ラッダイト運動

カタルは、何故、イエレン議長が完全雇用状態だと述べているのに…さらに雇用を増やそうとする大統領、トランプ氏が誕生するのか? …不思議でした。偶然、一致するのが日本のブラック企業現象です。付き合い残業は当たり前…。過酷な労働条件が潜在的に存在するから電通事件などが起るのでしょう。この背景を考えて行くと…二つですね。

一つは空洞化現象です。東西冷戦の崩壊から、グローバル化が進みBRICsなどの労働賃金の安い新興国が急速に伸びてきたのです。この背景を支えたのは、金融デリバティブ機能の発展です。オプション論理が開発され、それを応用する事でリスクを分散させる「CDS」が誕生しました。此処では…中国を、事例に考えると良く分かります。

1992年1月に鄧小平氏は武漢、深圳、珠海、上海などを視察し、「富める者から。先に豊かに成れ!」と述べました。共産政権にも拘らず、市場原理の「改革・開放政策」の加速を呼びかけたのです。1985年にプラザ合意が誕生し、この時分に、世界はパラダイムショック(枠組みの転換)を、興しました。EMSやファブレスの急速な発展です。工場を持たない製造の請負サービスの加速です。TSMCやホンハイなどの台湾企業は、その代表事例でしょう。

此処に…儲かると言う理由だけで、リーマンなどがCDSを通じて、大量の資金を中国に流し込んだのですね。AIGなども…保証料をただ取り出来るので参入します。リスクとリターンの関係ですが、膨れ上がる影の金融システムを、グリースパンなどは、見逃していたわけです。

事件の発覚の発端は、サブプライムローンでした。本来なら借りる能力がないのに…金融機関がノルマの為に、強引に住宅担保ローンを、貸し付けて行くのです。それらの貸出債権をパケージ化して機関投資家に販売する仕組みがCDSですね。この額は再保険を掛けるので…どんどん肥大化します。1の債権から10から20へ、そうして100へと分散されて、リスクが拡散するのです。カタルの認識では…これがCDSの正体です。間違っていたらゴメンね。

そんな訳で…本来なら貸し出しが出来ない筈の共産圏への債権も、高利回りの保険金、目当てに貸し出しが盛んに行われ、この債権を分散してCDSとして、再販売してリスクを軽減させていったのです。だから末端投資家は100もの債権があるなかで、5や10も同時にパンクするとは思わない訳です。だってリストの貸出先は、全てトリプルAなのです。

100の内、5件あるいは10件全部が、倒産しなければ、債務を支払わなくては良いのです。まさか…全部が、破たんするとは思いませんからね。このCDSと言う契約は10%も、20%もの保険料(利回り)が入るのです。それなら…トリプルAだから、投資をしてみようと思う訳ですね。まさか、超一流企業のGEなどが破たんするなんて…普通は、考えませんからね。そんな企業ばかりの債権のパケージなのです。その中に、ソフトバンクなどの危うい企業のものを…組み込むわけです。当時のソフトバンクは、資金難でしたからね。

だから…皆に資金が回り、投資が過熱したのです。そのピークが2005年前後なのでしょう。このやり過ぎに…懲りて、ガチガチの金融規制が敷かれたので、資金の回収が進みました。金融規制の誕生です。だから超優良企業の人手不足は起っていますが、末端の零細企業では…まだまだ、潤ってないのです。

故に、統計学上は、完全雇用なのでしょうが…まだまだその効果が浸透してないので、社会に不満が溜まっていました。2006年ですからね。10年以上も厳格な清貧思想が続くと、どうしても…人間は正しい道と考えても、我慢が効きません。だからブレグジットやトランプ現象が生まれやすい環境なのでしょう。

ある意味でトランプ大統領の誕生は、産業革命期に起きた「ラッダイト運動」に似ています。この運動は、労働者の雇用が奪われると言って、機械などを破壊し治安が悪化した状況です。1811年~1817年に掛けてイギリス北部の織物工場地帯で起った機械の破壊運動ですね。これが冒頭の理由の一つです。

今、人類は「第四次産業革命」の真っ只中に位置しています。これが、冒頭の二つ目の理由です。社会の不安定化を、生んでいる理由の一つです。

自動運転車、人工知能(AI)、バイオテクノロジーや、ナノテクノロジーの急速な技術革新の最中ですね。昨日の日経新聞の夕刊を、ご覧いただけましたか? ファナックやトヨタから出資を受けたプリファード・ネットワークスが、深層学習を応用して…乳がんを99%以上の確率で、早期発見できることを開発したので…臨床入りするそうです。

自動運転の完成は、ヤマト運輸などのトラック運転手の職業を奪います。路線バスの運転手も同じです。ラッダイト運動再熱の素地は、充分に社会に蔓延しています。今は非常に重要なのです。世界に先駆け…如何に早急に、第四次産業革命と言うスマート・コミュニティーを完成させることができるかどうか…。その際に、我々は位置しているのです。

1989年のベルリンの壁崩壊と…同じ立ち位置です。戦車の前に立った中国人の青年の映像は、今でも脳裏に、鮮明に焼き付いています。そうです。…天安門事件です。

その為には、先ずは下準備が必要なのです。新しいものにチャレンジする環境づくりが必要ですね。この環境を育むには、債務を軽減させる「インフレ」が必要なのです。ここで…本日の日経新聞の9面を参考に、読んでおくといいのでしょう。米プリンストン大のクリストファー・シムズ教授の「インフレで、債務軽減の宣言を…」と言う記事です。

奇しくも…トランプ政権の誕生は、オバマ・レガシー効果が、これから発揮されるところに…さらにメキシコ国境の壁建設と言う非生産的な財政出動ですが…フーバーダムのような大型の財政出動です。何やら…批判を受けた年度末の日本の公共事業投資のように、生産効率が低い投資に見えますが…多くの雇用も支えるのでしょう。

もう米国経済は、燃え始めているのに…更に薪を、ドンドンこれから込めるので…経済は燃え上がりますね。加えてFRBは国債の再投資を止める準備とか。財政難だから、金利は急上昇する可能性があります。

どうも…相場の焦点は、やはりインフレの考え方に焦点が当たるように考えています。これとスマート・コミュニティーの重点を、どの程度…配分するか? この辺りに…これからの相場のヒントが、隠れている様に考えています。

それでは…また明日。

昨日は「トリフィンのジレンマ」に、本日は「ラッダイト運動」ですか…。馬鹿なカタルは、自分なりに…一生懸命に相場を消化しようと…勉強しています。でも真の姿が、果たして、本当に見えるのかどうか…。こればかりは、神の領域です。



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