…講演や資料作りなどをやっておられました。彼の書いた本、「相場サイクルの見分け方」が、相場の様々な場面の景気や相場で物色される業種などを解説した本があります。

以前のものは、絶版でしょうが…要望が多く、既に浦上さんは他界されましたが、奥さんの了承を受けて、日経新聞から「復刻版」が出版されたのが、既に10年以上前かな? まだあるかどうか…分かりませんが、良い本ですから、読まれると良いですね。

国会図書館には、必ず保存されています。その本の中で考案された、株価と景気、金利の関係を示した表が此方です。

金利と業績と株価の関係図

この表は一つの景気循環の波が、どんな形で相場に影響を与えるか? その関係式です。簡単に解説します。景気が悪化すると金融政策と財政政策により、景気を刺激しますから、金利が下がります。しかしこの時点では、まだ景気は「悪化」を続けます。しかし株価は未来を先取りして上がり始めます。これが「金融相場」です。そうして休みが中間反落ですね。

次は、その金融政策や財政政策を受け需要が活発化して企業業績が向上して行きます。この時は、既に、かなり業績は良いのですが、株価の上昇角度は鈍りますが、上昇を続けます。そうして景気がピークに達すると物価が上がります。供給より需要が膨らむからです。

コロナ禍のリベンジ消費により、半導体不足が生じて…機会損失を自動車会社は受けました。先日のスバルの話し、ホンダや日産は、その販売機会を奪られた負け組です。

そうして今は過剰生産により半導体がダブつき…価格が大きく下落しており、キオクシアは赤字計上です。基本的に、まだ辛うじて黒字を保っているところもありますが、キオクシアは業界で二位かな? でも赤字転落ですね。だから東芝の売却を早く進めるスピード感が大切だったのです。6000円で売ればよかったのです。日本村ですから…この結果です。

景気循環と株価評価

この関係図を作成しました。この図のaはコンドラッチェフの景気循環を示しており、此処に…bのキチン循環の波が同時に来ています。しかしAIなどの活用により半導体全体の需要はドンドン高まりますから…落ち込み度合いは大きくありません。

この在庫整理がまもなく終了すると言われていますが…年末の可能性も出てきました。基本的に、相場の「初期の株価波動」が、若い時は「高いPER」まで評価され…相場が成熟化する過程で、どんどん…PERの評価は下がって行きます。レーザーテックの企業業績は、良くなっていますが、それ以上のPERの評価が下がって行きます。

成長株から一般株に変化していくのです。この成長度合いが高いなら…高いPERの評価が正しいし…逆に成長度合いが低いなら、市場は一般株のPER評価に格下げすべきです。

何れ…レーザーテックの評価はPER20倍以下になるのでしょう。既にEUVの先行性の有利性は、失われ始めています。キャノンが新しいプリントを基盤にした画期的なステッパーを開発しています。なにも半導体の微細化が「高い評価」云う訳ではありません。関心のある方はこちらをどうぞ…

循環型のキチン循環の景気波動と株価評価の図

もう一つの図は、成熟した産業のキチン循環です。そうだ…この「赤のCライン」は株価PBR1倍のラインで損益分岐点の業績位置では、基本的に…株価は赤字でも最低PBRは1倍程度の評価を受けるものです。

ここで…Jトラスト(8508)の業績も発表されています。此方の解説が良いかな? 業績動向は良いのですが…残念ながら、ロコンドの田中君と藤澤さんの「価値観の差」が出た決算でした。あの時に、4ケタ乗せをすると思ったのです。きっと藤澤さんも、年を取って…株価意識が薄れたのかもしれません。意欲がなければ…後進に道を譲らねばなりません。

基本的に、鐵鋼業などは、既に大きな社会需要のない産業です。だから、どんなに買ってもPERが10倍程度が「上限の限度」でしょう。

それでも、相場の若い時は…つまり株価位置が低い時は「高いPER」の評価を与えられます。株価位置によりPERの評価も変わるのですね。その図を示しました。この二つの図は、カタルが作成したものですが…株価と景気循環のイメージを、先ほどの浦上さんが考案した表と一緒に考えると良いですね。

浦上さんは、主に…先日、紹介した、景気循環の在庫循環の「キチンの波」の解説を元に…この表を作成しています。基本的に、景気循環の波は、色々重なって動いています。

日本は戦後の復興期にインフラ整備が加速して…道路や鉄道などの社会基盤が整備されています。水道、電気、電話網などもそうです。昔は、電話線を引くときに、「NTT債」を買わせられたものです。そうして利用者負担で社会基盤を整備していきました。

今は、その施設が老朽化しており、その更新需要が、どんどん生まれ、予算不足で、なかなか更新が必要ですが、耐久年数を大きく超えた現在でも…古いものを利用し続けています。なにも「原発」だけではありません。上水道などは、良い事例です。橋は「待ったなし」ですが…老朽化したままの状態が続いています。だから、高い需要に支えられ横河ブリッジ(5911)などの業績は高原状態が続いています。このインフラ整備の景気の波が「クズネッツの波」です。

そうして…長い失われた時代により、日本の設備投資は殆ど行われていません。みんな海外に生産設備を移動しました。空洞化現象です。実にバブル期から34年間、最低限必要な更新需要だけで…古い設備で生産活動を続けています。この循環も「国内回帰」から発生します。この設備投資の波が「ジュグラーの波」です。

そうして皆さんが関心の高い御存じの…「AI」などの新しい時代のシンギュラリティの世界が、産業革命を超えるコンドラチェフの波です。

日本は同時に4つの景気循環の波が起こっていると基礎知識が、皆さんにあるのかどうか…。だから516兆円もの「企業の内部留保」が活きてきます。壮大な相場は此処から誕生します。ここではデンソー(6902)のチャレンジを、何度も…皆さんに伝えています。この関係と日本電産ではなく…ニデック(6594)かな_?の苦戦が分かります。内製化の話です。

小さな目先の需給バランスに「一喜一憂」するのが「人間の性」(さが)ですから、仕方ありません。誰もが同じですが…せめて真剣に、株式の勉強をするなら、投票にも足を運ぶようになるのでしょう。

幸い、今回の選挙結果では「維新」が躍進をして、次の総選挙で自民党との一騎打ちになる可能性もあります。米国の共和党と民主党、英国の労働党と保守党の構図に変化するのでしょう。「何でも反対」の馬鹿野党は、消えて行きます。国民が、真剣に自分達の未来を考えるなら政治は大切です。岸田さんの最初は「証券改革」で躓きましたが…その後は、普通の首相の評価になりました。

「新しい資本主義」の仕組みは、未だに、よく分かりませんが…「バラマキ」には反対ですが、彼が本物なら、この後、消費税の増税を実施する筈です。この増税を成し遂げるなら、「マズマズの合格点」の首相になります。株価位置が、政治も評価します。カタルは市場原理主義者です。株価が、全てを知っていると言う「効率的市場仮説」の信仰者でもあります。

だからAI時代は、「少子高齢化」の日本では、「効率化社会」に移行しやすいのです。もっと早く…スピード感を持って、クラウド環境を整備して、改革の実現が必要です。エンジン部門を残して、「雇用を確保する」と言う「古い価値観」の章夫社長に、カタルは噛みつきました。

今は最高益の達成で素晴らしいのですが…中国のBYDの背中はドンドン遠くなっています。テスラのPER評価が異常だと非難をする前に…世界一のトヨタのPERが何故12.28倍~11.49倍なのでしょう。テスラのPER評価は34倍~49倍です。この3倍から4倍の差がどうして誕生して、長く続くのでしょう。

このような世界観が、メディアの記者にないのが、悲しい現実です。日本の変化のスピードを買えるのは世論です。その世論を構築するのはメディアの役割です。34年間も日経平均株価が高値を超えないのは、恥ずべき…現実です。

関係者は猛省をして、紙面を変えなくてはなりません。日経新聞内部にも改革派が存在する筈です。あの日本製鉄も、橋本さんが誕生しました。そうして株価を押し上げましたね。実現するのは当たり前、日立のようなスピードではなく…もっと速く一気に改革を進めるべきでしょう。

我々、末端の投資家も、せめて豊かな楽しい…「寛容な」社会形態を望む次第です。失敗しても許してくださいね。ちゃんと…カタルの考えの原理を、いつも解説しています。また…明日。



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