さて…昨日のレポートを読んで、自分で実際に…「米国国債金利の動向」を確かめた人は、読者の中に、何人いることでしょう。昨日の資料の情報源は此方です。此方のサイトから、米国金利の推移の元データを取り込み、グラフを作成しました。
昨日のグラフは2015年からのものですが…カタルは、常々、データを取り上げる期間により、見えるものが、違って見えることがあると述べています。昨日は、僅か2年少々のものです。
では、もっと長い期間ではどうなのか?…との疑問が生まれないと、自分の考えを発展させた思考ができません。今は米国金利が問題で、株が下がっていると言われていますが、それは仮説であって、本当か…どうか分かりません。
だって米国の金利は、過去、もっと高い金利の期間でも、経済成長を続け、株はガンガン上がっていたのです。別に「ゴルディロックス相場」が正しいのかどうか…。今の一般的な解説は、中央銀行の量的緩和に支えられた、適温経済が資産価格の高騰を支えている(ゴルディロックス相場)との解説ですが、こんなものは誰かが考えた仮説が、一般化しただけの話です。ゴールドマンサックス証券が、命名した「BRICs」と同じようなものです。
だって過去、米国金利は、もっと高くても…株はガンガン上がっていたのです。基本的に株屋は、いつも、その時代に合った解説をしているだけに過ぎません。局面が少し変化しただけで…株高が崩れると考えるのは、何か、おかしいのです。
そこで…少し長い期間のグラフを用意しました。1985年からのものです。カタルはこのプラザ合意から…の日本の対応が失敗したために、バブルが発生し…澄田元日銀総裁は資産価格の高騰を見逃し、円高を阻止する為に、金利平価説の一面だけを見て、金利はガンガン下げたのです。その結果、銀行は過剰融資に邁進して…バブルを発生させました。異常な地価高騰だったのです。今回は、この話は路線を外れるので…グラフなどを付け解説はしません。
兎も角、1985年は、ある意味で重要な分岐点だったと考えている為に、今回も1985年からのグラフにしました。基本的にデータは、観察期間が長いほど…良い情報になります。歴史と「すり合わせ」が出来る為です。このスプレッドのグラフを見た時に、カタルは直ぐに相場の転機と、同じ波動だな…と思いました。
「a」の時は、日本のバブル期です。「b」の時はITバブルが崩壊した時、そうして「c」は、ご存知のリーマンショックですね。つまり…浦上さんが解説された「相場サイクルの見分け方」と言うのは、金利水準の高さではなく…長短金利のスプレッドの話なんじゃ、ないか…との仮説が成り立ちます。
ただ米国株は、日本のバブル崩壊時、明確な下げ局面になったのかどうか…。対数グラフでないと良く分かりません。そこで、その頃の株価データを集め、自分で米国株のチャートを作ってみましたが…1987年10月のブラックマンディ―以外は、下げらしい…下げはなかったのです。
日本の株価波動には合っているが…米国の株価を説明するには整合性の観点から見て、この仮説はイマイチの信頼度です。でもこの発想は…ある意味で正しいような気がしています。
ここで興味深い仮説と言うか…。意見をネット上で発見しました。久留米大の塚崎教授のレポートですね。此方です。読んでくださいね。彼の経歴をみると…立派ですね。東大法科卒で…就職先が興銀ですからね。でも2005年に退職されており…その後、大学教授の現職です。カタルと…えらい違いです。
でもこの仮説は…カタルの意見に似ています。かたるも…米国の「燃え尽き症候群」を懸念しており心配していました。昨日の短期のスプレッドを見て下さい。このグラフは、スプレッドの目盛は右軸です。グラフを作り直しても良いけれど面倒ですから…。
仮に…「スプレッド仮説」=つまりスプレッドがマイナス圏に入ると…株価は下がると言うものです。この理由は、短期金利が長期金利を上回ると…諸経費が上がり、経済活動で儲けにくくなり、経済活動が鈍る為だと思います。故に企業業績が悪化するのでしょう。だから株価は下がります。
でも此処に来て、長期金利が上がったことで…塚崎さんの仮説を裏付け、景気状況はむしろ円滑に伸び続けるのでしょう。
たぶん…中央銀行の量的緩和に、人々が慣れ過ぎて…なかなか長期金利が上がらなくてはならない環境なのに…市場は、それを認識してなかったのでしょう。
この「スプレッド仮説」は、10年債と2年債の金利がマイナス圏になると、株価は下がると言うものです。これからの度々…カタルレポートに「スプレッド仮説」の文字が出てくる可能性があるので…この用語を良く覚えておいてください。「ダリオ時間」や「イエレン時間」と同じようなものです。カタル、独自のネーミングです。
つまり、このスプレッド仮説が正しいとすれば…むしろ、ここでの「ガス抜き」は正しい経済活動と言う事になります。ここ数日、長期金利が上昇し、スプレッドが拡大していますからね。むしろ、あと50ベーシス(0.5%)程、10年債の金利は上昇した方が、健全だとも言えます。
一つのレポートを読んで、カタルは、このように…独自解釈をします。自分で調べて、データを集め、自分なりの仮説を打ち立てるのです。そうして、その仮説を元に、株の売り買いをしている訳です。何故、カタルが年末年始の株価高騰に乗れずにいたか?
本当は東邦チタンを掲げており、馬鹿になって乗った方が、結果は良かったのでしょう。しかし…ファナックの高騰ぶりをレポートで取り上げていたのに…残念ながら「空売り」をしませんでした。
この辺りが…まだカタルの力量不足の所で、一流域に成れない原因の一つでしょう。しかし幸い、今回、打撃は受けていますが…致命的な失敗になっていません。むしろ…カタルの事前予想通りだと…カタルは、今、更に自信を深めています。もう直ぐ、貧乏生活から、脱出できるかもしれない…と思っているのです。果たして…どうなりますか。
結果は、小野薬品の出来次第でしょうか?
ケネディクスは通常、あり得ない時期に増額修正に踏み切っており、宮島さんの経営スタイルが、変わり始めているのだろうと思っています。3月決算では、ないのです。日立やトヨタが、1年先の5月に、大幅な上方修正をして増配を発表しません。日本の企業経営者は絶対に1Qが始まった時に…強気発言などをしませんよ。
カタルの観測通り、ケネディクスの内部は、利益が溢れているのです。経営者なら、このカタル発言の意味が分かりますね。通常は高橋カーテンウォールのように…3Qで増額修正を発表します。そうして、更に上積みをして…通期を終えます。これが正常な…と言うか、一般的な形です。
皆さんは、良く自分の頭で考えないとなりません。今回の…この「スプレッド仮説」の価値は、凄い財産ですよ。もしこの仮説が正しいなら、大儲けできる「アイテム」を一つ手にしたことになります。
なかなか攻略できないゲームのステージアップが、強い武器を手にする事で、難なくクリアできることになります。本当は…読者から100万ほど、貰いたいほどの良い発想だと…自負したレポートでした。それでは…また明日。